3月7日、欧州では職場や学校に遅刻した人たちが大勢いるかもしれない。だがそれには正当な理由がある。欧州大陸の電力供給網の周波数にかつてないような偏差が生じ、一部の時計が遅れるというトラブルが起きているのだ。
この問題は、セルビアとコソボ間の政治的な争いに起因する。コソボの一部地域の住民らが電気代を支払わずに地元の送電網から電力を利用していることの影響が、ポルトガルからドイツ、ポーランド、ギリシアまで欧州大陸の25カ国をカバーする電力網の全域に及んでいる。
「欧州の電力系統は相互に接続しているので、どこかで不均衡が生じると全体の周波数がわずかに低下する」と欧州送電系統運用者ネットワーク(ENTSO-E)の広報担当者、クレア・カミュ氏は語る。
ベルギーのブリュッセルに拠点を置くENTSO-Eは6日に声明を発表し、「欧州送電系統においてこのような形で平均周波数に偏差が生じるのはかつてないことだ。この事態を収束させなければならない」と述べている。
欧州では電力周波数が50Hzに統一されている。セルビアとコソボの周辺でこの周波数に偏差が生じたことにより、1月半ば以降、交流電流の一定周波数を利用して作動する電気時計に6分ほどの遅れが生じるという影響が生じている。この問題は、水晶振動子を用いた時計には影響しない。影響が及ぶのは主に目覚まし機能付きラジオやオーブンの時計、暖房装置のタイマーなどだ。
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