「政府閉鎖」寸前を繰り返す米国のヤバい状態

鳥獣が跋扈する米国の財政リスクを見失うな

もはやまともに機能できていない米議会(写真:Joshua Roberts/ロイター)

米国の政府機関閉鎖は、わずか3日で終了した。「相変わらずのから騒ぎ」という印象が強いが、債務上限引き上げでの混乱や財政赤字の拡大等、米国財政をめぐるリスクが着実に高まっていることは見逃せない。まともに予算を決められない異常事態に慣れてしまうのは禁物だ。

政府閉鎖は共和党の圧勝で終了

「なかなか良い交渉手腕だな」

米国のドナルド・トランプ大統領は、上院共和党を率いるミッチ・マコネル上院院内総務を、こう褒めたという。暫定予算の期限切れで1月20日から始まった政府機関の閉鎖は、2月8日までの暫定予算の成立により、3日目となる1月22日に終了した。あっけない幕切れである。

閉鎖の引き金は移民問題での共和党と民主党の対立だったが、結果は共和党の圧勝だった。民主党はバラク・オバマ前政権が始めた若い不法移民に対する本国送還の猶予措置(DACA)を継続するよう求めたが、マコネル院内総務は上院での審議を約束したのみで、譲歩らしい譲歩をせずに、民主党を切り崩した。

民主党には、計算違いが重なった。「大統領と議会の多数党が共和党である以上、世論が政府閉鎖で責めるのは共和党」というのが、民主党の計算だった。確かに、全米規模の世論調査では共和党を責める割合が高かったが、トランプ大統領への支持が強い州では、「民主党は国民より不法移民を優先している」との声もあった。

間が悪いことに、今年11月の中間選挙で改選となる民主党の上院議員には、そうしたトランプ大統領の支持が強い州を地元とする議員が多い。民主党の結束は、長続きしなかった。

トランプ大統領の“静けさ”も誤算だった。民主党は、「取引(ディール)」好きのトランプ大統領なら、議会の共和党指導部を差し置いて、自ら民主党との妥協に乗り出すと踏んでいた。仮にディールが不発でも、必ずやトランプ大統領は問題発言を行い、世論は民主党に味方する。そんな計算もあったはずだ。

ところがトランプ大統領は、マコネル院内総務等の進言を受け入れ、表舞台に出ようとしなかった。想定外のトランプ大統領の行動に、民主党は出口を見失った。

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  • NO NAME729577fb7549
    足りない分を埋め合わせるのに発行される米国債権を日本や中国が買い支えていたわけだけど。中国は原油先物元決済&金現物路線で、もう米国債処分して行くからとか言ってるわけだから、これまで通りに米国債権発行を続けられるわけもなく。日本一国で買い支えられるわけもないしいよいよパンクするのか。それは無いだろうからドルの切り上げ?切り下げ?で債務を全部半分にするのですかね日本と中国は巨大なババを掴まされる事になるんでしょうか
    up11
    down2
    2018/1/29 09:26
  • 池谷10636f6036c0
    正直、どの程度危ないのかよくわからないというか不安をただ煽る
    だけの記事だった。

     文字で雰囲気を語るよりも、政府債務の増加と金利上昇の関連性
    のグラフを出すとかすれば政府債務増加と金利上昇に相関関係が
    あるのかないのかはっきりわかるだろうし、また、相関関係が無くても
    ある一点を超えたら関係性が反転するとかも見えるだろう。

     政府債務の増加はGDPの上昇につながるのは中国の政策を見ても
    分かる事(防衛費を増やしてGDPの上昇率を確保した)なので
    経済記事としたいのならもっと掘り下げて欲しいと感じます。

    up5
    down2
    2018/1/29 11:30
  • NO NAMEa42a29a78f4c
    米国債を日本が売ったことがないという都市伝説があるのはなんでだろう
    保有額から売り買いしてるのは当たり前なのにね
    up3
    down0
    2018/1/29 11:12
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