震災から7年。福島県では今も帰還困難区域があり、約5万人の住民が県内もしくは県外への避難を余儀なくされている※1。一方で、福島第一原子力発電所では廃炉作業が進められ、労働環境の改善をはじめ少しずつ前進を見せているという。原発をはじめ震災関連の報道が減り始めている今、福島のイメージが事故発生当時のままで止まっている人も少なくないのではないだろうか。
(※1 2018年2月5日現在:福島県災害対策本部「平成23年東北地方太平洋沖地震による被害状況即報」より)
元サッカー日本代表の中田英寿さんも、その一人だった。現役引退後、中田さんは47都道府県を巡り、日本の食文化やものづくりの現場を自分の目で確かめてきた。中でも日本酒については自身で事業会社を設立し、イベントなどを通じてその魅力を国内外に発信し続けている。また昨年末には福島の日本酒を厳選した「CRAFT SAKE DAY FUKUSHIMA」を開催した。
「毎日の生活で当たり前になっているものこそ、きちんと関心を持たなければ」と中田さんは言う。口にするものや、着るもの、そして、電気も。日々の暮らしでは見えてこない、福島第一原発の今。廃炉に向け何が行われているのか。周辺の地域ではどんな暮らしが営まれているのか。福島県の「いま」をこの目で確かめたい。2018年1月末、中田さんは福島第一原発を訪れた。