県民健康調査検討委・星北斗座長に聞く 不安ある限り「続ける」
県民健康調査検討委員会の星北斗座長に、甲状腺検査の意義や課題を聞いた。
―これまでの甲状腺検査の結果を踏まえ、検査の意義について改めて伺う。
「検査で相当数の甲状腺がんが見つかる中、原発事故と関係がないと言い切れる材料を持ち合わせていない。子どもの甲状腺への放射線の影響が心配されるというのが検査の出発点。これまで知られている放射線量などから(原発事故の影響は)十分に低いレベルにあるはずだが、心配に思っている人がいる。不安な人がいる限り、検査体制をなくしてはならない」
―治療の必要がないがんを見つける「過剰診断」との指摘もある中、星座長は検査を見直す時期ではないかと委員に投げ掛けた。
「大半の委員は『続けるべきだ』とした。すぐに検査をやめるということではないが、がんの発生と原発事故の影響を明確にするためだけに、希望しない人を検査するのは大きな間違い。だからと言って、不安で検査したいという人に『不必要ながんを見つけるだけだから検査をやめよう』とは言えない。説明と同意は丁寧にするべきだ。できるだけ早く次のメッセージが出せるよう、2巡目なりの評価をする必要がある」
―本県以外でも検査してデータを集めるべきだとの意見もある。
「するべきではない。福島県と同じ規模で検査をすれば同じ規模のがん患者を見つけることにもなる。被ばくの可能性もない、不安でもない人を検査してがんが見つかったらどうするのか。福島県の影響の有無を調べるために、他の地域で検査をするべきではない」
―がんが見つかった人も含めた心のケアについて。
「非常に大事だ。今後の検査の方向性など結論が出るまで、これからもがんは見つかっていくだろう。心や体に傷を負った人たちに対し、これから先も丁寧に支援していく必要がある」