突然ですが、「家族葬」という言葉を聞いたことはありますか?
言葉からのイメージすると、あったかく他人に気兼ねなく近しい人だけで執り行うお葬式に聞こえます。
では、何をもって家族葬というのか。
実は、定義やルールといったものは、ありません。
数十年前にできた言葉で、意味も極端な話、家族の数だけ「家族葬」の形は違います。
通常、お葬式は通夜・告別式と二日間にわたって執り行います。
ただ、今回ご紹介するのは、最近非常に増えている「一日」だけお葬式を行う「一日葬」をご紹介します。
これは、実際に私が担当したご家族とのやりとりを元に書いてみました。
これから「一日葬」を考えている人は、参考にしてみてください。
香田様の場合 ~自宅で一日葬~
お迎えから打合せ
深夜1時、電話が鳴り響く。
「夜分遅くにすいません。以前、ご相談させていただいた香田です。つい先ほど父が亡くなりましてお迎えをお願いしたいのですが、、、」
本当に、人はいつ亡くなるか誰にも分かりません。
香田様からは、一か月前にお葬式のご相談を事前に受けていました。
まずは、入院先の病院から移動する必要があります。
私は、今現在の香田様と香田様のお父様の状況を詳しく聞き、お迎えの準備を進めました。
事前の問合せで、香田様から「万が一の際は、自宅に連れて帰ってやりたい」と伺っていたので、そのようにしました。
ご自宅には、お父様にお休みいただく部屋と敷布団と掛布団が用意されていました。
お父様にお休みいただくと、応接間に移動し、お葬式の打合せが始まりました。
香田様とは、事前の相談をしていた際に、自宅で式をおこないたい旨は伺っていました。
ただ、式の形式を通夜・告別式二日間おこなうのか、それとも告別式の一日だけの一日葬をおこなうのかどうか、決めきれていないご様子でした。
理由を伺うと、親戚から二日間したほうがいいんじゃないかといわれている、一日葬は初めてで(一般的にみて)変ではないだろうかという2点でした。
私は、一日葬は比較的新しい形のお葬式で、初めて参加される方が多いことを伝えると、「そうなんだよ、親戚も一日葬に参加するのが初めてで本当に一日で済ましていいものなのか分からないから二日間やったほうがいいんじゃないって言われたんだ」とのこと。
お坊さんの意見としては、通夜には通夜用のお経があり、必要なことでしなければいけないと強く言われる方もいます。
しかし、葬儀社の担当プランナーとしての意見は、お葬式自体、年々、簡略化が進んでいる時代です。
今はまだ新しく感じる一日葬だが、近しい人だけでお見送りするお葬式がスタンダートになりつつあるので費用面と参加される人の肉体的負担の軽減を考えて一日葬を選ばれる方は、増えていますし、これからも増えていくと思われます、と香田様にはお伝えしました。
結果、香田様は一日葬をされる運びとなりました。
一日葬に参加された方の反応
式には、家族親族合わせて16名様が参加されました。
自宅は式場になったというのもあり、非常にアットホームな雰囲気で式は進行していきました。
通常であれば、1時間で告別式をおこなうところを1時間30分の式を提案していたので、ゆっくりと最後のお花入れの時間を確保することができました。
これには参加された方からも、「一日葬に参加するのも初めてだったが、ゆっくりとお花入れしながらお別れできてよかった。ありがとうございます。」という、ありがたいお声をいただきました。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は、香田様のケースを元に一日葬をご紹介しました。
古くからの風習や慣習が、色濃く残るお葬式という儀式は、時代に合わせて日々変化しています。
一日葬という形式のお葬式は、メリットが多いですし、時代に即したお葬式の形と言えるのではないでしょうか。
ただ、注意点としてすべてのご家族にとって良いものではないというところです。
詳しくは、違う機会にご紹介できればと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
【関連記事】「プロが解説!一日葬の流れとメリット&デメリットまとめ 火葬式との違い(所用時間や費用相場)とは?」はコチラ
この記事を書いた人
木南 健(きなみ たけし)
後悔を残さない最期を
数年前に父が急死した際、今の仕事に就いていればどれだけ母や兄妹の支えになれたのだろうと考えることがあります。
過去は変えることはできません。
あの日、抱いた悲しみや不安の根底にあったものは父をしっかり送ってあげたいという想いです。
同じように、大切な人との別れによる「悲しみ」「不安」を抱く方々の支えとなり、その根底にある「大切な想い」を形にするお手伝いができればと思っています。
心に残ったこと
まだ駆け出しの新人だったころ、お葬式が終わった後、喪主様に笑顔で力強く握手をされたことです。
期待にお応えできたんだと言葉以上に感じることができ、とても嬉しかったです。
出身:岡山県岡山市
趣味:弓道、読書
好きな映画:「サトラレ」
好きな音楽:BEGIN