ウォール街、ホワイトハウスに友人失う-コーンNEC委員長辞任

  • 金融業界を理解、経験豊富と評価-政権内の拠りどころ
  • 辞任のタイミングが「特に悪い」-資産運用会社社長

企業経営者の団体を運営しているキャシー・ワイルド氏はゲーリー・コーン国家経済会議(NEC)委員長辞任について、その意味を理解するに伴い心配になった。「ホワイトハウスに金融業界を理解している人間がいるという信頼感が損なわれる。これは懸念すべきことだ」と語った。

  トランプ大統領は選挙戦中に、ウォール街の幹部を強欲な悪役として描いて見せたが、政権ではコーン氏を初めゴールドマン・サックス・グループ出身者らを登用した。この1年余りの間、金融業界の幹部らは政権内のコーン氏の存在によって安心感を得ていた。

トランプ大統領とコーン氏、ホワイトハウスで

写真家:TJ Kirkpatrick / Bloomberg

  トランプ大統領就任の数日前に、JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は将来について心配してはいないとして、大統領は「真剣な人々」を政権内に迎えようとしていると述べたが、これは元ゴールドマン社長のコーン氏のことだった。

  トランプ氏の異例な通商政策について懸念する人もいるが、道理をわきまえた人間が政権内にいる限り大丈夫との考えも示した。ところが、トランプ政権が鉄鋼とアルミニウムの輸入関税賦課を準備しているさなかにコーン氏が辞任という事態になった。これでトランプ政権の保護主義的政策に歯止めがきかなくなる恐れがある。

  資産運用会社ルクソン・グローバルのトム・へリック社長は、コーン氏の辞任のタイミングが特に悪いとし、貿易戦争になりかねない「危うい局面での辞任なので余計不安だ。次に何が起こるか見当がつかない」と話した。

  モルガン・スタンレーのトム・ナイズ副会長は、コーン氏を「好きな人も嫌いな人もいるだろうが、経験豊富であることは確かだ。市場が穏やかな時も荒れる時も、経験は重要だ」と述べた。

  ゴールドマンのブランクファインCEOは、「コーン氏が政権を去るのは残念だ」とツイート。シティグループのCEOらとともに「ニューヨーク市パートナーシップ 」を率いるワイド氏も同感だろう。コーン氏は「われわれの拠りどころだった」とワイド氏は述べた。

原題:Wall Street Frets About Losing White House Friends as Cohn Exits(抜粋)

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