「理解する」の一言で『軍事演習カード』を無力化した金正恩の凄味
「理解する」の一言で『軍事演習カード』を無力化した金正恩の凄味
3 Lines Summary
- ・米韓軍事演習はスルーすれば南北融和に影響せず
- ・首脳会談の障害になりかねない記念日は予めアンブロック
- ・4月末の首脳会談は周到に練られたタイミング
米韓軍事演習が無力化した瞬間
「米韓合同軍事演習の実施を理解する」
金正恩委員長のこの一言で、日米の「軍事演習カード」は無力化してしまった。
演習への対抗措置は取らない。スルーする。
だから、演習の実施によって南北融和攻勢を挫折させようとしても無駄だよ!というのが正恩氏の自慢の一手だ。
同時に、この理解表明によって、韓国の文在寅大統領を日米の軍事演習実施圧力から救い出したのだ。
いずれも、今後の南北融和の障害を、先回りして取り除く効果があったと言える。
金正恩氏の周到さを上回る洞察力が必要
その意味で思い当たるのが、朝鮮人民軍創建日が4月25日から2月8日に唐突に変更されたことだ。
その時は、平昌オリンピック開幕の直前に軍事パレードを行う狙いについてあれこれ議論されたが、「4月末に金正恩・文在寅会談」で繋がった。
融和攻勢の邪魔になりかねない4月の記念日を、アンブロックしておくことが真の狙いだったのだ。
妹の与正氏が文大統領に「早い時期に首脳会談」「近く再会しましょう」などと伝えた際も、4月末を意識していたのだろう。
韓国側は正恩氏との会談内容を、米・日・中・露に説明し、対応を協議する予定だが、正恩氏の周到さを侮ることなくそれを上回る洞察が必要だと言える。