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学校・教育

2020年「前代未聞の教育改革」で教師の仕事はこう変わる

「正解のない問い」をどう「教える」か
2020年に大学入試センター試験が廃止される。その背景には、文科省による大規模な教育改革が存在する
だが、変わるのは入試だけではない。
学校教育は、「知識の習得」を中心とした従来の学習から、「知識の活用」を目指すスタイルへと大転換を迫られる。そのような状況の下、現場の教師はどのような「役割」を担うべきか。
2020年の大学入試問題』『2020年からの教師問題』の著書がある、香里ヌヴェール学院学院長/21世紀型教育機構理事の石川一郎氏が語る。

変わりつつあるコーチの役割

少し前の話になりますが、平昌冬季オリンピックが終わりました。今大会、日本選手の獲得したメダルは1大会で最多となり、テレビを見ながら多くの感動を彼らの活躍からもらいました。

メダル特集の番組を見ながら感じたことがありました。それは、インタビューされている中に「監督」や「コーチ」が、ほとんど登場しなかったことです。

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どの選手にも、「監督」や「コーチ」は当然存在し、メダル獲得の瞬間などは、ともに喜んでいるシーンはたびたび目にはするのですが、いわゆる「指導者」が前面に出てくることはありませんでした。同じスポーツでも、野球やサッカーでは(集団競技という特性もあるとは思いますが)「指導者」が前面に出てくるとのは対称的です。

 

そして、気がつくのは、「外国人コーチ」が普通に存在していることです。「日本人コーチ」が決して悪いわけではなく、選手一人ひとりが、諸般の事情はあるでしょうが、自分にとって最適な指導者を、国境という概念なく選んでいるように見えます。

スポーツの世界は、ある意味最も早くグローバル化が進んでいるのかもしれません。

そして、そのコーチと選手の関係性もかつてとは大きく異なっているような気がします。いわゆる集団競技の「指導者」は、勝利を目指して「指導者」が「指し示す」目標に向かって「導く」という役割であるような感じでありますが、冬季オリンピックの選手とコーチとの関係は、それとは明らかに異なっているのではないでしょうか。

選手自身が目指すゴールを持った上で、コーチはそのゴールを共有することから始まります。その上で選手のこだわることが何か、そしてそれに対する適切な方法は何か、科学的根拠に基づいてのアドバイスをコーチはする。

それを両者が徹底的に話し合い、練習方法や実戦での作戦を決めていく。メンタルな部分のサポートももちろん行っていると思いますが、「気合」や「根性」といった精神論を聞くことはまったくありません。

近年の「コーチ」は、私のイメージからすると「指導者」ではなく、「プロデューサー」という言葉の方がしっくりときます。プロデューサーは、「produce」という「制作」を意味する英語の動詞から出来た和製の英語です。一般的な定義には、制作全体を統括する職務を言います。

「プロデューサー」と言うと、私はついつい「芸能プロデューサー」を思い浮かべてしまいます(笑)。その「芸能プロデューサー」自体もイメージがかつてとは大きく変わった感じがするのです。

以前は、「芸能プロデューサー」の描いた方向に芸能人を無理やり作り込んでいた印象ですが、近年は、芸能人と向き合って、その能力をうまく引き出すような方向に変わってきたような気がします。まさしく、前述した「コーチ」像と共通点が多くあると思うのです。

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