北海道大学アイヌ・先住民研究センターの加藤博文教授(考古学)を中心とした研究会が、高校生向け教材としては初めてとなる、アイヌ民族の歴史や文化を専門にまとめた資料集の作成を進めていることが、10日までの加藤教授への取材で分かった。早ければ来春にも山川出版社から出版予定。
アイヌ民族を巡っては札幌市議が8月、短文投稿サイト「ツイッター」に「アイヌ民族なんて、いまはもういない」と投稿し批判を浴びた。北海道アイヌ協会の阿部一司副理事長は「資料集の作成では、事実に基づき、アイヌ民族の歴史が正しく伝わるよう注意してほしい」と訴えている。
加藤教授によると、資料集はB5判で180ページ程度になる見込み。高校で使われている日本史の教科書では断片的な記述しかないアイヌ民族の歴史を、アイヌ民族を主体とした原始から現代までの通史として取り上げるのが特徴。小中学生向けには、アイヌ文化振興・研究推進機構(札幌市)が副読本を作っているが、高校生用の教材はなかった。〔共同〕