新しい排泄介護の形!全自動排泄支援ロボット「ドリーマー」|アド・ロールス株式会社
作成日2017/07/28 更新日2018/02/226,025views
排泄は人間の生活に不可欠であり、排泄介助は要介護者の尊厳にも大きくかかわります。しかし食事や入浴と違い不定期で発生するため、他の介護に比べて負担が重いのも事実です。そんな排泄介護を全自動で行ってくれる夢のような介護ロボットが、今回ご紹介する全自動排泄支援ロボット「ドリーマー」です。「ドリーマー」の開発・販売を手がけるアド・ロールス株式会社に、魅力やこだわりを伺いました。次世代オムツから全自動排泄支援ロボットへ
ーーー御社について教えてください。当社は、全自動排泄支援ロボットの「ドリーマー」を開発・販売している会社です。もともと次世代の介護用オムツの開発を手掛けていたのですが、介護の人手不足や排泄介助の負担に関する調査を進めていった結果、最終的に自動排泄ロボットの開発をスタートすることにしました。
全自動排泄支援ロボット「ドリーマー」とは?
ーーー全自動排泄支援ロボット「ドリーマー」とはどのような製品ですか?
「ドリーマー」は、排泄介護を完全自動化した全自動排泄処理ロボットです。専用カップ付きの紙おむつを装着しスタートボタンを押せば、排泄物の吸引から洗浄、乾燥まですべて自動で行ってくれます。
専用カップにセンサーが搭載されており、そこで尿か便かを判断し、約0.1秒~0.2秒後に処理を開始します。まず排泄物を吸引し、専用カップについた2つのノズルから温水が出て陰部と肛門を洗浄します。その後、温風が出て肌やカップ内を乾燥します。
また、多層フィルターで24時間断続的に臭いと湿気を取り除いているので、要介護者の方はもちろん、介護者の方も臭いによる精神的負担が軽減されます。
あとは、汚水タンクに溜まった排泄物をトイレに流すだけです。タンクの処理回数は利用者の排泄量に応じて変わりますが、オムツと比較すると排泄物を見る、触れる機会が激減するというのが大きな利点でしょう。
ーーー「ドリーマー」の対象はどのような方なのですか?
「ドリーマー」のご利用をおすすめしているのは、要介護度で言えば4~5程度の方です。寝たきりの方や自立した排泄が困難である方、夜間や介護者不在時にオムツを使用している方を想定しています。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)や脊椎損傷等の難病、または下肢の障害をお持ちの方にもご利用いただいています。「ドリーマー」には手動スイッチがついているので、上肢が動く方などはご自分のタイミングで処理をスタートすることができます。そういった意味で、「ドリーマー」は自立支援にもつながる介護ロボットだと考えています。
ーーー要介護者にとって、手動の場合も全自動の場合も排泄したあと処理まで待たされないというのは大きなメリットですね。
そうなんです。介護というと、移乗介助や入浴介助、食事介助が挙げられますが、これらの介助は全てタイムリーに行うことができますよね。「朝7時に食事しましょう」とか「2日に1回入浴しましょう」といったように、必要なタイミングでの介助が可能です。しかし寝たきりの方や意思表示ができない方の排泄介助は、必要なときすぐに行うことができません。
そのため不衛生さや臭いは、介護者・要介護者双方にとって大きな負担となります。また、とくに在宅で介護している場合は、夜中でも不定期の対応をしなければならず、睡眠や生活に支障が出るケースもあります。
その点「ドリーマー」なら排泄直後に処理を開始してくれるため、これまで不可能だったタイムリーな排泄介助を実現します。いつでも清潔な状態が保たれるので、介護者・要介護者双方に快適さや安心を感じていただけます。
特許も取得した専用カップへのこだわり
ーーー「ドリーマー」のこだわりを教えてください。一番のこだわりは専用カップです。専用カップに搭載しているセンサーやノズルによって排泄処理がすべて完了するのですが、専用カップは直接肌に触れるため、性能とともに快適なつけ心地の追求も不可欠でした。
実は現在の専用カップが完成するまでに、10回以上のプロトタイプを作っているんです。仙骨など褥瘡になりやすい部分をはじめとした形状への工夫、絶妙な人肌感を与えるゲルやシリコンの使用といった素材への工夫など、クオリティにはこだわっています。
利用者からの反響は?
ーーーすでに利用している方からの反響を教えてください。要介護者の方からは、不快感がなくなった、介護を受ける後ろめたさや羞恥心が激減したというお声を頂いています。介護者の方からは、排泄介護にかかる負担が軽減し、自分の時間や他の介護の時間に充てることができたという声を頂いています。
あるASL患者のご利用者の方は、「ドリーマー」による快適さはもちろん、家族に負担をかけず、休む時間を取ってもらえるうようになったことが何よりも嬉しいとおっしゃっていました。
別の要介護者の方は、「ドリーマー」を使用してから臭いを気にする必要がなくなったため、来客者を呼ぶなど社交的になったとのことでした。
介護家族の方からは、訪問ヘルパーさんを呼ぶ費用が減り、コストの面でも助かっているとおっしゃっていただいています。
課題と今後の展開は?
ーーー反響をうけて見えてきた課題はありますか?
操作性や装着の簡略化には課題を感じています。「ドリーマー」はスタートとストップの2つのボタンのみで操作していただけるので操作自体は非常に簡単なのですが、実際にカップを装着したりホースをつないだりするステップに手間どるというご意見を頂くことがあります。当社では現場まで行き利用方法をご説明したり、無期限のお試し期間を設けていますが、アタッチメントのワンタッチ化などを進め、使いやすさを追求していくつもりです。
また先ほどお伝えしたとおり、「ドリーマー」は要介護度4、5の方を対象としていますが、症状や状態によってはお使いいただけないこともあります。より多くの方にお使いいただけるよう、今後はバリエーションを増やしていくことも考えています。
ーーー現在は在宅での利用が多いと思いますが、施設での利用についてはどうお考えですか?
実は半年ほど前から、施設からのお問合わせがとても増えているんです。夜間などの人手が薄くなる時間帯に使いたいなどのニーズが多かったため、現在「ドリーマー」が施設で有効利用できるのかのモニタリング調査を行っています。
ーーーモニタリングではどういった反応がありますか?
すでに評価いただいているのは、衛生状態が改善したことによる汚物感染や陰部感染の減少です。排泄物を放置せず、すぐ洗浄してくれる「ドリーマー」だからこその評価だと自負しています。
また我々としても予想外だったのが、臭いの減少による労働環境の改善という観点での評価です。精神的な苦痛が軽減された結果、スタッフの定着率や満足度が向上するという反響をいただいています。
ーーー逆に、施設利用ならではの課題はありますか?
施設や病院では、排泄物から健康状態を判断することがあります。そのため、便の状態や量を確認できる機能を追加していくことも新たな課題として見えてきましたね。
運用方法にも課題があります。「ドリーマー」を1台のみ導入している施設では、汚水タンクの洗浄や洗浄水タンクの補充などが逆に手間を増やしているというのが現状です。しかし、5台導入している施設ではそれらの業務をルーチンワークに組み込んでいるため、排泄介護の負担が軽減したという結果が出ています。「ドリーマー」運用に必要な業務を、いかに施設のオペレーションにマッチさせるかが今後の課題となりそうだと言えるでしょう。
メッセージ
ーーー「全自動」「1日1回のおむつ交換でOK」というと、「介護放棄や寝たきり増長につながるのでは」と不安を感じる方もいるようですが。現在オムツを利用している要介護者にとって、オムツ以外の選択肢はほぼありません。そのため「オムツ介護が良い」と考えがちですが、はたして本当にそうなのか、一度立ち止まって考えていただきたいなと思います。
私たちは、排泄物を放置せず、人の手を使わずタイムリーに処理できるほうが、要介護者の快適さや尊厳の尊重、自立支援につながるのではないかと考えています。
また、介護者の方に、排泄介護に追われていた時間をコミュニケーションの時間やより人間味のあるサービスに充てていただくことで、ケア全体の質の向上にもつながればいいなと思っています。
当社では無料のお試し期間を設けているので、少しでも興味のある方はまず試していただき、肌に合うか合わないか、どれくらい負担が軽減されるのか、どれくらい費用対効果があるのかなどを実感していただきたいですね。
本体 ※福祉用具貸与品目
寸法
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幅475mm×奥行き615mm×高さ575mm |
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重量 |
30kg |
電気代 |
10円1日目安 使用状況によって異なります |
付属品 ※特定福祉用具購入品目
品名 |
・カップ ・吸引用ホース ・汚水タンク ・サイドパッド |
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備考 |
カップと吸引用ホースは、汚れがひどくなった段階1~2年で交換をおすすめします。 |
消耗品
品名 |
専用カバー(専用紙おむつ) |
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サイズ |
M・L |
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