平泉町の平泉文化遺産センター(及川司所長)は6日、北海道を中心に分布する11~12世紀の擦文(さつもん)土器の破片5点が同町内で初めて出土したと発表した。表面に描かれた山のような文様が特徴。これまでの出土の最南端とみられ、奥州藤原氏と北方との交流・交易を裏付ける重要な考古学的資料とみられる。

 土器は住宅建築に伴い、同町教委が同町平泉で実施した無量光院跡第37次調査によって、昨年6月に見つかった。

 同センターによると、調査区は無量光院跡の南西隅に位置。5点は大きいもので長さ約5センチ。厚さは約1センチで、同一の長胴かめの一部とみられる。白い粒状の「海綿状骨針」が多く含まれていたが、産地や詳しい年代は特定されていない。文様のない土器の破片3点やかわらけの破片も見つかった。

 擦文文化はアイヌ文化より前の7~13世紀前後と考えられている。擦文土器に詳しい北海道博物館の鈴木琢也学芸主査(考古学)によると、これまで擦文土器は北海道や青森県の陸奥湾周辺、秋田県・大館で確認。平泉は最南端での出土とみられ、北海道で作られたものが持ち運ばれたか、同じ文化の影響を受けた青森のものである可能性が考えられる。