森友学園問題:近畿財務局と業者の打ち合わせ記録はなぜ軽視されてきたのか

森友問題は結局、財務省の大チョンボ!? 3枚のメモから見えた真相(髙橋 洋一) | 現代ビジネス | 講談社(1/4)

先日当ブログで文字起こしした、いわゆる「業者側の記録」が、今やこちらの記事内でクッキリとした画像で参照できる状態となった。

当該記事の内容自体は、事実確認が足りない箇所があるものの、現在明らかになっている情報から推定した内容としては、という留保をつければ比較的穏当なものと思う。

 

この記録は2月24日の共産党宮本岳志議員の質問において初めて広く世に知らされた資料である。当時は「独自資料」「爆弾」などと称された。

森友学園2/24宮本岳志(共産)の質疑書き起こし|Hikaruの井戸端放送局

撤去費用が地価を上回る可能性については、その後以下の記事で初めて言及されたように記憶している。

森友学園:ごみ撤去費10億円超想定か? 学校用地、算定の半年前 | 共同通信 ニュース | 沖縄タイムス+プラス

撤去費用が地価を上回る可能性があったのであれば、売却時に値引きされた8億円という額が不当に高いものではなかった可能性が強く推認される。この時点では「新たなゴミ」が発見されていなかったのであるから、なおさらである。

そうなると、森友学園問題の発端であるところの「国有地を不当に安い価格で払い下げた」という問題設定がそもそも誤っていたということになりかねない。

事件全体の構図を捉えるにあたっては、その真偽が非常に重要な部分である。

 

それにも関わらず、野党もマスメディアもこの部分にはほとんど触れてこなかった。

まず、上記沖縄タイムスの記事は、共同通信配信の記事であるにも関わらず、共同通信本体のwebには載らず、沖縄タイムススポニチ(こちらは抜粋版)に載ったのみであった。

ごみの撤去費用「10億円以上」国の見積もり前に財務省想定― スポニチ Sponichi Annex 社会

その後もこの打ち合わせ記録は専ら「埋め戻し」の部分にばかり焦点が当てられ、「地価を上回る瑕疵」という記述は、googleで期間を区切って検索したところ、

森友学園:近畿財務局「校内で廃棄物処分を」 - 毎日新聞

の記事で紹介されている例があるのみであった。

産経のスクープと称された

【森友学園問題】近畿財務局が産廃の「場内処分」促す 費用増大懸念し埋め戻しか 協議文書を独自入手(1/2ページ) - 産経ニュース

この記事でも、協議文書を入手して全文を参照できる状態にありながら、埋め戻しのことばかりに注目している。

上記リンクの宮本岳志議員の質疑を見ても、地価を上回る瑕疵の存在に関する部分は抜け落ちている。

発端の2/24から1ヶ月以上経過したここ数日になってやっと、おそらく和田政宗議員のブログ記事が最も強い契機としてはたらき、「地価を上回る瑕疵」の記述が注目されるようになった。

 

事件の構図そのものを左右しかねない重大事案にも関わらず、なぜこれまでこのように軽視されてきたのだろうか。

森友学園問題が報じられだした当初、読売新聞が森友学園問題をろくに報じないことが、安倍政権を慮った意図的なものではないかと疑問視されたが、その伝でいけば、こちらも疑問視して良さそうである。

たとえ可能性であっても、「国有地を不当に安い価格で払い下げた」というストーリーを覆すような内容は報じない、という意図があってあえて報じなかったのではないか、と。