被災者の6割近く「家計苦しい」
東日本大震災と原発事故の発生から7年になるのを前にNHKが福島県で被災した人にアンケートを行ったところ、家計が苦しいと感じている人が6割近くに上っていることがわかりました。
また、全体の6割あまりの人が震災後、続いていた支援が最近、打ち切られたと回答していて、専門家は「生活再建に向けた支援を同時に進めていく必要がある」と指摘しています。
NHKは去年12月から先月にかけて、福島県で被災した人や原発事故の避難者、あわせておよそ1100人を対象にアンケートを行い、全体の4割余りにあたる480人から回答を得ました。
この中で現在の家計の状況について尋ねたところ、「苦しい」が14%、「どちらかと言えば苦しい」が43%とあわせて57%に上りました。
また、全体の62%の人が震災後、続いていた支援が最近、打ち切られたり、負担が増えたりしたと回答していて、複数回答で内容を尋ねたところ、「東電からの賠償金」が73%と最も多く、「医療費負担免除」が19%、「税金や社会保険料の減免・猶予」と「住宅の無償提供・家賃補助」がそれぞれ18%などとなりました。
自由記述の中で災害公営住宅で生活する郡山市の68歳の女性は、「7年が過ぎると家賃は自己負担となり、年金生活の身にはこたえます。震災前よりも老後の生活に不安を感じています」と回答しました。
防災社会学が専門の兵庫県立大学の木村玲欧准教授は「一定の基準のもと、時期を区切って支援を打ち切るのは行政の判断としてしかたのないことだと思う。一方で阪神・淡路大震災など過去の災害を教訓に、生活が困難な人に対してはひとりひとりの状況にあわせた生活再建に向けた支援を同時に進めていく必要がある」と指摘しています。