アデコ株式会社の人財紹介事業ブランドである「Spring転職エージェント」。
同ブランドは先日発表された「2018年 オリコン顧客満足度ランキング」の転職エージェント部門で第1位を獲得しています。
数多ある転職エージェントの中で、なぜSpring転職エージェントが最も評価されたのか。
今回は同ブランドの責任者であり、アデコ株式会社 執行役員 人財紹介事業本部長を務める板倉啓一郎氏に、その理由を直接聞きました。
約4,000人の顧客満足度調査で総合1位
― 今回「2018年 オリコン顧客満足度調査ランキング」の「転職エージェント」で第1位を獲得したとのことですが、この結果にはどのような価値があるとお考えでしょうか?
板倉氏(以下敬称略):過去7年間に実際に転職エージェントを利用した3,959名を対象にしたアンケートの結果ということで、これは確かなマーケットの反応なんだと素直に喜んでいます。
項目別で見ても「利用のしやすさ」と「交渉力」で第1位、「担当者の対応」「紹介案件」「紹介案件の質」で第2位となっています。
また「利用者の声」としてもアドバイスの的確さや、提案の精度、ヒアリングの姿勢などが高く評価されています。
これを見ても、われわれが注力している部分がきちんと評価されているのだと感じて嬉しく思っています。
なぜ「Spring転職エージェント」が顧客満足度調査No.1なのか?
― 「注力している部分が評価されている」とのことですが、具体的にどういった部分に力を入れているのでしょうか?
板倉:それは大きく3つあります。
第一に「360度式コンサルティング」
第二に「職種・業界別専門部門制」
第三に「ダイバーシティ」です。
●提案力を高める「360度式コンサルティング」
― 「360度式コンサルティング」とはどういう意味でしょうか?
一般的には知られてないと思いますが、転職エージェントには2つの方式があります。
「180度式コンサルティング」と「360度式コンサルティング」と呼ばれるものです。
「180度式コンサルティング」というのは、求職者のキャリアカウンセリングなどを行うコンサルタントと、企業側の求人を集めてくる営業担当を別々の人間が担当する手法です。
効率化が図れるので大手の転職エージェントはこちらの手法を採用しているところがほとんどです。
これに対してSpring転職エージェントが選択している「360度式コンサルティング」は、求職者への対応も求人企業への営業も同一のコンサルタントが行います。
― どうしてSpring転職エージェントは一般的な「180度式」ではなく、効率面で劣る「360度式」を採用したのでしょうか?
板倉:180度式は確かに効率的ですが、求職者と企業への理解を深めるのは簡単ではありません。
コンサルタントは求人企業の担当者に直に会っていませんし、営業担当者は求職者に直に会っていないからです。
360度式はコンサルタントが求人企業の担当者と直接会ってヒアリングをしているので、企業の理念や求める人材像など、細かな部分まで実際に見て聞いた話を伝えることができます。
逆に求人企業に対しては、求職者の経歴やスキルといった表面的な情報だけでなく、人となりや価値観といったソフト面の情報も提供できるわけです。
一見効率が悪いように見える「直に会って話して、聞く」という部分を大切にすることがミスマッチを減らし、今回の顧客満足度調査の結果につながったのだと考えています。
●濃い面談を実現する「職種・業界別専門部門制」
― 「360度式コンサルティング」を実施してどんな変化がありましたか?
360度式コンサルティングによって実現したのが「職種・業界別専門部門制」です。
この手法を採用した4年前(2014年)は、徐々に日本でも職種専門性が重視されるようになってきた頃でした。
そこでわれわれも職種にフォーカスを当てて、必要に応じてそこから業界別に専門部門を設けるようにしたのです。
現在は大きく「管理系」「セールス&マーケティング」「ITエンジニア」など6つのサービス領域と8つの部門で、それぞれの専門領域を担当しています。
― この体制になったことによって、どのようなメリットがあったのでしょうか?
板倉:各職種、各業界に精通した専門家の視点から、提案や紹介ができるようになりました。各担当者はある特定のカテゴリの人間と、毎日のように面談します。
求職者と面談すれば、相手がどんな想いで働いてきて、どんな職場を求めていて、どんな未来を思い描いているのかという話をする。
求人企業の担当者と会えば、どんな人財を求めているのかだけでなく、経営理念や今後の組織の展望、現場の声に至るまでみっちり聞いてくる。
そんな毎日を過ごしていれば、自ずと彼らは「こういったタイプの人財はどんな組織で求められているのか」「今この職種(あるいは業界)では、どんな人間が求められているのか」といった専門家の視点を持つようになります。
だからこそ的確な提案や紹介ができるというわけです。
― 職種や業界で専門の担当者を決めてしまうと、個人プレーになって求職者と求人企業の「囲い込み」が起きませんか?
板倉:よく勘違いされるのですが、Spring転職エージェントの「360度式コンサルティング」と「職種・業界別専門部門制」は個人プレーではなくチームプレーです。
例えばある職種のある業界の担当を決めるとなれば、最低でも3人のチームを組みます。
チームのメンバーはお互いに求職者や求人企業の情報を共有しておいて、自分が会った求職者が別のコンサルタントの求人企業とマッチするようなら、そのコンサルタントに直に会ってもらって担当を引き継ぎます。
この際、はじめに担当していたコンサルタントと引き継いだコンサルタントの双方にインセンティブが発生する仕組みになっています。
つまり自分が会った求職者を別のコンサルタントに紹介しても、その行為が報われる仕組みになっているので、囲い込みが起きるといったことはありません。
●顧客のニーズに対応できる「ダイバーシティ」
― 3つ目のポイント「ダイバーシティ」についてお聞かせください。
板倉:私がSpring転職エージェントの責任者に任命された2014年当時、われわれのメンバーは全員で90名でした。
それが2018年現在250名に増えています。平均して毎年40人は採用してきたことになります。
この250人の中にはもともとアデコ社内にいた人のほかに、同じ業界から転職してきた人、全く違う業界の人、海外で活躍してきた人、インターンで海外から来てそのまま残っている人、まっさらな新卒入社の人など実に様々な人たちがいます。
2020年にはコンサルタントを500人体制にする計画ですが、こうしたダイバーシティ(多様性)はしっかり確保したいと考えています。
昨今は若年層を中心として求職者のニーズが多様化していて、多様化する求職者の人生観や価値観を理解するには、コンサルタント自身が多様な人生観や価値観を持っていなくてはなりません。
そのための近道は、組織内部で多様なバックボーンの持ち主と直に接することです。
そうして求職者の人生観や価値観を理解できれば、それに合わせた対応ができるようになります。だからわれわれはダイバーシティを重要視しているのです。
― しかしそれだけ多種多様なバックボーンの人たちを採用すると、教育するのが大変なのではないでしょうか?
板倉:その点は「360度式コンサルティング」と「職種・業界別専門部門制」がカバーしてくれています。
先ほど言ったように各コンサルタントは毎日のように特定のカテゴリの人間と接します。
するとたとえ全く無関係の業界からSpring転職エージェントに入社した人でも、短期間のうちに戦力へと成長してくれるのです。場合によっては各専門部門ごとに勉強会も行います。
またわれわれは研修にも非常に力を入れていて、求人を取ってくるところから採用までのプロセスごとに研修コンテンツやトレーニングを組んでいます。
この研修プログラムは常にブラッシュアップしていて、海外の拠点で実施しているものでも、日本で応用できるものであればコンテンツとして積極的に組み込みます
毎日の実戦経験や勉強会、そして作り込まれた研修があるからこそ、われわれはダイバーシティを重視しながらも、高いパフォーマンスを発揮できるのです。
― 本日はありがとうございました。インタビューは以上となります。
「転職エージェントはどこも同じ」ではない
コンサルタントに相談をして、求人企業を紹介してもらって、面接を受けて……。こうした外面的なプロセスだけを見れば、転職エージェントはどこも同じように思えます。
しかし板倉氏が語るように、どのような体制でコンサルティングを行なっているかによって、提案力やマッチングの精度は大きく変わってきます。
だとすれば「大手だから」「有名だから」という理由だけでは、転職エージェント選びはできません。今回の板倉氏の話からSpring転職エージェントに興味を持った人は、試しに一度登録してみては?