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高校時代3年間を通じて友人らしき友人は一人もいなかったのだが、唯一少しばかり付き合ったことのあるのが片下君だ。彼はお医者さんの息子で、兄と姉が一人ずついた。彼は末っ子だった。彼も私と同様おとなしくて目立たない生徒だった。そういうところからお互いに引き付け合って付き合うようになったのだろう。彼とは一度自転車で奈良まで遠出をしたことがある。数学の問題が分からなくて彼に答えを教えてもらったこともある。しかし、それ以上の深い付き合いはなく自然と離れてしまった。彼はその後関西大学の工学部に進み、大阪府立大学の大学院を経て家電メーカーのシャープに入社した。30代の頃にある大手書店で彼を見かけたことがある。一人で本を探している風だったが、声をかけるのはためらわれた。素直に声をかけることの出来ない自分に嫌悪感を感じていた。 |
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