金融庁は8日、仮想通貨交換業者2社に対し、改正資金決済法に基づく1か月間の業務停止命令を出したと発表した。社員が利用者から預かっていた仮想通貨を私的流用していたことなどが判明、適正な業務運営ができていなかったと判断した。また、仮想通貨交換業者コインチェックから580億円相当の仮想通貨「NEM(ネム)」が流出した問題では、コインチェックに2度目の業務改善命令を出すなど、業務停止を命じられた2社を含む計7社に業務改善命令を出した。
仮想通貨交換業者への業務停止命令は初めて。業務停止となったのは、金融庁が登録審査中で「みなし業者」として営業していた「ビットステーション」(名古屋市)と「FSHO」(横浜市)。いずれも8日から4月7日まで、全ての業務の停止を命じられた。金融庁は2社に対し、業務改善計画を22日までに提出するよう求めた。
コインチェック以外で改善命令を受けたのは、登録業者の「テックビューロ」(大阪市西区)、「GMOコイン」(東京都渋谷区)と、登録審査中の「バイクリメンツ」(東京都港区)、「ミスターエクスチェンジ」(福岡市)。
ビットステーションは、100%株主だった経営企画部長が、仮想通貨「ビットコイン」を私的流用していた。FSHOは仮想通貨の高額取引の確認などを当局に届けておらず、職員向けの研修もしていなかった。
一方、コインチェックは、1月29日に1度目の業務改善命令を受けていた。ネムを預けている全約26万人の顧客に対し、自己資金を充当する形で補償すると発表したが、実現していない。このため、金融庁は顧客保護の徹底が不十分だったと判断。2度目の命令を出した。その他の改善命令を受けた4社に対しても、セキュリティー体制が万全ではないなどとして、22日までに改善計画を提出するよう求めた。
1月26日の仮想通貨不正流出発覚後、金融庁はコインチェックを含む全業者を対象に立ち入り検査を行っていた。【小原擁】