Amazon Echo。私も発売直後から利用していますが、やはり便利ですね。ハンズフリーで色々な操作できるというのが楽でいいです。
その中でも特に便利で実用性が高く、かつ新しい体験ができることが家電の音声操作。
特にネットワーク経由で学習したリモコンの赤外線を飛ばすことのできる、「スマートリモコン」による音声操作はかなり便利です。このスマートリモコンがあれば、あらゆる赤外線リモコン式家電を音声操作することができます。
その導入の手軽さから、私はスマートホーム界隈は赤外線リモコンで操作する家電の多い日本において、スマートリモコンが一旦の覇権を握るのではないかと注目しています。主要企業のものはほぼすべて所持しており、その台数は6台に登ります。
ただ分かりづらいことは、Amazon Echoとスマートリモコンの組み合わせで現状一番いいのってどれなの?という話。ましてスマートリモコンは新しめのガジェットであり、各社似たようなことができることから、購入検討する上でわかりづらいのも事実。
そこで今回は、Amazon Echoと連携できる本当にオススメのスマートリモコンはどれかというのを実機レビュー交え徹底検証&比較してみました。購入の際のお役立てになればと思います。
スポンサーリンク
前提:Amazon Echo側の仕様について
Image:Amazon Alexa
まず前提としてAmazon Echoの仕様について見ていきたいと思います。特にここでは、キーとなるAmazon Alexaとスマートリモコンを連携させるための手段を紹介しておきます。
この前提を理解しておくとAmazon Echoとスマートリモコンの連携がわかりやすくなるので、ざっと目を通していただければと思います。その連携手段とは、以下の2点によるものです。
スマートホームスキルによる連携
スマートホームスキルによる連携は、簡単に言うとAmazon Alexaが用意しているスマートホーム専用のスキルです。
Amazon Alexaがデバイスの管理・発話の紐づけをすることによって、直接デバイスの操作を呼び出すことができます。
例えば、以下のような感じです。
アレクサ!エアコンをつけて。
はい、エアコンをオンにしました。
このスマートホームスキルであれば、Amazon Alexaの「定型アクション」という呼び出し名を指定する機能も使えますので、自由なフレーズで操作することが可能です。より自然なワードで家電を操作することができます。
ただし、このスマートホームスキルには現状欠点があります。それは、このスマートホームスキルで動作させるためのインターフェースがほとんど日本語に未対応であるということです。
本来的には、例えばエアコンで言うところの温度制御などの細かいことが可能なのですが、現状日本語版ではこれを利用することができません。電源ON/OFFなど、一部の動作がそれで可能です。
これは、設定の工夫(例えばチャンネル切り替えボタンを電源ONボタンとして登録し、定型アクションで自由なフレーズで操作する)をすればなんとかなるものもありますが、この場合ボタンを1つずつ割り当てていくため、その作業は非常に手間で管理も煩雑になるのが欠点です。
日本で普及している家電として最も致命的なものはエアコンの操作(特に温度調節)です。
通常エアコンはリモコンの設定情報を「リモコンの端末側」に持ち、その情報をエアコン本体に認識させるという操作管理をしています。また、比較的最新のものは、リモコンとエアコン本体の設定情報の同期を取るものもあります。
つまり、スマートリモコンで上記のような電源ON/OFFボタンといったような本来的なインターフェースとは違ったボタンを登録してこれを操作してしまうと、通常リモコンで保有する設定情報とズレてしまうことで、期待していた温度にならなかったり、エアコンが強制的にOFFになってしまうという問題が発生します。
これをリモコンの学習時に設定情報を丸ごと送信する(±1度で登録する)等の工夫をすればなんとかなるものもありますが、機器の仕様によって異なることから、スマートホームスキルの電源ON/OFFだけで完全に管理できると言い切れないのが現状です。
カスタムスキルによる連携
カスタムスキルとは、簡単に言うと各メーカが独自で実装しているスキルです。これにより、メーカー側で様々な設定(動作)を独自で作り込むことが可能です。
つまり、スマートホームスキルで欠点として挙げたような、エアコンの温度管理・それ以外にもテレビのチャンネル切り替えといった細かいことまで、特段の設定の工夫なしに実装できるんですね。
ただし、このカスタムスキルにも欠点は存在します。それは、独自で作られたものであるため、それを呼び出すためのセリフを言わなければならないことです。
例えば以下のようなイメージです。
アレクサ!家電リモコンでエアコンをつけて
はい。(エアコンがつく)
これは音声操作という、会話をするかのような、非接触な操作をする上では致命的な欠点です。しかも、Amazon EchoにはGoogle Homeのように「ショートカット機能」という任意のワードであらゆる操作が可能な設定をすることができません。
つまり現状、スマートホームスキルもカスタムスキルもどちらにもメリデメが存在します。ただし、スマートホームスキルの方はすでに海外でそのインターフェースが存在することから、より近い未来でこの問題が解決できる可能性が高いと言えるでしょう。
番外:IFTTTによる連携
Amazon EchoではIFTTTによる操作も可能です。Amazon Echoの頭脳たるAlexaは、このIFTTTに対応していますし、スマートリモコンとしてもこれに対応しているものがあります。
ちなみにIFTTTとは「もし〇〇の場合、XXする」という仕組みづくりをノンプログラミングで実現するサービス。これを利用し、「もしAmazon Echoにエアコンをつけてと言ったら、スマートリモコン側でエアコンONの赤外線を発信する」といった仕組みづくりが可能です。
▲さらにIFTTTは他のIoT機器やWebサービスへの対応も多く、様々な連携手段が取れるのがメリット。
しかし、このAmazon AlexaによるIFTTT連携には致命的な欠点が2つあります。
一つ目はAmazon Echoに話しかけるセリフの冒頭または末尾に「トリガー」という呪文のようなセリフを合わせて言わないと反応しないこと、二つ目に、IFTTTという別のサービス(サーバー)を中継する仕組みであるため、上記スマートホームスキルやカスタムスキルによる連携と比較してやや遅延が生じるといった点がデメリットです。
この2つの欠点というのは、音声操作という非接触かつ視覚的に確認できない操作前提においては、大きなデメリットになります。
よって、Amazon EchoにおいてはIFTTTによる連携はそこまで重要視していません。
本記事における評価基準
Amazon Echoとスマートリモコンは、それぞれが標準機能として家電を音声操作できるものではないこと、またそれぞれの仕様によって縛られている現状、絶対的に評価することが中々難しいです。
そこで、私が各社スマートスピーカーからスマートリモコンを実用していく中で、これは特に重要と考えるものを基準とし、それを満たしている製品について評価していきます。
重視するポイント
Amazon Echoとスマートリモコンを連携して家電を操作する上で、重視するポイントは以下の2点です。そのほかに、言語の認識精度も考慮事項でしたが、これはAmazon Echoの問題が大半であることが想定されるため、評価の対象外としています。
「任意のフレーズ」でより「自由度の高い家電操作」ができるか否か
最重視するのがこの点です。特に任意のフレーズが選べることというのは、音声操作の上では非常に重要です。
毎回呪文のようなワードを冒頭につけるのは、直感的でなく操作性が大きく失われます。
また、日常に使う上では、呼び出すセリフを自分が言いやすい言葉で設定できるようになるとなおよしですね。
ということで、上記に取り上げた性質から考えても、基本的にスマートホームスキルで連携できるものをより高評価にしています。また、自由度の高い家電操作といっても、家電は大半が「電源ON/OFF」できれば、それなりで便利なものばかりなので、そういった面でもスマートホームスキルで利用できることが優先されます。
応答速度
もう一つ重要なのがこの応答速度です。何故コレが重要かというと単純で、話しかけてから実際に操作されるまでにラグがあると、本当に家電操作されるのか?ということが気になり、ストレスが溜まるためです。
本記事では、「Amazon Echoにセリフを発してから、実際に家電操作されるまでの反応の早さ」を評価軸としています。
各社製品の特徴と比較
さて、長々と前提を語り申し訳ありませんが、各社製品を見ていきましょう。まず結論として、上記独自の評価軸から各社の仕様や対応状況について見ていきます。
今回は、現在主流となっている以下5製品を比較しています。
- eRemote
- MagicCube
- RS-WFIREX3
- sRemo-R
- Nature Remo
なお、「Check!!」となっている枠にはそれぞれレビュー記事を掲載しています。さらに詳細を知りたい方はご確認頂ければと思います。
また、評価軸の一つである応答速度の独自検証結果は、最初に以下の通り纏めておきます。数値はAmazon Echoに命令を言い終えてから、スマートリモコンで家電が操作されるまでの秒数を示しています。
製品名 | スマートホームスキル | カスタムスキル |
---|---|---|
Nature Remo | 2.72 | 2.02 |
sRemo-R | 3.04 | × |
eRemote | 2.37 | × |
Magic Cube | 2.67 | × |
RS-WFIREX3 | × | 4.33 |
※表の注記
・数値はAmazon Echoに命令を言い終えてから、スマートリモコンで家電が操作されるまでの秒数。
・「x」は未対応を示す。
・スマートホームは定型アクションによる操作前提。
(直接指定はこれよりやや遅くなる)
・秒数は同一家電(TVの電源)で10回操作した平均値を取ったもの。
(他にもエアコンの電源で試したが、傾向は上記表と大体同じ。)
・同一時間帯で計測。
(回線速度起因の遅延を極力避けるため)
この前提を置いた上で、それぞれのスマートリモコンについて詳細を述べていきたいと思います。
スポンサーリンク
eRemote
eRemoteは、スマートホームスキルに対応しています。ただし、Amazon Echoで操作できるものとしては、「照明」カテゴリに登録されたもののみです。
しかし、この照明カテゴリというのは、照明ボタンでなくても例えばTVの電源やチャンネルボタンまで操作することが可能です。
これを利用して、照明カテゴリのONボタンに家電のボタンを一つずつ登録していけば、事実上ほぼすべての家電操作を音声で実現できます。
ただし、本製品のシーン機能が、Amazon Echoのシーン機能に対応しておらず、マクロ操作を音声操作から実現できないのがデメリットです。(これは定型アクションの設定によって複数家電の一括実行の用途であればそれを補うことは可能です。)
応答速度は平均2.37秒と微差ながらもスマートホームスキル対応のスマートリモコンの中では最速でした。Amazon Echoに話しかけてサクサク操作ができます。
【レビュー】eRemoteはスマートスピーカーとの連携で実用性の高いスマートリモコン - BENRI LIFE
Magic Cube
Magic Cubeはキューブ型のクールなデザインが特徴のスマートリモコンです。
Magic Cubeも、スマートホームスキルでの連携に対応しています。
これは、eRemoteと同様にTVや照明カテゴリに登録されたものをAmazon Alexa側に登録することができ、そのカテゴリに他のボタンを登録しておけば、ほぼ全ての家電操作を音声で実現することができます。
欠点は、eRemoteと同様に、音声からのシーン機能に対応していないことと、マクロ操作ができないことです。(これは定型アクションの設定によって複数家電の一括実行の用途であればそれを補うことは可能です。)
応答速度は平均2.67秒とスマートホームスキル対応のスマートリモコンの中では平均的な数値でした。ただ、最速だったeRemoteと比較しても誤差レベルであり体感ではあまり変わりません。こちらもサクサク操作できるのでご安心ください。
【レビュー】ORVIBO Magic Cubeはデザイン性に優れ、コスパの良いスマートリモコン - BENRI LIFE
RS-WFIREX3
RS-WFIREX3はカスタムスキルに対応しています。※公式によるとスマートホームスキル連携の実装も予定しているとのこと。
これにより、「家電リモコンで〇〇して」といった、冒頭に冗長なセリフを付けないと操作できない問題があります。
しかも応答速度は平均4.33秒とかなり遅い部類。他のスマートリモコンの2倍ほど時間がかかります。ただでさえ冗長なセリフにもかかわらず、家電が反応するまでのリードタイムが遅いというのは、正直微妙です。はっきりいって普通のリモコンを使った方が楽です。
さらにネックなのが、この製品の場合Amazon Echo側に家電として登録できるものは、テレビ1台・エアコン1台・照明2台までと制限されています。空いているカテゴリにリモコンボタンを登録することで何とかなりますが、スマートホームスキルのように設定を頑張れば何台でも操作というわけにはいきません。
個人的にはAmazon Echoと連携するスマートリモコンということを第一に考えるのであれば、RS-WFIREX3は現状オススメできません。スマートホームスキル連携の実装を待ちましょう。(すでにリリースに向け動かれているようで、もうまもなくと思います。)
【レビュー】スマート家電コントローラー:RS-WFIREX3(ラトックシステム)の設定と所感 - BENRI LIFE
sRemo-R
sRemo-Rは今回紹介する中では最も新しい(発売:2018年1月30日)スマートリモコンです。
Amazon Echoと連携する上でこれの大きな特徴は、リモコンボタンが完全に分離(1〜141番)していることで、eRemoteやMagic Cubeのようにカテゴリに関わらず全てのボタンを設定可能という管理のしやすさ・柔軟性にあります。
この番号にはマクロとして設定したものも登録することができるので、音声でマクロも操作できるのが特徴です。
欠点として、スマホアプリから使う場合でも元々エアコン用の温度管理用インターフェースを持ち合わせていない(すべてボタン式)ことから、Alexa側で電源ON/OFF以外のインターフェースが使えるようになったとしても、完全にエアコンを制御することが難しいということです。
レスポンスは3.04秒とスマートホームスキル対応のスマートリモコンと比較すると、ワンテンポ置いて家電が操作される感覚がありましたが、実用に困るほどではありませんでした。
結論として設定したボタン管理のしやすさを重視したい方と、マクロ機能も任意のセリフで音声から実現したいという特定の要望を持つ方にオススメできます。
【レビュー】sRemo-R(エスリモアール)の設定方法と他社スマートリモコンとの実機比較 - BENRI LIFE
Nature Remo
Nature Remoの大きな特徴は、現時点では唯一無二:スマートホームスキルとカスタムスキルに両対応しているということです。
これは、上記で解説したように双方にメリデメがある現時点では、非常に重要なポイントの1つです。
これによりNature Remoは、基本的にはスマートホームスキルで任意フレーズで操作。カスタムスキルで細かい設定(エアコンの温度変更)を操作という柔軟な選択肢を取ることができます。
しかも、Nature Remoは枕詞が「リモで」という比較的短い呼び出しワードであるため、カスタムスキルであっても利用ハードルが低いことが特徴です。
Nature Remoをスマートホームスキル一台ごとにボタン1つという形で登録していかねばならないため、設定や管理が非常に手間です。とりあえずカスタムスキルさえ入れておけば、命令の慣れはあるもののとりあえず色々使えるようになることがメリットです。
唯一の欠点は、マクロ機能を音声から操作することができないこと。そもそも未だにアプリ側ですら需要の高いこの機能を実装していないのは辛い所。
ただしこれはIFTTTや定型アクションの設定によって複数家電の一括実行の用途であればそれを補うことは可能です。また、APIを叩ける人であれば、「Integromat」のような外部サービスを利用することで面倒ですがこれを実現することができます。
▼Integromat-Nature Remo連携については、すでにこちらのサイトでやり方が解説されていました。
chasuke.com
さらに特筆すべき点が、Nature Remoはレスポンスが他社と比較して非常に早いこと。特にカスタムスキルによる操作は平均2.04秒と各社スマートホームスキルでの操作と比較してもダントツの速さでした。このような点からも個人的に満足度が高いです。
【レビュー】 Nature Remoの設定と利用した所感。Google HomeやAmazon Echoとの親和性が高い - BENRI LIFE
結論
今まで述べてきた点を前提とし、Amazon Echoに話しかけてスマートリモコンから家電操作するという利用目的に限れば、個人的なおすすめ度を不等号で示すと以下の通りとなります。
★おすすめ順
Nature Remo>sRemo-R≧eRemote=Magic Cube>RS-WFIREX3
ただし、本記事での評価軸は上記に述べた通り、Amazon Echoから家電を音声操作する場合のみに限定しているため、機能やデザインの好み、ご予算によって最終的にどれを購入すべきかは異なると思います。
そういうわけで、以下の総合的なランキング記事も作成していますので、ご参考までに確認頂ければ幸いです。
終わりに
さて、今回は現状のAmazon Echoの仕様から、実利用を踏まえどれがオススメなの?ということを紹介していきましたが、Amazon Alexaのスマートホームスキルがインターフェースがすべて完全に日本語に対応すれば、今回お話した課題はほとんど解決すると思います。また、これまでの傾向的に今後出てくる新製品も含め、当然各社それに追従・対応してくるでしょうね。
ということで将来性を踏まえると、スマートリモコンは最終的には以下が重要になると個人的には予測しています。
- UXに優れているか
- 見守り用途や自動化への礎として「各種センサー」を内蔵しているか、または拡張可能か。
現時点ではNature Remoがおすすめですが、今後の各社のAlexa対応状況や新製品が出てくると思いますので、今後もフォローしていき、随時更新したいと思います!