朝鮮日報

【コラム】北のプロパガンダを垂れ流す韓国国家安保室長

 鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長は、韓国メディアに説明したのと同様、トランプ米大統領に会っても、北朝鮮訪問の成果をそのまま伝えるのかどうか気になる。

 「北朝鮮が核兵器は勿論、従来式兵器も韓国には使用しないことを確約した」

 北朝鮮による明らかなプロパガンダが韓国の国家安保室長の口から伝えられるとは思わなかった。朝鮮中央テレビのアナウンサーでもやった方がよいのではないか。北朝鮮の核問題に直面しながら暮らすストレスをあまりに軽視しているか、国民を幼稚園児扱いしているのでなければ、金正恩(キム・ジョンウン)とのこんな「会談成果」は発表できなかったはずだ。

 それにどうもすっきりしない点がある。金正恩との会談の席では「核凍結」や「核廃棄」といった単語が一言も出なかったが、鄭室長は「北朝鮮が韓半島(朝鮮半島)の非核化意思を明確にした」と強調した。そして、鄭室長は「非核化の目標は先代の遺訓だ。その遺訓に変わりはない」という金正恩の言葉を伝えた。そうした言葉がとても強烈に聞こえたのだろう。

 しかし、「先代の遺訓」というフレーズはこれまでも金正恩が一度使っており、金正日(キム・ジョンイル)も数回使った。北朝鮮の2012年憲法序文には「我が祖国を不敗の政治思想強国、核保有国、無敵の軍事強国に変える」と明記されている。金正日の死去直前に「核保有国」という表現を盛り込んだのだ。

 それを知らなかったとすれば、南北関係について無知の特使だということになる。知っていたとすれば、他の意図がある。南北対話に批判的な世論をもみ消し、現政権の対北朝鮮政策を推し進めるためにそうしたのではなかろうか。そのためには、北朝鮮の政権の実態に化粧を施す必要があった。しかし、北朝鮮メディアが「朝鮮の核保有は正当で問題材料にはなり得ない」と報じたことで、それも無駄になった。

チェ・ボシク上級記者
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