今回の大地震の翌日、菅直人が直ちにヘリコプターで福島原発を含む被災地を視察するというニュースを聞いて、私が直ちに思い出したのは、4年前の参院選直前に中越沖地震が起きた時に、当時首相だった安倍晋三が柏崎原発を訪れた件だった。
直後の混乱時にはあえてブログに書くのを控えたが、菅直人は何安倍晋三の真似なんかしてるんだと苦々しく思ったものだ。だがこの事実に触れる論者は少ない。自民党か民主党のどちらか一方に肩入れしている論者が多いためだろうが、私はそのどちらでもないので、安倍の柏崎原発視察の一件をここに蒸し返しておく。
今回の地震への対応について、自民党が菅首相の福島原発視察を批判しているかどうかは知らないが、もし批判しているとしたら、その批判は直ちに安倍晋三にはね返ってくることをまず指摘しておきたい。もちろん私は、安倍の視察も菅の視察も支持するものではない。
2007年当時に書いた「きまぐれな日々」の記事を読み直してみた。
きまぐれな日々 高知県の自民党候補が政府の災害対策を痛烈に批判
以下引用する。
1995年に阪神大震災が起きた時、震災を報じるテレビのニュース番組で、震災の当日に早くもキャスターが「もしこの大震災が首都圏で起きたら」などと言っているのを聞いて、激怒したのを覚えている。今回も、被災者のことを第一に考え、遠隔地から不謹慎なことを言うのは厳に慎みたいものだ。
安倍晋三首相は、直ちにヘリコプターで現地入りし、柏崎刈羽原発を訪れたそうだ。柏崎原発では運転が緊急停止したが、3号機の変圧器に火災が発生し、定期点検中だった6号機からは放射性物質を含んだ水漏れが確認された。新潟県沖はもともと地震の巣であって、なぜそんなところに東京電力の原発が建っているのかとは、以前から言われる疑問だ。まして今回は、機器や施設の安全性能が保たれるよう耐震設計の基準とした「限界地震」を大幅に上回る揺れを検知したことを、東京電力が明らかにしている。今後、いずれ日本の原子力行政の不備や電力会社の怠慢に起因する大事故が起きるのではないかと私などは危惧している。
関西電力も福井に原発を多数建てているが、1948年の福井地震で福井市が壊滅的な打撃を受けたことがある。日本海側では、1943年の鳥取地震の被害も甚大だった。かねがね思うのだが、原子力発電所を今後も建て続けるつもりなら、東京や大阪の近郊にこそ建てるべきではないだろうか。
いやほんと、もうこれ以上原発建てるというんだったら、東京か大阪に建てるしかないよ。どの党の政権であれ、今後原発推進の政策は大きく転換せざるを得ない。自民党の谷垣総裁と民主党の枝野官房長官が、ともに原発推進政策の見直しを表明したのは現実的な判断といえる。加えて、朝日新聞の悪名高いネオリベコラム「経済気象台」にも、これまでの原発推進政策や今回の事故への対応を批判した、「安全神話ゆえの人災」と題した記事が掲載された(3月19日付、「龍」と名乗る筆者)。
震災直後に「人災だ」として激しい自民党批判をブログで展開した雁屋哲がブログの休止に追い込まれたのが嘘のようだ。確かに震災直後に私が東電を罵倒した時にもずいぶん非難を浴びたが、その後「原発事故は人災だ」と書いた時には*1、この表現については批判を受けなかったし、いまや朝日新聞を代表する悪名高いネオリベ経済コラムでさえ「原発事故は人災」と書くに至った。