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ITエンジニアの年収をGitHub解析から予測できる時代へ。人事担当は年収予測をどう活用できるか?!

2018.03.12

先週、Findyの CTO が 「OSS 活動は年収アップ につながる」というタイトルで Findy のエンジニアスキル偏差値とエンジニアの年収が相関した件についてブログ記事を公開しました。これは「ハイスキルなエンジニアのための転職サービス Findy」で算出したエンジニアのスキル偏差値と年収が相関している点について紹介したブログです。

このブログ記事リリース後、Twitterやはてブに以下のコメント・反響をいただきました。

「スキル偏差値と年収が相関することがわかったのです。(これはグラフ化してみて本当に驚きですぐさまメンバーに共有しましたw)”スキル偏差値と年収が相関することがわかったのです。(これはグラフ化してみて本当に驚きですぐさまメンバーに共有しましたw)”」

「スキル偏差値88なので 1千数百万円 くらい下さい(?)」

「正当な評価ができているならこういう流れは良い気がする。」

これは、主にエンジニア界隈からいただいたコメントです。

一方で、人事界隈からはそれほどフィードバックを頂けなかったので、改めて今回は人事・採用担当向けにスキル偏差値から年収を予測できる可能性とその企業向けの活用方法について書いてみました。

 

GitHubでの活動 / OSS 活動に積極的でアウトプット評価の高い人は年収が高い傾向がある

まず、前回の記事と繰り返しになってしまいますが、以下のグラフ(n=399人)をご覧ください。 このグラフはFindyがエンジニアユーザーのGitHubアカウントを解析し、スキルを偏差値化したもの、およびエンジニアのユーザーから現在の年収レンジについてヒアリングさせていただいたものをもとにグラフ化したものです。(前回記事のグラフの縦軸と横軸を変更しておりますが内容は同じです。)

このグラフから分かるのは、GitHubでの活動、つまりは OSS 活動に積極的で評価されるアウトプットが多いエンジニアの方ほど年収が高い傾向にあるということが見えてきます。

※OSS活動とは…OSSとはOpen Source Softwareの略で、ソフトウェアのソースコードが一般に公開され、利用者の目的を問わずソースコードの利用、修正、再配布が可能なソフトウェアの総称です。OSS活動とはそうしたオープンソースのソフトウェアの公開や改善などを目的に活動することを言います。

このブログを見た友人の経営者から、

Findyのエンジニアスキル偏差値と年収が相関して無ければ、そもそもサービスやアルゴリズムとして破綻してるってことだし、その方があり得ないんじゃないの?と思ってしまったのだけど。」

といったコメントも頂きました。厳しい…ですね。確かにそのとおりで、アルゴリズムというからにはこの相関は作っていてしかるべきものですね。

ただ、この部分は我々の説明不足にもなるのですが、Findyのエンジニアスキル偏差値は、あくまでGitHubを解析した結果として算出した数値です。しかも、そのスキル偏差値が結果的にエンジニアユーザーの年収と相関傾向にあったということです。

つまりは、GitHubのアカウントを解析するだけでエンジニアの想定年収が推定できる可能性があるというところに新しい発見があるのではと思っております。(そうでもなかったらすいません…。)

ただし、ここは人事・採用担当側からしてみれば「そうあるべき」結果とも言えるので、Findyでも、今後もより相関係数が上がり、精度が上がるようなアルゴリズムを開発していきたいと考えています。

また、あくまでOSS活動をやっているエンジニアの方のみ、年収を予測できるモデルができたに過ぎず、今後はこの範囲を広げていきたいと思っております。

 

スキル偏差値が高いエンジニア=ただ単にコードが書けるエンジニアではない

人事向けに営業をしていると、スキル偏差値についてしばしば以下のような質問を受けます

「Github を解析しているということはコードが書けるエンジニアっていうことですよね。当社はコードが書けるだけじゃなく、サービスへの興味やチームでの開発力、マネジメント能力を大事にしており、そういう方を採用したいんです。そのあたりはどうやって見えますか?」

これまで営業時にスキル偏差値の説明をした際に、この質問を一番たくさん受けたのではないでしょうか。

それに対する我々の答えとしては、実はFindyスキル偏差値が高い方であればあるほど、プレゼンテーション能力やコミュニケーション能力、そしてサービスやビジネスへの理解・興味が高いエンジニアの方が多い傾向があるということです。

これは、あくまでも私自身が100人ほどのFindyのエンジニアユーザーの方にインタビューをさせていただいた中での感覚なので、バイアスがかかっている可能性はありますがで上記のような傾向がありました。

なぜ上記のような傾向があるのかというと、仮説レベルではあるのですがFindyスキル偏差値が「他のプロジェクトへどれだけ貢献しているか」、「他者からのコードの支持やアカウントの影響力」なども解析の対象にしているからではないかと考えております。

つまりこうした項目が入っているということは単にコードを書く能力だけではなく、作成したリポジトリの説明能力や、或いは他のリポジトリに対して改善提案をする際の提案力など非常に高いコミュニケーション能力を、しかも時には英文で求められる傾向があるからです。(むしろ英文がほとんどですね。)

また、こちらも仮説ベースですがこうした活動を活発的にしている方ほど、社内外での勉強会開催やメンバーとのコミュニケーション量も多く、普段からGitHubに限らずブログなどでのアウトプットしている方が多いです。

実際に話してみると一般的な営業マンよりも、よほどコミュニケーション能力が高い方が多い印象です。個人的にインタビューしていると技術の話はもちろん、サービスや今後の日本の課題などの話で盛り上がって2時間経ってしまったなんてことがしばしばあります。

 

スキル偏差値から年収を予測できる場合の活用方法

ここからは、スキル偏差値から年収を予測できる場合に人事や採用担当はどう活用していけるかについても少し触れていきたいと思います。

新卒の能力給判定に使える可能性

最近だとサイバーエージェントやメルカリなど、Web/アプリ 系のメガベンチャーやスタートアップが新卒を採用する際に能力給を採用し始めています。

今後もこの流れはどんどん加速するのではないかと筆者は考えています。と言いますのも、実際にコードが書けるエンジニア、或いはデザインができるデザイナー等の専門職は通常の総合職の新卒よりもすぐに事業上で価値が出せる可能性が高いからです。

また、これまでは会社に入ってから研修を受けて現場に出るのが一般的でしたが、学生時代に数年単位で長期インターンシップを経験しているような学生も増えてきており、大学卒業時には通常の社会人2〜3年目とレベルが変わらないという方もたくさんいます。

メガベンチャーやスタートアップが本当に採用したいのはまさにこうした専門職や経験値の高い方でして、彼らに魅力を持ってもらうためには、新卒給与が全員同じだと採用競争力を失っていきます。

まだ、Findyスキル偏差値ではエンジニアのスキルを見る際の参考値という所にしかならないかと思いますが、年収の予測モデルを利用して新卒の能力給を判定する際の指標として使える可能性があるのではないでしょうか。実際にOSS活動をしている学生は優秀です。

社内のスキル手当の参考指標に使える可能性

最近だと、エンジニアやデザイナーなどスキルを活用して働く専門職の場合は、スキル手当の制度が導入されている企業も増えているのではないでしょうか。 ただ、実際の制度運用については各個人のスキルではなく等級ごとに固定して手当の金額を設定していたり、あるいはエンジニア一律で一定の金額を手当として設定しているような企業もあるようです。

また、企業の人事担当からエンジニアのスキル手当を設計する際に技術力の評価に困っている会社なども多いということを聞いております。その結果、日本人らしいですが等級や職種で一定額の支給という方向になってしまっています。

現時点ではFindyスキル偏差値は OSS 活動をやっている方のみを解析の対象としており、残念ながら全てのスタッフが対象にはなりません。ただ、将来的には英語でTOEICの点数がある人がスキル手当の対象とするような、アドオンのスキル評価に使える可能性が高いのではないかと考えております。

技術力が分からない人事と社内の採用担当エンジニアとののコミュニケーションサポートに

最後にもともとFindyを立ち上げたきっかけの一つにユーザーインタビューをした際に人事・エンジニア双方から以下のようなコメントお返事に家からもらったということも大きなきっかけのひとつです

人事側
「エンジニアの応募が来ない」
「面接でのエンジニアの技術スキル見極めが難しい」

エンジニア側
「面接担当者が技術のことを理解していなかった」(30代後半フリーランス)
「人事担当者に技術力が伝わる履歴書をどう書けば良いか分からなかった。」(20代後半会社員)

実際に コードを書く機会、或いは新規事業立上げなどを担当してエンジニアと密に仕事をする機会が少ない人事担当にとって、面接やレジュメだけで実力を判断するということは到底無理なことです。

一方で、多くの会社がエンジニア採用においてエンジニアが面接する際に技術力の判定というものは行なっているのではないでしょうか。もちろん面接プロセスの中でライブコーディングやコーディングテストを行うということは必要なプロセスになってくるとは思います。しかしながら全ての応募者にテストを実施するというのは、人気企業を除いて現実的ではないと言えます。超人気企業ならばともかく、そうでもない会社にとっては魅力付する前に、テストをお願いした瞬間に面接に至らないということも懸念されると思います。

また、最近ではFindy導入企業の中でも、いいねをするのは最低限偏差値●●以上にしたい、といった基準として利用していただいているという声も頂くようになってきました。また、こういった基準を常に社内のエンジニアとの間で共有しておくことで、求職者にアプローチをする際に毎回、社内の採用担当エンジニアに確認する必要がなく、双方のコミュニケーションも比較的スムーズになる傾向があります。

こうした指標づくりを通して、我々としても人事と社内外のエンジニアとの間に起きてしまっているミスマッチの解消に少なからず貢献できるのではないかと考えています。

以上今回公開したスキル偏差値から年収が予測できる可能性と、それによって得られる人事・採用担当のメリットについて書いてみました。

Findyとしてもこうした指標を作っていきながらできる限りエンジニアの転職という領域において、現在起きてしまっているミスマッチを減らしていく方向性を作っていきたいと思っています。また、その結果としてスキル、技術力のあるエンジニアがしっかり評価されるような世の中にしていきたいと思っております。

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