朝鮮日報

【コラム】北のプロパガンダを垂れ流す韓国国家安保室長

 どのみち現政権は対話の橋を渡った。金正恩との会談の成果を「平和への大きな歩み」だと宣伝している。しかし、南北対話は今に始まったことではない。金正恩との会談では、南北首脳間のホットライン設置、4月の板門店での南北首脳会談という部分だけがニュースだったにすぎない。北朝鮮としては、最も困難な国際環境でちょうど自国に有利なリベラル政権が韓国に誕生し、活路を見いだせた格好だ。向こうが焦って受け入れたものを「破格の動き」だとか「大胆な決断」などと修飾するのは幼稚だ。

 今後展開される対話や会談の過程は、過去にも経験したものだ。北朝鮮の核・ミサイル開発の進展という悪い結果として跳ね返ってきた。こうした失敗の経験から学べば、ロマンチックに北朝鮮にアプローチしてはならない。「北朝鮮の核は南には向いていない」などと北朝鮮のスポークスマンかのように振る舞うことも逆効果ばかり生む。現実を直視せず、現政権の希望を加味した解釈は韓半島の状況を最悪の状況に追い込みかねない。

 何よりも心配なのは、米国が現在示している北朝鮮の核廃棄に向けた意志のように、現政権が意志を持っているのかどうかだ。現政権は米国が北朝鮮を攻撃することは怖がるが、北朝鮮が韓国を核で脅かし、実際に使用しかねないことについての懸念がほとんどない。文大統領は「我々の目標は非核化だ」と言うが、彼のブレーンである文正仁(ムン・ジョンイン)統一外交安保特別補佐はしきりに「北朝鮮の核の容認」「韓米演習延期」「米軍撤収」などを主張してきた。現政権の実体はまさにミステリーではないか。

チェ・ボシク上級記者
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