電子書籍の不満と解決への提言
情報管理LOGの@yoshinonです。
今回は、こんなタイトルですが、基本的には電子書籍万歳!とか思っています。
しかし、だからこそ少しずつフラストレーションが溜まってきているのも事実なんですよね。というわけで今回は、私が現在、電子書籍に対して感じている不満とそれについてどのような解決策が考えられるかを書いていきたいと思います。
サービス提供者の皆さん、不満は逆にいえば、大きな儲けのチャンスですよ!
【 電子書籍の不満と解決への提言 】 1.統一的な本棚の不在 2.操作性の不統一感 3.所有でないという事実 4.引用量の少なさ |
まず、何よりも電子書籍への大きな不満が、これです。
今や電子書籍を販売しているところは、たくさんあり、そこかしこで購入して行ったら、どこで何を買ったのか不明になってしまうのですよ。特に数を買えば、買うほどに探すのが大変になるのです。1冊の本を探すのに、いくつものアプリを立ち上げて、検索しなくてはならないなんて、馬鹿馬鹿しいにもほどがあります。
特にシリーズ物の長編漫画を複数の電子書籍で購入した暁には、「次は、どのアプリだったっけ?」となってしまい、読む気が失せるのですよね。これは、作者にとっても、機会損失になってしまう重大な問題だと思うのですよね。
最初は、Kindleやhontoなど、大手だけで構わないので、統一したフォーマットを吐き出すAPIを設けてもらいたいのですよね。それを使って、サードパーティ製の本棚アプリへの門戸を開いてもらえたらすごくありがたいです。
ユーザーとしては、
どこに、何があるか分かれば良い
のですから、そのサードパーティ製のアプリ上で読めなくても、全然構わないわけです。
あくまでも本棚であって良いのです。
したがって、その読みたい本をタップすれば、当該アプリが立ち上がり、その本が読めるという仕組みがあれば良いのですよ。それぞれの電子書籍サービスの囲い込みを阻害せず、やっていく良い方法なのではないか?と思うのですがいかがでしょうか?
または、お互いの蔵書を一覧を、それぞれのアプリ上で見ることができれば問題ないわけです。
Kindleの本棚を見た時に「これは、hontoにあります」と示してくれるだけで良いのです。そして、タップすれば、当該電子書籍アプリが立ち上がれば良いのです。なんなら、「hontoにあるけど、Kindleでも購入しますか?」みたいな感じにすれば、お互いにとって益になると思うのですけどね。
そして、何よりもユーザーにとってありがたい。
概ね操作性に関しては、似てはいるものの、
タップなのか、スワイプなのか?
ブックマークは?引用は?
と、微妙な違いに戸惑うわけです。
これも、ある程度業界標準みたいなのを打ち出すことは、できないものか。
世の中のテクノロジーの大きなうねりを観察して見ると、現在の電子書籍市場のような、それぞれがそれぞれに独自仕様を押し通すというのは、結果的には包括的なサービスにいずれ駆逐される運命にあるわけです。または、どこかが、独占的な市場を築くか。
そう考えると、いつまでも独自仕様にこだわるよりも、率先して業界標準を打ち出して行ったほうが、よりデフェクトスタンダード獲得できる可能性が高まるはずです。
たぶん、多くの人は知っているのではないかと思いますが、電子書籍は基本的には
購入 = 所有
ではありません。
DRM(デジタル著作権管理)を設定しているAmazon、Barnes & Noble、Kobo、Sonyなどの企業はサービス契約やライセンス契約に、顧客はタイトルの所有権を実際には保有しないとはっきりと記述している。
電子書籍に欠如する所有権についての理解 - ITmedia eBook USER
のです。
例えば、Kindleであるならば、利用規約の中で明確にこのように書かれています。
Kindleコンテンツの使用。Kindleコンテンツのダウンロード又はアクセスおよび当該料金(適用される税金を含む)の支払いが完了すると、当該コンテンツプロバイダーからお客様に対して、Kindleアプリケーションまたはその他本サービスの一部として許可される形で、Kindleストアより指定された台数の対象デバイス上でのみ、お客様個人の非営利の使用のみのために、該当のKindleコンテンツを回数の制限なく閲覧、使用、および表示する非独占的な使用権が付与されます(定額購読コンテンツの場合は、お客様が定額購読プログラムの有効な会員である限り。)。Kindleコンテンツは、コンテンツプロバイダーからお客様にライセンスが提供されるものであり、販売されるものではありません。
Amazon.co.jp ヘルプ: AMAZON KINDLEストア利用規約
※赤字:情報管理LOGが付与
つまり、ぶっちゃけて言うとお金払ってもらったものに関しては、
読む事を許可してあげる
ということなのです。
このあたりに関して、タイムリーなことに鷹野凌氏が書いています。
電子書店のサービス終了で本が読めなくなるのは、電子書籍のフォーマットが統一されていないことが原因ではなく、デジタル著作権管理(DRM)の問題だ。:見て歩く者 by 鷹野凌
この中で鷹野凌氏は、「ソーシャルDRM」の普及について言及しています。
「サービス」を「所有」にもう少し近づけていく必要があるのではなかろうか。例えば「ソーシャルDRM」だ。ファイルに購入者情報が埋め込まれているため、違法に拡散されると犯人の特定が用意であることが、違法コピーの抑止力となる仕組みである。
電子書店のサービス終了で本が読めなくなるのは、電子書籍のフォーマットが統一されていないことが原因ではなく、デジタル著作権管理(DRM)の問題だ。:見て歩く者 by 鷹野凌
この「サービス」を「所有」に近づけることによって、家族に貸す時に端末ごと貸すのではなく、電子書籍を貸すといったことが可能になったり、正規の「中古電子書籍」が可能になる土壌が生まれるかもしれないと考えています。
Kindleなどがそうなのですが、読書メモをとっていたら、すぐに引用が上限に達してしまうのですよね。特に自分にとって勉強になるなと思う本は、たくさんマーカーを引きたくなってしまいます。そして、残しておきたいのですよね。私は、以前も書きましたが、マーカーとは別にNoteBoxというアプリを使って読書メモを残しています。
しかし、これもたくさんやっていると…
このように「この本のコピーの上限を超過しています」と出てしまうのです。
別に本をまるごと一冊分コピーしようとか、そういうのでは全くありません。むしろ、部分、部分で引用したい部分をコピーするだけで、このようになってしまうのです。
こうなると、テコでもどうにもコピー不可になってしまうのです。
仕方が無いので、スクショを撮って、Googleドライブに投げてテキストを取り出すという荒技を使うしかなくなってくるのです。
そうすると、ほぼ制限なくできてしまうのですが、デジタルコンテンツをこうようにするのは、気が引けるのですよね…。できるならば、公式の機能の一部としてやれてほしいわけです。とはいえ、マーカーにしても、共有Extentionによるコピーにしても、この上限が足かせになっているのは確かなんですよね。もはや、テキストのコピーを実質ほぼ無料で無制限に取得することが可能になってしまった現在、コピー上限を少なくしておく必然性が低下しているように思うのです。もちろん、海賊版対策としてコピーしづらくする仕組みは必要なのですが、海賊版の人たちって、もはやこの方法でやってませんよね?
というわけで、ユーザーにとってプラスになる方向で改善してもらえたら嬉しいです。
次世代のコンテンツメーカーのために
私の中では電子書籍は、もはや生活になくてはならないレベルになっているのですが、残念ながら周囲を見渡してみると、まだまだ電子書籍が普及している感じはしないのですよね。そのくせ「漫画村」のような違法性のある(彼らは違法性はないと主張している)サイトが隆盛を極めていたりと、ちぐはぐな状況が続いています。
コンテンツに対してお金を払うというのは、次世代のコンテンツメーカーに対する先行投資でもあるわけなんですよね。だからこそ、「漫画村」のようなサイトは、文化の破壊者ともいえるわけです。他人の創作物にフリーライドしているというのは、結局は文化を先細りさせる結果になることを肝に銘じなくてはなりません。
そういうわけで、既存の電子書籍を扱うサービス提供者の皆さんには、ぜひとも頑張って欲しいと思っています!
- 関連記事
-
- 電子書籍の不満と解決への提言
- どうして「iPhoneの音声入力とGoogleドキュメントなのか?」についてのQ&A
- 私が音声入力しているもの