検証24

このページでは現時点でFIMFL (フィムフル)およびBitConnect Coin (ビットコネクトコイン)という仮想通貨に関係する以下の3つのサイトを検証しています。

●株式会社JCloud (www.jcloud-grp.com/)
●SOL Wallet [FIMFL フィムフル] (ソル・ウォレット www.sol-wallet.com/index.html)
BitConnect [ビットコネクトコイン] (ビットコネクト bitconnect.co/


まずFIMFL (フィムフル)に関する検証から行います。

●株式会社JCloud (www.jcloud-grp.com/)
●SOL Wallet [FIMFL フィムフル] (ソル・ウォレット www.sol-wallet.com/index.html)

これは以下のYahoo知恵袋での質問への回答として書いた項目です。

>ID非公開さん
>2017/12/3018:16:54
>今日親戚のおばさんが家にやって来て、両親に仮想通貨の投資の勧誘をされ、数万円の購入契約をしたそうです。
>なんでも両親が勧誘された通貨は上場前のものだそうで、性能がすばらしく将来ビットコインを越える通貨になり、ある有力者からのお墨付きもあるとのことでした。しかしどういったコインなのか資料などは一切なく、入会申込書だけが渡されたそうです。会社名は株式会社JCloudという名前で、SOL Walletという取引所の会員登録をしたようです。
>インターネットで調べてみたのですが、そのような会社の情報は出てこず、取引所のサイトはあったのですがかなりマイナーなようでした。いわゆる草コインとかICOなら百歩譲ってまだましなのですが正直かなり怪しいと思っていま。何か情報をお持ちの方いましたら教えてください。
(引用終了)


早速「株式会社JCloud」「SOL Wallet」を検索してみると表題の2つのサイトが見つかりました。まず株式会社JCloudのサイトを見ましたが仮想通貨に関係するような情報は全く見つかりません。連絡先情報は以下のようになっています。


>会社名 株式会社JCloud
>英文社名 JCloud Inc.
>代表取締役 西村 光一
>従業員数 7名
>所在地 東京都港区赤坂3丁目2番6号
>TEL         03-5561-8537
>FAX 03-5114-8751
>事業内容 貿易業 インターネット関連事業 通信販売事業 食料品の販売および飲食店の経営 ソフトウェア開発事業 デザイン事業

従業員7名でかなり幅広い事業内容があるようですが、その中にも仮想通貨関連と思われる項目はありません。クッキングヒーターなどを扱っているとかデビットカードを発行するとかセミナーに講師を派遣するとか書いてありますが正直言って本気で営業しているようにはあまり思えません。
住所は東京都港区赤坂となっていますがこの住所にはアパ赤坂中央ビルという地上9階地下3階のオフィスビルがあるようです。1階には銀行が入居するなどかなり大きなオフィスビルのようですが、株式会社JCloudの住所にはビルの名称、階数などが示されているべきでしょう。不完全な住所という印象があります。ちなみに法人登記を調べると登記上の住所も「東京都港区赤坂3丁目2番6号」だけで終わっており、階数や部屋番号に相当する部分はないようです。ちなみにこの会社は登記上は2016年9月に大阪の住所で設立され、およそ半年後の2017年3月に東京都港区赤坂の現住所に移転してきたことになっています。

次にSOL Walletのサイトです。まず連絡先情報ですが以下の様な微妙な表記になっています。すなわちSOL Walletの所在地ではなく運営管理を行っている株式会社JCloudの所在地が書いてあるのです。


SOL Walletは株式会社JCloudの一部門という扱いで同じ住所にあるのでしょうか?この所在地情報では非常に曖昧です。一応SOL Walletが別の法人として登録されていないか国税庁の法人番号公表サイトで検索してみましたが社名で検索しても赤坂の住所で探しても該当が見つかりません。仮にSOL WalletがJCloudの一部門ならばJCloudのサイトに仮想通貨関連の事業をやっていることやSOL Walletの名前あるいはSOL Walletのサイトへのリンクも出てこないのはどういう理由なのか理解に苦しみます。これでは仮想通貨事業はJCloudにとってあまり知られたくない裏家業であるかのように見えます。

ともかくSOL Walletのサイトを見ていくと知恵袋の質問では不明だった仮想通貨の名称、FIMFL (フィムフル)が判明しました。


ちなみにFILFLという名称の由来が以下のように説明されています。

>FIMFLという名前は、日本の古典文様であり永遠の美しさや生命力、無限の発展性を表す想像上の花『五瓜唐花』でしたので、その英訳『Five Melon Tang Flower』からの造語です。

しかしこのサイトにもFIMFLの具体的な情報はこれ以外に殆ど何もありません。「他の仮想通貨と違い、レートが安定しているのが特長」とありますけどいかなる仕組みでレートを安定させるのか説明はありません。ホワイトペーパー(計画書)もありませんし、発行枚数、発行価格などの基本情報さえありません。仮想通貨として流通させる計画についても全く情報がありません。とにかくあらゆる説明が欠落しています。
またどれほどの人数や資本がこの仮想通貨を決済手段として普及させる為に投入しているのか全く分かりませんし、どれほどの進展が見込めるのか全く情報がありません。

そしてSOL Walletでは以下の取引手数料一覧を見ても分かるようにFIMFLだけでなくビットコインなど他の仮想通貨の取引、FIMFLとビットコインなどの取引なども行われていることになっているようです。


そしてSOL Walletのサイトのマーケット情報の項目にはビットコイン、イーサリアムなど5種の仮想通貨の相場が出ていますからこれらの仮想通貨の取引が可能なのだと思われます。


だとすればSOL Walletは金融庁に登録を得る必要がある仮想通貨交換業者に該当するはずですが、2017年12月現在、金融庁から出ている登録業者のリストにSOL Walletは該当がありません。既に登録申請済みで現在登録審査中であるなら違法ではありませんが取引には注意が必要かと思われます。

結論として現時点で情報開示が明らかに不足しているこの案件への投資はかなりリスクが高いものと判断します。特に知恵袋の質問に出てきた性能がすばらしく将来ビットコインを越える通貨になり、ある有力者からのお墨付きもあるといった売込みが何の説明もなく行われているのだとすれば景品表示法とか特定商取引法に照らして違法性さえ疑われます。投資は推奨しかねます。


BitConnect [ビットコネクトコイン] (ビットコネクト bitconnect.co/

この項目も上の項目と同じで知恵袋の質問への回答として書いたものです。この項目を書いている2018年1月の時点で既に風前の灯状態になっているようですが、同じグループが同様の案件を立ち上げている様子もあるので検証対象にします。ビットコネクトコインという案件の存在はかなり前から認識してはいたのでもっと早い時期に検証するべきだったと反省しています。検索してみると公式サイトらしきサイトが表題のサイト以外に少なくとも2つ見つかります。

https://bitconnectcoin.co/
https://bitconnect.com/

しかし表題のサイトがアクセス数が他の2つよりも1桁多い上にGoogleの翻訳機能を使った不完全なものですが日本語表示が可能なのは表題のサイトだけなので主に表題のサイトを検証対象として必要に応じて他の2つのサイトも検証対象にしました。

まずこれは日本発の案件とは思われませんが2018年1月現在でもTwitterでの日本語での宣伝投稿はとても多いですし、宣伝目的の動画や勧誘目的のサイトも多数存在します。


勧誘用と思われる動画やサイトには以下の様なビットコネクトのサイトへのアフィリエイトID付きのリンクを見ることがあります。

(●●●●●の部分は伏字でアフィリエイターのIDと思われる。)

日本で勧誘が執拗と言えるほどに行われているのはアフィリエイト報酬目当てのアフィリエイターによるものでしょう。

そして日本での勧誘が盛んに行われている状況を反映しているのでしょうが公式サイトへのアクセス状況を見ると国別アクセス数で日本からのアクセス (ページ閲覧数の6.5%、訪問者の5.8%)はアメリカ、インドに次ぐ第3位です。日本での購入者もかなり多いものと思われます。


まずは連絡先情報を探しますがこの項目の冒頭で挙げた公式サイトらしき3つのサイトbitconnect.co/bitconnectcoin.co/bitconnect.com/のいずれにもそれらしき情報がありません。唯一2番目のサイト(bitconnectcoin.co/)に以下のメールアドレスだけが見つかりました。


どうやらビットコネクトコインの特徴として挙げられている以下の4つの特徴、


●BLOCKCHAIN SECURITY ブロックチェーンによる安全性
●FAST TRANSACTION 迅速な処理
●DECENTRALIZED 非中央集権的市場
●VALUABLE 配当が得られる

の中の3つ目、非中央集権的市場というビットコインと同じ概念で特定の管理者は存在しないという主張のようです。さらにこの仮想通貨は上に挙げたばかりの4つの特徴の最後に記されているように配当が得られるとなっており、その配当は以下の4つの選択肢で得られることになっていて

1. Bitconnect Staking
2. Bitconnect Lending  ( Best Choice )
3. Bitconnect Mining
4. Bitconnect Trading

特にLENDING (貸付)がベストチョイスとなっています。そしてその配当利回りは金額によって異なるものの1カ月に最大40%などという超高利回りになっています。


貸付というけれどこんな高利回りで誰が仮想通貨を借りるのでしょうか?本当にこんな高い金利を払う人、企業がいるなんて到底信ずることが出来ません。またざっと見た限りでは貸し付けを望む人への案内なども見つかりません。

そしてビットコインの様に帳簿管理業務を非中央集権化(マイニングという形でマイニングを行うマイナーに帳簿を管理させる)というなら話しは分かりますが、貸付業務まで非中央集権化して配当を出すなんていうシステムが出来るとは到底思えません。例えば借り手の身元を確認し、信用調査など担当しているのでしょうか?配当を出すような仮想通貨で管理者が不在なんて夢物語としか思えないのです。

これだけの高利回りを提案している件についてはネット上には仮想通貨・イーサリアムの創業者であるVitalik Butenrinという人物がビットコネクトが1日当たり1%といった信じられない高配当を出すというならそれはポンジースキーム(自転車操業方式)の詐欺だろうという発言をTwitterに書き込んだという件がネット情報サイトなどで取り上げられています。例えばThe Next Webという投資関係の情報サイト(?)にはこの書き込みを取り上げた以下の様な記事があります。


Vitalik Butenrin氏のTwitterでも確かにその内容の書き込みを確認出来ます。


但し私はVitalik Butenrin氏について仮想通貨業界ではそれなりに影響力のある人なんだろう程度の認識がある程度で信頼出来るかどうかなどについて何も知りませんし、この書き込みもビットコネクトを詳しく検証して詐欺という結論を出したものではなく、1日1%という配当を出せることは詐欺以外では有り得ないという意味での発言だと思います。既に書いたように私も基本的に1日1%とか1カ月で40%なんていう配当を貸付業務で実現するなんてマトモな事業では有り得ないという点では全く同感ですが、それだけでは状況証拠にしかならないというのも事実です。そして例えば毎日1%の配当を約束しているわけではないといった反論がネット上にはあるようです。

そしてビットコネクトについてさらなる判断材料として検索を続けると上で引用したThe Next Webという情報サイトにビットコネクトがイギリスに会社登記していてイギリス政府がビットコネクトの閉鎖を勧告しているという記事を見つけました。


そしてこの記事にはイギリス政府が改善がなければ会社を閉鎖するという勧告の宛先(会社名と住所)が記されています。

>BITCONNECT LTD
>THE PANORAMA PARK STREET, ENGLAND, ASHFORD, TN24 BEZ

そしてこの記事にはつまりイギリス政府が閉鎖勧告を出したということはビットコネクトが自転車操業式の投資詐欺であるというVitalik Butenrin氏の意見が正しかったということを意味するのかもしれないといったことが書かれているのです。この記事でもイギリス政府が会社登録取消の勧告を出した理由が公に発表されているわけではないが、2カ月間でイギリス政府に決定が間違っていることを証明出来なければ会社登録取消になるとされています。

このThe Next Webというこれまで聞いたことのなかった情報サイトおよび記事の内容がどれほど信用出来るのか分からないのでこれらの記事に書いてあることを出来るだけ確認することにしました。まずイギリスに会社登記がされているということなのでイギリスの会社登記を確認出来るサイトで「BitConnect」を検索すると何故か4件もの該当がありました。最後の1件は旧社名の中にBitConnectが含まれます。

会社番号10278342
設立 2016年7月
住所 The Panorama, Park Street, Ashford, England, TN24 8EZ

会社番号10948031
設立 2017年9月6日
住所 Grant Thornton House 22 Melton Street, Kings Cross, London, United Kingdom, NW1 2EP

会社番号 11099304
設立 2017年12月6日
住所 23 St Elizabeth Avenue, Bootle, England, L20 6FA

BITCOIN AMR LIMITED (旧社名 BITCONNECT PUBLIC)
会社番号 10944876
設立2017年9月4日
住所 Grant Thornton House 22 Melton Street Kings Cross, London, United Kingdom, NW1 2EP

例えばビットコネクトのTwitterアカウントは2016年3月に登録されていること、ビットコネクトは少なくとも1年以上は活動しているらしいことなどから考えるとビットコネクトの運営元と思われるのは2016年7月に設立されている最初の会社、BITCONNECT LTDだと思われます。他の3つは会社の設立が2017年9月あるいは12月であり新しすぎます。また住所がThe Next Webの記事にあるイギリス政府による閉鎖勧告の宛先住所と一致するのも最初のBITCONNECT LTDです

ちなみにBITCONNECT LTDの住所 (The Panorama, Park Street, Ashford, England, TN24 8EZ)を検索してみるとRegusというバーチャルオフィス/レンタルオフィス業者の拠点の住所と一致することが判明しました。これは架空住所の可能性が充分に考えられ、何故公式サイトで所在地情報を開示していなかったのか分かるような気がします。これだけでもビットコネクト社の信頼性についてマイナス評価と判断します。さらに以下のキャプに示す会社登記をよく見るとThe Next Webの記事の内容と一致する以下の様な記載があるようです。

>Company Status 
>Active - Active proposal to strike off (会社登録取消の勧告中)


さらにBITCONNECT LTDの登記の「Filling History」の項目を見るとイギリスのCompanies House (企業登記局)という部局がビッチコネクト社に出した登録取消勧告をPDFファイルで見ることが出来ます。


>Date 07/11/2017
>Ref DEF6/10278342

>Companies Act 2006 (Section 1000(3))

>The Registrar of Companies gives notice that unless cause is shown to the contrary, at the expiration of 2 months from the name of 
>BITCONNECT LTD
>will be struck off the register and the company will be dissolved.
>Upon discussion all property and rights vested in, or held in trust for, the company are deemed to be bona vacantia, and accordingly will belong to the crown. 

勧告書は2017年7月11日付であり、2カ月後にビットコネクトの会社登録を取り消して解散扱いとするといったことが書かれています。つまり2018年1月11日で会社を閉鎖するということです。さらに所有者の明らかでない資産は英国政府のものにするといった記述もあります。何故こんな厳しい処分が下ることになったのか理由はここにも記されていませんが、先に示したThe Next Webの記事の内容が基本的に確認されたことになります。

そして今、この項目を書いている2018年の1月上旬、すなわちイギリス政府が登録取消&解散処分にする期限の直前ですが現時点でビットコネクトの公式サイト (bitconnect.co/)にアクセスしてみると以下の様なポップアップ広告が出てきます。「Bitconnect」が「Bitconnect X」になってICO (新規仮想通貨の公開)が行われるようです。しかも書かれている日付は2018年1月10日、イギリス政府によってビットコネクト社の会社登録が取消になる1月11日の前日です。


そしてこのポップアップ広告にはリンク (https://bitconnectx.co/)が付いています。以前の公式サイトのURLに「x」が加えられただけです。取消処分をものともせずにほぼ同じ名前の仮想通貨、似たような名前の新しいサイトを立ち上げて同じようなことをやろうとしているとしか考えられません。イギリスの会社登録で社名に「BitConnect」を含む会社が3社も2017年9月~12月に相次いで設立されていることを指摘しましたが、これらの3社のいずれかあるいは全ては新しい「BitConnet X」の為の会社なのかもしれません。個人的意見としてこの会社の経営陣は会社登記取消といった厳しい処分を受けても全く懲りていない、順法精神など微塵も感じられないと思います。再びマイナス評価と判断せざるを得ません。

そしてこのポップアップ広告でリンクされている「BitConnet X」のサイトにアクセスしてみましたが殆ど何も情報がありません。メニューとしてHome、About、Feature、Download、Miningなどの項目が並んでいますが実際にはこれらの項目名をクリックしても何も出てきません。


「We Accept」と書いてあって3つのアイコンが並んでいますがこれらはそれぞれビットコネクトコイン、ライトコイン、ビットコインのアイコンらしく、これらの仮想通貨による支払いを受け付けるという意味だと思われます。ビットコネクトコインが解散処分になるから切り替えてくれという意図かと思われますが、イギリス政府による会社登記の取消、解散という処分を事実上無視しているようなものでしょう。


「BitConnet X」については現状ではサイトが存在しているだけ、何も情報がないのでこのサイトについてはこれ以上の評価が出来ません。ビットコネクトとビットコネクトXで名称以外に異なる部分があるのか、特にビットコネクトと同様に高額の配当を出すのかなど気になる所ですが数日後にICOが始まることになっているので情報が追加されるようでしたら再度検証したいと思います。ちなみにビットコネクトXのTwitterアカウントらしきものが既に4つも存在します。


3番目、4番目のアカウントからは以下の様な警告が出ています。


>
WARNING- Please do not fall for anyone offering pre-sale coins. There are already scammers taking advantage of this great opportunity. YOU CANT BUY INTO BitconnectX until a later date. Please wait and watch for updates and  don't get scammed.


>Warn people NOT to trust THIS SITE ---> xbitconnect @bitconnect @bitconnectx @BitcoinTre

要するにビットコネクトXのICOが始まる前にビットコネクトXの偽物が出回っているから騙されないように注意してくれということのようです。そして確かにビットコネクトXのサイト(https://bitconnectx.co/)と極めて似たサイト(http://xbitconnect.co)が存在しており、既にICO期間中となっています。


このサイトはURLアドレスがセキュリティを考慮した「https」ではなく「http」から始まっているので個人情報を入力すれば漏洩する可能性が高く、仮想通貨のICOのサイトとして非常に問題があって間違いなく危ないサイトでしょう。どれが本物でどれが偽物なのか、あるいは全てが偽物なのかもしれませんが、何やら末期的な状態としか思えません。

それからアメリカのテキサス州のTexas State Securities Board (テキサス州証券委員会)という部局がビットコネクト社に対して2018年1月4日付で複数の投資プログラムを中止する緊急停止命令 (Emergency Cease and Desist Order)を出したようです。テキサス州証券委員会の公式サイトで停止命令の内容を見ることが出来ます。ビットコネクト社が勧告の対象になっていますが、勧告内容を見る限り、1月に行われるビットコネクトXのICOが事実上の対象であるように思えます。


長い命令の中から何故緊急停止命令を出すのかという理由に関する部分を特に抜粋引用します。

>In one investment called the BitConnect Lending Program, investors purchase BitConnect Coins, which are provided to a “BitConnect Trading Bot” to generate returns as high as 40% a month.

ビットコネクト社は幾つかの投資プログラムを用意しているがそれらの中でビットコネクト貸付プログラムと呼ばれる投資では月間に最大40%もの配当を約束している。

>The Securities Commissioner found that the BitConnect investments are securities, but were not registered as required by the Texas Securities Act and State Securities Board Rules and Regulations. In addition, the company is not registered to sell securities in Texas.

(テキサス州)証券委員会はビットコネクトの投資案件は証券投資に該当するものであると判断したが同社はテキサス証券法および州証券取締役会規則により必要とされる登録を行っていないし、有価証券を販売するのに必要な登録もしていない。

>BitConnect has disclosed virtually nothing about its principals, financial condition, or strategies for earning profits for investors. It has not provided a physical address in England.

ビットコネクト社は投資プログラムの原理などについて何も情報開示を行っていない。さらにはイギリスの住所も開示していない。
(引用終了)

要するにこのテキサス州証券委員会の決定はビットコネクトが必要な登録を得ていないという点を問題にしてこの決定を下しており、ビットコネクトが詐欺などの犯罪性を持っているという主張をしているわけではなく違法性を問題にしています。しかしビットコネクト社に順法精神がないことはここでも再確認されたことになるかと思います。

最後にここまでビットコネクトコインについてかなり危ない状況であることを説明してきましたが、ビットコネクトコインは会社が決定的な処分を受ける直前の2018年1月上旬現在でも約380ドルとかなりの高値を維持しているようです。以下はCoinmarket Capというサイトにあるチャートのキャプです。時価総額も23億4000万ドル、仮想通貨の時価総額ランキングでも25位だそうです。


正直言ってこんな無茶苦茶な状態にあるビットコネクトコインがこれだけの高値を維持出来ている理由が全く分かりません。個人的な意見としてこの仮想通貨への投資は全く推奨しかねますが、仮想通貨バブルだけが理由なのか理解しかねる状況としか言えません。

※付記
2018年1月17日、複数のニュースサイトに以下の様な記事が出ました。


>仮想通貨BCCを発行するビットコネクトは16日、同社の仮想通貨取引所と貸付業務を閉鎖すると明らかにした。米テキサス州とノースカロライナ州の証券当局から両州での関連商品販売が登録されていないとして停止通告書を受け取っていた。同社はまた、サービス妨害(DoS)攻撃にも悩まされていた。

ビットコネクト社のサイトにも取引所、貸付業務停止の告知が出ています。閉鎖の理由として、以下の3項目が挙げられています。

1) 継続的に批判的な報道が出て参加者の間に不安が拡大していること。
2) テキサス州とノースカロライナ州から違法の通告を突きつけられていること。
3) サイトがDDos攻撃(アクセスを集中させてサイトをダウンさせる攻撃)を何度も受けてサイトの維持運営に支障をきたしていること。

1)と2)については自らのコンプライアンスの問題だと思いますし、3)は本当に攻撃があったのか確認のしようがありません。取引所を閉鎖すれば後述するようにビットコネクトコインが暴落してコインに投資した人たちに大損害が生じるのは分かり切ったことなのですから企業としてのモラルがあるならテキサス州などから指摘されている金融機関登録の問題を解決するとか、DDos攻撃に対してはサーバーを増強するとか取引所サイトを別に作るとかもっとマシな対応があるはずだと思いますが、とにかく取引所、貸付業務(すなわち配当の支払いも)停止が確認されたことになります。

ちなみにノースカロライナ州証券局 (The Securities Division of the North Carolina Department of Secretary of State)から出たビットコネクト社への業務停止命令(2018年1月9日付)は17ページもあるかなり長いものでPDFファイルの形で見ることが出来ます。ざっと見たところ、テキサス州証券局と同様にビットコネクトコインが仮想通貨というよりも実態として証券投資であるのに証券投資を募集出来る登録を得ていないのは違法であるという点を主たる理由としての業務停止命令のようです。ちなみに日本の金融庁から出ている「ICO(Initial Coin Offering)について~利用者及び事業者に対する注意喚起~」にも

>また、ICO が投資としての性格を持つ場合、仮想通貨による購入であっても、実質的に法定通貨での購入と同視されるスキームについては、金融商品取引法の規制対象となると考えられます。

という記述があることからビットコネクトは日本でも金融商品取引法で違法と判断される可能性があるように思われます。

そしてビットコネクト社が仮想通貨取引所と貸付事業を停止したというニュースが出たことでちょうど仮想通貨市場全体が中国や韓国で仮想通貨の規制を強化するというニュースで急落していたこともあり、ビットコネクトコインの相場は大暴落しています。Coinmarket Capというサイトによればこの検証で1週間ほど前に約380ドルで取引されていると書いたビットコネクトコインがこの付記を書いている2018年1月17日夜の時点ではたったの5ドル71セント、24時間前と比較して97%以上の大暴落状態です。多くの人が大損したことは間違いありません。

それから元々ビットコネクトコインを引き継ぐ為に用意されていたと思われるビットコネクトXについてはビットコネクト社の閉鎖告知の後半部に言及があります。

>BitConnect X ICO is still functional and we are building an exchange platform on the BitConnect X website. With BitConnect X operating as an exchange platform, BitConnect Coin (BCC) will be listed there.

要するにビットコネクトXのICOについては予定変更はなく、ビットコネクトコインについても取引されることになると書かれているのですが、今のところ名前を買えただけにしか見えないビットコネクトXにはビットコネクトと同様の法的問題がある可能性もあり、本当にビットコネクトコインの取引の場が確保されるかはこれから要注意でしょう。そして当然かと思いますがこういったビットコネクトの順法精神を欠いているとしか思えない方針には批判の記事が出ています。


>BCCは15日以降に95%値下がりしており、BCC保有者はツイッターやレディットなどのソーシャルメディア上で詐欺だと批判を強めている。新たな投資家から資金を集めることで前の投資家に支払うねずみ講だとの指摘もある。

結論としてビットコネクトコインは言うに及ばず、ビットコネクトXについても投資は全く推奨出来ません。

※付記
アメリカでビットコネクトあるいはネズミ講まがい組織の上位メンバーや動画をアップするなど宣伝に関与した人物などに対しての訴訟が相次いで(2018年2月上旬の時点で5件)起こされているようです。