ITコンサルティング大手のフューチャーアーキテクト(東京)から従業員名簿などの営業秘密を不正に持ち出したとして、警視庁生活経済課は8日までに、同社元執行役員の岸本昌平容疑者(39)=東京都渋谷区渋谷1=を不正競争防止法違反容疑で逮捕した。同課によると「自分で作った資料なので営業秘密とは思わなかった」と容疑を否認している。
同課によると、岸本容疑者は2016年12月から17年5月まで、競合会社で東証マザーズ上場のベイカレント・コンサルティング(東京)とも雇用契約を結び、営業秘密を同社に漏洩した疑いがある。
逮捕容疑は17年1~2月、自宅のパソコンからフューチャーアーキテクトのサーバーに接続し、営業秘密である顧客向け金融システムの提案書や従業員名簿を不正に得たほか、顧客向け見積書をベイカレント社の社員にメールで送信した疑い。
従業員名簿には社員の役職や専門分野が記載されていた。提案書と見積書には金融システムの仕組みの詳細が示され、外部に漏れれば技術が盗用される恐れがあった。
同課によると、岸本容疑者は16年12月にフューチャーアーキテクトに黙ったままベイカレント社の社員になった。「報酬アップのためヘッドハンティングに応じた」と話している。
フューチャーアーキテクトが二重の雇用状態を把握し、17年4月に警視庁に被害を相談した。岸本容疑者は5月に同社を解雇され、ベイカレント社も自主退職した。
フューチャーアーキテクトは東証1部上場のフューチャーの子会社。