2018/03/10
トランプ大統領が関税導入文書に署名!史上初の米朝首脳会談を控え今後の相場はどうなる?
2018年3月8日(日本時間3月9日未明)、かねてから注目されていた鉄鋼およびアルミ製品に輸入関税を課すことを命じる文書にトランプ大統領が署名しました。
そして、アメリカ側が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の要請に応じ、5月までに米朝首脳会談を実施する意向であることも報じられました。
もしも本当に米国と北朝鮮のトップ同士の会談が実現すれば、史上初の歴史的イベントとなります。
アメリカを中心に目まぐるしく動く世界情勢は、果たして相場にどのような影響を与えていくのでしょうか?ここまでの経緯をまとめながら、今後の展開を予想してみましょう。
輸入関税について
先週報じられたニュース通り、トランプ大統領はアメリカ国内に輸入される鉄鋼とアルミニウムに重い関税を課すことを決定しました。その詳細は以下の通りです。
ポイント
- 関税率:鉄鋼に25%、アルミニウムに10%(変更なし)
- カナダとメキシコは輸入関税の適用を除外する
- その他の国についても、国家安全保障に基づき大統領令により除外される可能性がある
- 関税は15日以内に発効される
- 貿易相手国が米国からの輸入に課す関税と同率の関税を相手国からの輸入に賦課する「相互税」も計画中。
関税案の考察
当初ホワイトハウス側は、「関税賦課国に例外はない」という方針を示していました。
そのため、アメリカに多くの鉄鋼・アルミを輸出しているカナダやメキシコ、ブラジル、ロシア等の国々が反発し、報復措置として互いに高関税をかけあう貿易戦争に発展するのではないかという懸念が巻き起こりました。
しかし、トランプ大統領の強引すぎる関税案に対して、身内の共和党内部からも批判が殺到。ついには、トランプ政権の良識派として知られていたゲイリー・コーン国家経済会議議長が辞任する騒ぎとなり、さすがのトランプ大統領もある程度譲歩せざるを得なかったようです。
ここで気になるのは、日本も関税適用除外国になるのかどうかという点です。
⇒高関税をかけられたら、日本の貿易収支に影響が出る
客観的に判断して、日本が適用除外の対象となる可能性は高いと思われます。
根拠
- トランプ大統領自身も署名の際に、「鉄鋼やアルミの輸出によって米国の安全保障を脅かしていないのであれば、輸入関税で影響を受ける全ての国に適用除外が認められる可能性がある」と明言している。
- カナダとメキシコが関税の適用除外国となったのは、アメリカにとって両国が地域的かつ北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉において重要な同盟国だから。
- 日本も日米安全保障条約を通じてアメリカと同盟関係にあり、自国の輸出が米国の安全保障を脅かしていないことは明白。協議の中で適用除外国になる公算が大きい。
すでに日本の閣僚も、関税適用除外国に認定されるべくアメリカとの協議に動いています。
EUも「自分たちは関税適用除外国になるだろう」と交渉に自信を示しており、保護貿易主義政策によって世界的な貿易戦争に発展するリスクは大きく後退したと言えるでしょう。
ただし、アメリカ側は関税の適用除外交渉の際に、「防衛を含め、どの国が米国を公正に扱っているのか検証していくつもりだ。」と語っています。2017年度のアメリカの貿易赤字は7961億ドル(前年比8.1%増)。国別に見ると、
- 中国
- メキシコ
- 日本
の3国が上位を占めており、日本もこの機会に貿易不均衡の是正や防衛費負担の拡大を迫られる可能性は十分に考えられます。
さすがビジネスマン上がりの大統領だけあって、交渉に隙がありません。(笑)一筋縄ではいかない協議を余儀なくされるでしょう。
米朝首脳会談について
同日、サンダース米大統領報道官は声明にて、トランプ大統領が5月までに北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と会談を行うことに同意したことを明らかにしました。
場所と日時は未定。アメリカ側が北朝鮮の招待を受け入れる形であり、もしもこの会談が成功すれば北朝鮮の核問題に大きな進展が見られる可能性があります。
訪朝した韓国特使団に対しても最大限の礼節を持ってもてなしており、今までさんざんアメリカや韓国、日本などの周辺国を罵倒してきた人とは思えないほど穏便な対応に不気味さすら覚えます。(笑)
米朝首脳会談の見所
- アメリカ側のシビアな反応
トランプ大統領はツイッターにて、「(北朝鮮の対応は)大きな前進だが、会談まで制裁は続ける」と語っています。これまで北朝鮮に何度も非核化の約束を反故にされてきた経緯があるため、政権内にも北朝鮮の発言を冷ややかに見ている閣僚が少なくありません。「米朝首脳会談の実現は我々の手柄だ」と喜んでいる韓国政府とは裏腹に、日米の反応は極めて冷静です。 - 両国の目的が本当に合致するのか?
ポイント
アメリカの狙い- 北朝鮮に核兵器や長距離弾道ミサイルの開発を完全に止めさせたい
- 会談を通じて、非核化を約束した金正恩朝鮮労働党委員長の意思を見極め、最終通告を行える
- 11月の中間選挙前に一定の成果を上げておきたい
北朝鮮の狙い
- 経済制裁の解除
- 現体制維持の保証
- 米国の敵対政策の破棄(在韓米軍の撤退?)
正直なところ、北朝鮮側が核を放棄するために掲げている前提条件をアメリカ側が素直に応じるとは思えません。メデイロス元国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長は米メディアに対して、「北朝鮮は決して核兵器を放棄しない」と指摘。「文在寅大統領を手玉に取り、今度はトランプ大統領を手玉に取ろうとしている」と息巻いています。はたして金正恩朝鮮労働党委員長にどこまで譲歩する覚悟があるのか。その選択次第で、北朝鮮の未来は天国か地獄に分かれることでしょう。
周辺諸国の反応
- 日本:「北朝鮮の真意を注意深く見守る」というスタンスをとる。
- 中国:「積極的な進展を望む」と歓迎しつつも、自国が蚊帳の外に置かれていることに戸惑いも。
- ロシア:「正しい方向への第一歩だ」と好感。
まとめ
日経平均株価が一時500円近い高騰を見せた後に後場で失速したように、関税問題も北朝鮮問題もしばらくは様子見の状態に移行しそうです。
とはいえ、あまりにもネガティブ材料が多かった相場でようやく明るい兆しが見え始めてきたのはグッドニュースです。ドル円も順調に105円台から107円台に向かって円安に振れており、このままこの流れが継続してくれることを期待したいところです。
現時点では投資家も慎重姿勢を維持していますが、本当に北朝鮮の非核化が実現すればお祝儀相場となるかもしれません。打ち上がるのはミサイルではなく株価だけにしてもらいたいものです。(笑)
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