慶応大塾長選、50年の歴史覆す落選を喫した教授

細田衛士慶応義塾大学教授「慣行が密室の場で壊された」

2018年3月9日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

時に時勢に見放され、時に敵襲に遭い、時に身内に裏切られる――。栄華興隆から一転して敗戦に直面したリーダーが、おのれの敗因と向き合って問わず語りする連載「敗軍の将、兵を語る」を、「日経ビジネス」(有料)では原則毎号掲載しています。連載の魅力を知っていただくために、2018年3月の月曜から金曜まで、過去2年間に登場した「敗軍の将」たちの声を無料記事として転載・公開します。

(日経ビジネス2017年7月10日号より転載)

私学の雄である慶応義塾大学のトップを選ぶ塾長選挙の結果が物議を醸している。1964年以降、投票で1位の得票数を獲得した候補者が塾長に選ばれてきた歴史が初めて覆された。1位にもかかわらず、落選した同大の細田衛士教授は「慣行が密室の場で壊された」と指摘する。

(写真=菊池 斉)
[慶応義塾大学教授]
細田衛士氏

1953年生まれ。77年慶応義塾大学経済学部卒業後、同大学経済学部助手、助教授を経て、94年より教授。2001年から05年まで同大経済学部長を務めた。中央環境審議会委員や環境省政策評価委員会委員なども兼任する。

SUMMARY

慶応義塾大学塾長選挙の概要

4月16日に慶応義塾大学の教職員450人による塾長候補者選挙が行われ、細田衛士教授が230票を獲得し、1位で通過。現行の選挙制度になってから約50年、得票数1位を獲得した候補者が塾長に選ばれてきた。しかし、その後の選考過程で、塾長に選ばれたのは得票数2位の長谷山彰教授で、細田氏は落選。5月28日に長谷山氏が新塾長に就任した。

 私は慶応義塾大学塾長選挙で落選しました。教職員450人のうち、過半数を超える230人もの人から票を頂き、得票数1位を獲得しました。それなのに塾長候補者1人を選ぶ「選考委員会」から「塾長候補は全会一致で長谷山彰君に決まりました」と言われた時は、「うそでしょう」と思いました。支持者にメールで「ごめんなさい。力が足りず、選考されませんでした」と送ったところ、「なぜですか。あり得ない」という返事が来ました。私自身、狐につままれたようでした。

 今回選挙に出ようと思ったのは、現行政権が続くことへの危機感です。候補者として手を挙げている人は、清家篤前塾長の下、常任理事として8年間仕事をしてきた人でした。そうした人が新塾長になって、改革はできるのかと思いました。世界の大学間競争が激しくなる中で、教育の国際化に向けた施策や、研究体制の強化、そして一貫教育のあり方の見直しなどを掲げました。一石を投じることができればという思いで選挙に出ました。

 慶応の塾長選挙が現在の形で行われるようになって約50年。最多得票者が塾長に選ばれなかったことはありません。しかも2010年には、当時の執行部がこれまでの選挙のあり方を慣行だと認めています。

オススメ情報

「証言」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

人間って、どうしても過去の実績や常識が心にこびりついて、変化を恐れてしまいがち。

杉山 恒太郎 ライトパブリシティ社長 元電通 取締役常務執行役員