なかのひと
2008-07-11 01:18:11

怪文書が好きなネトウヨ(アーソン・グレブスト編・その3)

テーマ:民族差別

嫌韓ネトウヨの「悲劇の朝鮮」からの恣意的引用・第3回目です。


第1回:http://ameblo.jp/scopedog/entry-10114681424.html
第2回:http://ameblo.jp/scopedog/entry-10114684316.html


今回は近代以前の朝鮮の医学に関する話題です。


で、またしても黄文雄からの孫引き引用。

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http://blogs.yahoo.co.jp/deliciousicecoffee/5626262.html

(ま、ネトウヨブログはともかく、市民記者が引用して民族差別を助長してたりするのには唖然・・・。)

http://www.ohmynews.co.jp/draft/20070410/3244
赤崎 晟一(2006-11-19 10:45)
韓国は日本人がつくった―朝鮮総督府の隠された真実 黄文雄 2002年 出版社: ワック
 韓国の医療史や疫病史を見ると、たいていは巫女(シャーマン)をはじめさまざまな信じられない迷信によって治療を行っていた。グレブストの『悲劇の朝鮮』のなかに、いくつかの治療法が書かれている。たとえば、牛糞を塗る。ヒマワリの種を湯がいて食べる。患者がモモの種を二つに割り、一方に「日」の字、もう一方に「月」の字を書いてハチミツで再びくっつけて一気に飲み込む。小さな蛙を3匹生きたまま丸飲みする(腹痛に即効)。重症の場合は、煮たカササギを1羽、あるいは焼いた犬の足を4本食べるといい。あるいは、茄でた熱い海藻を腹のまわりに巻く。じっくり沸かしたお湯に40歳の女性の髪の毛を入れて飲む。ガマガエルを地面に仰向けにし、その腹を3度叩いて地中に埋め、また掘り出してから紐でしっかり縛ってから火で焼いて粉にして水で飲む、など。こういった民間療法は、数千年来ほとんど変わっていなかった。
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該当するのは「悲劇の朝鮮」P124~126の部分だが、この箇所では、ソウルに滞在しているドイツ人医者のブンシュ博士が、記者のグレブストに対して、迷信深い韓国人について愚痴っており、一冊の本をグレブストに渡しています。その本の中から「何よりも奇妙に思えた治療法」について、グレブストは書いているわけです。


つまりですね、近代医学とは言わずとも普通の民間療法がたくさん載っている本(「医者のための指針」)の中から、記者として興味深いと感じた治療法を特に抽出しているわけです。


なので、
「たいていは巫女(シャーマン)をはじめさまざまな信じられない迷信によって治療を行っていた」
などと、勝手に「たいていは」などとつけて決め付けるのはおかしいんですね。


そもそも黄文雄は、
「韓国の医療史や疫病史を見ると」
と書いてますが、韓国の医療史を見るのであれば、医学の素人であるグレブストの「悲劇の朝鮮」などではなく、「医方類聚」あたりを調べるのが筋でしょう。


そして、その「医方類聚」に対する評価と言うのは高いんですよ。

http://www1.korea-np.co.jp/sinboj/j-2008/06/0806j0314-00003.htm
三木栄の大著「朝鮮医学史および疾病史」では、「医方類聚」を「実に現存医書としては古今東西に比を見ない浩瀚なもの」と評している
http://www1.korea-np.co.jp/sinboj/j-2008/06/0806j0307-00004.htm
「医方類聚」はいわば医学辞典のようなものであるが、このような性格の医書としては世界最初のもので、スペインで「医学および外科学辞典」が出版されたのは1807年のことである。
http://www.hum.ibaraki.ac.jp/mayanagi/paper04/shiryoukan/me056.html
医方類聚は朝鮮国の医書なり。さきに仙台の医、工藤平助の家に蔵して伝えいう、加藤清正の掠帰するところと。先教諭(元簡)重資を以て購い得て、深く宝重したまえり。云々


「医方類聚」は加藤清正によって朝鮮から掠奪されたもので、現在原本はそれしか残っていないそうですね。わざわざ日本に持ってきたんだから、韓国の医療史を語るならちゃんと引用しましょうね。



他にも「東医宝鑑」などがありますね。

http://www.yuishobo.com/hojun2.html
 「東医宝鑑」の公刊は、朝鮮本国はもとより、日本、そして漢方の"本家"中国にも多大な影響を与えてきた。日本では、1662年に江戸幕府が使節団を朝鮮に派遣した折に同書を求めており、それをもとに1724年、京都書林より、出版され、続いて1799年、1984年にも本書が刊行されている。


どうも、黄文雄も市民記者の赤崎晟一も、まともに韓国の医療史や疫病史を調べたことはなさそうですな。


そしてここもなかなか。
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http://members.at.infoseek.co.jp/konrot/rekisi36.htm
朝鮮の所謂、民間療法と呼ばれる、迷信からくる医療とも呼べない俗説は、さらに多くの死者を出している。
グレブストの著作「悲劇の朝鮮」には、その民間療法の幾つかが紹介されている。
例えば、患者に牛糞を塗る。ひまわりの種を湯がいて食べる。小さな蛙を3匹生きたまま丸飲みする。
重病人には、煮たカササギを一羽、或いは、焼いた犬の足を4本食べると良い。
また、湧かしたお湯に40歳の女性の髪の毛を入れて飲む。
他にも、信じられない無いような民間療法が、朝鮮では何百年も変わることなく伝えられてきた。
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いつの間にか「多くの死者を出している」ことにされています。

そりゃまあ、近代以前の医学知識による医療行為で死者が出たことは少なからずあるでしょうけど、それって韓国特有の事情だとでも思ってるんですかね?


日本・中国・韓国は中国の文化圏に属するわけで、中世には漢文を通じて多くの知識が共有されています。漢方医学もそのひとつです。
人中黄(人糞)、人中白(尿)なども、漢方薬として日本に紹介され、熱さましなどに用いられています(平賀源内が、旅先の病気に備えて赤ん坊の便を携行するように書いてたり)。牛糞とは違いますが、天然痘の予防に使うのは、牛のかさぶたですし(これは医学的根拠がありますが)、蜂に刺されたら尿をかければよい、なんてのもよく聞く民間療法ですね。今で言うと、精神疾患であったろう”狐つき”に対して、狐を追い出すための治療として殴り殺したなんて話も珍しくありません。


近代に至るまでは結構迷信を含めた民間療法は日本でもよくやっていましたし、現代になってもなくなったわけではありません。


日本で、飲尿療法が流行ったのはつい最近ですし、なんとか還元水など、科学的に根拠を見出していない民間療法が流行っているのは周知の事実ですね(ちなみに民間療法もその三分の一くらいは実際に効果がある、との推定もありますので、民間療法を一概に馬鹿にすることはできませんが)。


ま、とにかく、1年足らずの韓国訪問に基いたグレブストの記述を以て、韓国の医療史を語った気になるのは、アホとしか言いようがありませんね。


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コメント

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3 ■>scopedogさん

>ところで、通りすがりの三~氏がブログで、うちと山木さんところを一生懸命攻撃しているつもりのようですね。

面白いですね。あれで攻撃しているつもりなんでしょうか(笑)。せいぜいscopedogさんと私のブログの宣伝をしてくれれば良いです。

2 ■>山木さん

どうもです。
>それにしてもオーマイニュースはレベルが低いですね。

玉石混交でしょうか。最近は、玉の方をあまり見かけない気がします。

ところで、通りすがりの三~氏がブログで、うちと山木さんところを一生懸命攻撃しているつもりのようですね。
「公私共に極限に忙しい」とか言いながら更新頻度が高いのが笑えます。長いわりに嫌韓サイトからのコピペばかりでちっとも本は読んでないようですが・・・。

1 ■scopedogさん

いつも感心しながら拝見していますが、よく調べていらっしゃるので勉強になります。それにしてもオーマイニュースはレベルが低いですね。

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