会場を盛り上げる中沢清美さん=福井市中央1丁目の「RumFire」

 輝くミラーボール、お立ち台で熱狂する女性たち。バブル期にタイムスリップしたような夜の福井市で“熟女DJ”が活躍している。往時のディスコが再現された店内で懐かしいヒット曲を掛け、トークで客を盛り上げる。女性は「バブルを知る人も知らない人も楽しんでほしい」と話している。

 女性は、通称・片町のラウンジのママ中沢清美さん(54)=福井市。定期的にディスコイベントを開いている「RumFire(ラムファイア)」(同市中央1丁目)に通っているうちに、同店オーナーの宮津敏文さん(50)に誘われ、2017年11月にDJデビューした。

 20歳で結婚、出産をした中沢さんはディスコはほとんど行ったことがなかったという。子育てが落ち着いた35歳ごろから、趣味でベリーダンスやフラメンコなどを始め、40代で水商売の世界へ。「今は好きなおしゃれや音楽を楽しめている。毎日楽しい」と笑う。

 福井県鯖江市のDJKYADA(DJキャダ)さんに教わりながら、曲のつなぎ方などを勉強した。キャダさんは「県内に50歳以上の女性DJはいないと思う」といい「ディスコブームが再燃しているし、県内のクラブの盛り上げに一役買ってほしい」と期待する。

 3月2日、ディスコイベントがラムファイアで開かれ、20~80代の男女約70人が集まった。午後9時ごろ、黒いドレスをまとった中沢さんがDJブースに上がると、会場の熱気は一気に上昇。中沢さんは「セプテンバー」など定番曲を中心に約15曲を掛け、一緒に歌ったり、手拍子をしたりして盛り上げた。

 宮津さんは「清美ママのファンも多く、集客力がある。イベントは大成功」と笑顔。若い頃にディスコ通いをしていたという早坂陽子さん(58)=福井市=は「同世代の活躍に私も負けていられない」と声を弾ませた。

 4人の子どもと6人の孫がいる中沢さん。「つらいこともあったけど、人生楽しまないと。もっとDJの腕を磨いてみんなを楽しませたい」と意気込む。DJを終えた中沢さんは笑顔を輝かせ踊りの輪へ入っていった。

 
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