ジョブ型労働社会の崩壊?
リクルートワークス研究所の中村天江さんと対談しました。
https://www.works-i.com/column/policy/1803_01/(メンバーシップ型・ジョブ型の「次」の模索が始まっている)
中村さんは、私にジョブ型論を展開して欲しかったようですが、その期待を裏切り(?)、いやその「ジョブ型」が、第4次産業革命によって崩れていくかも知れないよというお話をしました。
濱口 日本では今、メンバーシップ型に問題があるのでジョブ型の要素を取り入れようという議論をしています。ですが、今の私のすごく大まかな状況認識は、これまで欧米で100年間にわたり確立してきたジョブ型の労働社会そのものが第4次産業革命で崩れつつあるかもしれないということです。欧米では新しい技術革新の中で労働の世界がどう変化していくのかに大きな関心が集まっています。・・・
・・・しかし今の欧米は違う。欧米ではこれまで事業活動をジョブという形に切り出し、そのジョブに人を当てはめることで長期的に回していくことが効率的とされた。ところがプラットフォーム・エコノミーに代表されるように情報通信技術が発達し、ジョブ型雇用でなくともスポット的に人を使えば物事が回るのではないかという声が急激に浮上している。私はそれを「ジョブからタスクへ」と呼んでいます。
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コメント
濱口先生、示唆と刺激に満ちたインタビューで、インタビュアー冥利を強く感じました。深く御礼申し上げます。
インタビューでは、日本的雇用システム(メンバーシップ型)の次のカタチ(ジョブ型の取り込み)の模索がリアルにでてきている最中に、基礎概念の提唱者である先生のご関心がさらに先に移っているというのが、何より驚きでした。時間軸にもとづく議論をしないと、と。
私自身は、日本的雇用システムの次のカタチは、対象や実現までのスピード感によって、多面的な議論が必要な時期に来ていると考えています。
年齢に応じた最適システムという観点ではハイブリッド型。インフラ産業や製造業など、伝統的日本的企業は、メンバーシップ型をベースにタレントマネジメントシステムの組み入れ。ITなどは、現時点でも、製造業に比べてジョブ型の色彩が強かったり。変化の方向はすでに一枚岩ではないからです。
テクノロジーの影響は、産業や職種、企業によって違います。雇用システムを人工的にもつくりあげていく際に力をもつアクターも違います。
分厚い中間層に支えられた、全体の平均値としての雇用システムの議論は、しだいに通用しなくなり、部分をうまくとらえることが必要になっていると認識しています。
投稿: 中村天江 | 2018年3月 7日 (水) 13時26分
本エントリでの濱口さんのご発言部分のみでコメントして申し訳ないですが、供給側にあるこれから社会を担う育成輩出の立場にいるわたくしとして、たまたまですが本日の日経夕刊”明日への話題”選抜=教育-教養(佐藤卓己教授)のこちら側の問題提起のようなコラムをみなさまにお読みいただけたらいいなあと思います。
コラムニストの認知度は判りませんが、コラムの主旨は=ですから、原因と結果は等式であるから双方向、すなわち供給側と需要側双方に等しき問題があったということを述べられておられるようなので、それに私も同意しつつ、それを乗り越える社会の知恵を望みたいと思いました。
門外漢ながらやっとスッキリするエントリでした。
投稿: kohchan | 2018年3月 7日 (水) 19時22分