米朝首脳会談 トランプ米大統領は「リスクを理解している」CIA長官
米中央情報局(CIA)のマイク・ポンペオ長官は11日、ドナルド・トランプ米大統領は北朝鮮の最高指導者・金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と会談することのリスクを理解しているとし、トランプ大統領による米朝首脳会談の受諾決定を擁護した。
米FOXニュースに同日出演したポンペオ長官は、トランプ氏は「見世物のために(首脳会談の受諾を)決めたのではなく、問題を解決するために会談に臨む」と語った。
トランプ大統領は、米朝首脳会談が「世界にとって最も巣晴らしい取引」になるかもしれないと語っている。
ただ、複数の識者はもし会談が不調に終わった場合、両国間の情勢は以前より悪化すると警告している。
現職の米大統領による北朝鮮の最高指導者との会談は今まで一度も行われていない。報道によるとトランプ大統領は、訪米した韓国代表団から8日に伝えられた会談の要請を受諾した。このことは米政権内部にとっても寝耳に水だったという。
北朝鮮の軍備縮小に向けた交渉の試みは、北朝鮮が核兵器不拡散条約(NPT)から脱退した2003年以来、何度も失敗してきた。
ポンペオ長官は米CBSテレビに、政府は北朝鮮に対処する難しさを「しっかり認識」していると語った。
ポンペオ氏は、北朝鮮が今、交渉のテーブルに着くのは、米国主導の制裁が北朝鮮を経済的に消耗させているからだと述べた。
ポンペオ氏はFOXニュースに対し、「北朝鮮経済がこれほど危険な状態に置かれ、同国の指導者がこれほど強い圧力にさらされていることは、今までなかった」と語った。
もう一人の政権幹部、スティーブン・ムニューシン米財務長官は、会談の「明白な」目的は、朝鮮半島から核兵器を取り除くことだと強調し、米国は首脳会談までに核・ミサイル実験が行われないことを期待するとあらためて述べた。
金氏が「利用してくる」ことの恐怖
しかし、共和党と民主党両党の政治家が、予定されている会談について懸念を表明している。
共和党のコリー・ガードナー米上院議員(コロラド州選出)はCBSに、「非核化に向けた、具体的で立証可能なステップ」が会談前に示されることを望んでいるとした。
同じく共和党のジェフ・フレイク上院議員(アリゾナ州選出)は米NBCテレビに、非核化が現実的な目標なのか疑わしいと語った。
民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員(マサチューセッツ州選出)もNBCで、「全滅状態」(同議員)の国務省が北朝鮮のやり方に精通していないことに不安を表明した。
「大統領の成功を望んでいる。大統領の成功はアメリカの成功であり、それによって世界はより安全になる」とウォーレン氏は述べた。
「ただ、北朝鮮が彼(トランプ氏)を利用しようとすることを私は大変恐れている」
北朝鮮は「平和を望んでいる」とトランプ氏
米ペンシルバニア州で11日に開かれた政治集会で、トランプ氏は北朝鮮が「和平」を望んでいると考えている、と支援者に語った。
しかしトランプ氏は、もし非核化に向けた進展が生まれるとみられないときには、すぐに対話から立ち去るだろうとも述べた。
この政治集会に先立ちトランプ氏は「北朝鮮の指導者が、僕と会って非核化について話し合いたい、ミサイル発射を終わらせると言ったと聞いて、報道各社は最初、驚き当惑した。彼らは信じられなかったんだ。しかし翌朝までに、ニュースはフェイクになった。彼らは、それがどうした、誰が気にするんだ、って言うんだ!」とツイートした。
トランプ氏はペンシルベニア州の下院補選の共和党候補のための集会で、「まあ、何が起きるか分からないぞ」と語った。「僕はすばやく立ち去るかもしれないし、あるいは対話の席に着いて、世界にとって最も素晴らしい取引ができるかもしれない」
彼は特に北朝鮮のような国を助けることで、核による緊張関係を緩和する結果が生まれることを望んでいる、と述べた。
会談の日程や場所については、5月の終わりまでに会談が行われるとの情報以外には、何も示されていない。
韓国の聯合ニュースによると韓国大統領府は、韓国と北朝鮮の間に位置する非武装地帯にある板門店が「真剣な」選択肢だと語った。
スウェーデン、スイス、中国も可能性のある会談場所として名前が挙がっている。
(英語記事 Trump-North Korea meeting: US 'knows the risks', says spy chief)