アルバイト経験を書く前に、河内長野市役所を辞めて将来どんな仕事に就こうと考えていたかについて少しばかり書いておこう。私はもともと本が好きであった。読書が好きというよりは、本という物体そのものが好きなのであった。本と言っても文庫本や新書版ではなくて単行本である。その本を触ったり、撫でたり、紙の匂いを嗅いだり紙質を確かめたり、挿絵を味わったり、装丁に感じ入ったり、まあそのようなことをするのが好きなのだった。だから、将来は本屋さんをやりたいと考えていたこともある。新刊本の書店は開業資金が何千万円もかかるので、古本屋さんの方が良いだろうと思っていた。昔、大阪の道頓堀というところに天牛書店という古本屋さんがあって、よく覗いてみたことがある。そこの店主が細長い店の奥まったところに鎮座して本の鑑定などをしている姿を見て、古本屋の店主に憧れたものだった。 |
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