「模型と工作臨時増刊・鉄道模型工作ハンドブック」より抄録
台東区蔵前にあった版元、技術出版株式会社から発行されていた月刊誌「模型と工作」は、科学教材社発行の「模型とラジオ」とともに、戦後の総合模型工作月刊誌では双璧として語られる存在です。
鉄道模型の分野でも、車輌製作記事だけでなく、動力や電気、色彩設計に至るまでと多彩で、初心者向けに徹しながらも、より高度な遊びへ誘うことも忘れていないことに特徴がありました。合場博治氏を主力とした、アマチュア出身のライター陣による記事の数々を、懐かしく思い出される方も、少なくないことでしょう。
今回紹介するのは、既刊から初心者に適した記事をよりぬいたいわば特集本で、通常号ではありません。このような臨時増刊は、同誌においてたびたび刊行されました。昭和37年8月10日発行、本文150ページのうち、Oゲージ関連の記事20ページを選んでみました。
鉄道模型の分野でも、車輌製作記事だけでなく、動力や電気、色彩設計に至るまでと多彩で、初心者向けに徹しながらも、より高度な遊びへ誘うことも忘れていないことに特徴がありました。合場博治氏を主力とした、アマチュア出身のライター陣による記事の数々を、懐かしく思い出される方も、少なくないことでしょう。
今回紹介するのは、既刊から初心者に適した記事をよりぬいたいわば特集本で、通常号ではありません。このような臨時増刊は、同誌においてたびたび刊行されました。昭和37年8月10日発行、本文150ページのうち、Oゲージ関連の記事20ページを選んでみました。
ペーパー車輌を主体とする製作記事の他には、新幹線試作車、こだま形151系など最新車輌の形式図集が、巻末に13車種写真や解説とともに掲載され、新車が続々登場した当時の雰囲気が感じられて楽しいものです。
さて、Oゲージの記事ですが、何分三線式Oゲージも末期のこととて、キット組立・製作記事22本のほとんどはHOであり、Oはわずか5本となっています。
もっとも、線路・モーター・電源といった製品ガイドは、この号に限っていえばOの方が充実しています。最末期零番製品の状況を知ることができる、実に貴重な史料といえましょう。店主の知るかぎり、Oゲージのパーツ解説で、これらに勝る記事はありません。旧製品の研究には、欠かせない存在といっても言い過ぎではないでしょう。
キット組立記事には、現在のバラキットとは違った、いわゆる塗装済みキットの典型が、ペーパー車体製作記事には当時の技法に加え、限られたページ内でいかに説明するかといった手法も感じられ、興味を惹かれることと思います。ガラレールが幅を利かせてはいたものの、HO同様の木製道床・ペーパー抜き枕木の組立線路の存在が、写真・図入りできちんと紹介されている記事も珍しいものです。いずれも製品の研究や、修繕・自作に今でも大いに役立つことは、いうまでもありません。
読み返すたびに気になったのは、車輪と車軸の項、117ページ末尾に書かれた一文。言説に賛同するかどうかはさておいて、少なくとも筆者の山口浩氏はそう受け取っておられたのでしょうし、また末期のOゲージや、Oゲージファンが置かれた雰囲気の一端が感じられて、興味深くはあります。愛情の深さゆえの、激しい言葉と理解することもできるでしょう。いずれにせよ、後世に残る記事を書いて下さった山口氏には、いちOゲージファンとして感謝のほかありません。
さて、Oゲージの記事ですが、何分三線式Oゲージも末期のこととて、キット組立・製作記事22本のほとんどはHOであり、Oはわずか5本となっています。
もっとも、線路・モーター・電源といった製品ガイドは、この号に限っていえばOの方が充実しています。最末期零番製品の状況を知ることができる、実に貴重な史料といえましょう。店主の知るかぎり、Oゲージのパーツ解説で、これらに勝る記事はありません。旧製品の研究には、欠かせない存在といっても言い過ぎではないでしょう。
キット組立記事には、現在のバラキットとは違った、いわゆる塗装済みキットの典型が、ペーパー車体製作記事には当時の技法に加え、限られたページ内でいかに説明するかといった手法も感じられ、興味を惹かれることと思います。ガラレールが幅を利かせてはいたものの、HO同様の木製道床・ペーパー抜き枕木の組立線路の存在が、写真・図入りできちんと紹介されている記事も珍しいものです。いずれも製品の研究や、修繕・自作に今でも大いに役立つことは、いうまでもありません。
読み返すたびに気になったのは、車輪と車軸の項、117ページ末尾に書かれた一文。言説に賛同するかどうかはさておいて、少なくとも筆者の山口浩氏はそう受け取っておられたのでしょうし、また末期のOゲージや、Oゲージファンが置かれた雰囲気の一端が感じられて、興味深くはあります。愛情の深さゆえの、激しい言葉と理解することもできるでしょう。いずれにせよ、後世に残る記事を書いて下さった山口氏には、いちOゲージファンとして感謝のほかありません。