ダムカレー 続々 景観と食材 ピリッとPR
2018年03月07日
トッピングを3種類から選べる「千屋牛ダムカレーBLACK」(岡山県新見市で)
山形県朝日町の「上郷ダムカレー」(オーエ提供)
全国各地のダムが観光名所として人気を集める中、ご飯で“堤防”をつくってダムを模したご当地「ダムカレー」が人気だ。その数、全国でざっと140種類。JAが観光客を誘致しようと特産牛を使ったカレーを考案、自営のレストランで提供を始める取り組みも出てきた。ダムカレーが地産地消を後押しする。
ダムカレーは、ご飯を堤防、ルーを貯水池に見立ててダムの景観を表現。ダムの近隣にあるレストランなどで提供され、地場産農産物をPRする役割も果たす。
JA阿新は、地域の景観と食材を生かした「千屋牛ダムカレーBLACK」を、直営の焼き肉レストランでメニュー化した。
管内の新見市は高梁川源流域に位置し、六つのダムが流域の治水・利水に大きな役割を果たしている。「A級グルメの町」を自負する同市では、市民有志が「にいみライスカレー協会」を結成。市内の飲食店やイベントで、ダムカレーを提供しており、JAも取り組みに賛同。カレーを通じて市外からの訪問客を増やし、地域活性化に貢献する。
「千屋牛ダムカレーBLACK」は、見た目、味わいともに「千屋牛」にこだわった。地元産米粉をベースにイカ墨を加え、黒毛和種の色にしたカレールーでダム湖を表現。「にいみ源流米コシヒカリ」をアーチ形に盛ってダムに見立て、牛の顔を模した黒ニンニクを添えた。トッピングも地元産中心で「千屋牛」の焼き肉ロース、千屋牛コロッケ、温野菜から選べる。
考案した「焼肉千屋牛」の職員、池田克さんは「ルーを作るのに苦労したが、まろやかな味わいに仕上がり子どもにもお薦め。新見の魅力を満喫してほしい」とPRする。価格は1250~750円。ランチ限定で1日20食を提供する。
“ダムライター”の宮島咲さん(46)が立ち上げたホームページ「日本ダムカレー協会」によると、全国に約140種類のダムカレーがある(3月6日時点)。
北海道今金町の複合レジャー施設クアプラザピリカ内のレストランは、町内産の軟白ネギやジャガイモ「男爵薯」、シイタケなどを使って「ピリカ(美利河)ダムカレー」を提供。季節の景観に合わせ、冬はホワイトカレーにする工夫も。小西義行支配人は「観光客に人気で、1日に20食以上出る」と話す。
1月にデビューしたのが山形県朝日町の「上郷ダムカレー」。地元企業オーエが、地場産野菜と最上川本流で唯一のダムをPRし活気をもたらそうと、運営する「たんぽぽ食堂」で提供する。水曜日に15食を限定販売する。
他にも、熊本県菊池市で地場産の米やキクイモ、ゴボウを使って市交流促進センターが提供する「竜門ダムカレー」、滋賀県甲賀市の旅館「大河原温泉かもしか荘」が提供する、鹿やイノシシの肉を使った「野洲川ダムカレー」なども人気だ。
宮島さんによると2009年ごろから、人口減少の進む村でダムカレーが広がってきた。ただ、「ご飯が堤の役割を果たしていない安易で平面的なものも出てきた。ダム愛好家のためにも地域のダムをPRするためにも、リアルさを追求して」と求める。
名産「千屋牛」 ルーも真っ黒 岡山・JA阿新
ダムカレーは、ご飯を堤防、ルーを貯水池に見立ててダムの景観を表現。ダムの近隣にあるレストランなどで提供され、地場産農産物をPRする役割も果たす。
JA阿新は、地域の景観と食材を生かした「千屋牛ダムカレーBLACK」を、直営の焼き肉レストランでメニュー化した。
管内の新見市は高梁川源流域に位置し、六つのダムが流域の治水・利水に大きな役割を果たしている。「A級グルメの町」を自負する同市では、市民有志が「にいみライスカレー協会」を結成。市内の飲食店やイベントで、ダムカレーを提供しており、JAも取り組みに賛同。カレーを通じて市外からの訪問客を増やし、地域活性化に貢献する。
「千屋牛ダムカレーBLACK」は、見た目、味わいともに「千屋牛」にこだわった。地元産米粉をベースにイカ墨を加え、黒毛和種の色にしたカレールーでダム湖を表現。「にいみ源流米コシヒカリ」をアーチ形に盛ってダムに見立て、牛の顔を模した黒ニンニクを添えた。トッピングも地元産中心で「千屋牛」の焼き肉ロース、千屋牛コロッケ、温野菜から選べる。
考案した「焼肉千屋牛」の職員、池田克さんは「ルーを作るのに苦労したが、まろやかな味わいに仕上がり子どもにもお薦め。新見の魅力を満喫してほしい」とPRする。価格は1250~750円。ランチ限定で1日20食を提供する。
全国に何と140種類 工夫凝らし観光客誘致
“ダムライター”の宮島咲さん(46)が立ち上げたホームページ「日本ダムカレー協会」によると、全国に約140種類のダムカレーがある(3月6日時点)。
北海道今金町の複合レジャー施設クアプラザピリカ内のレストランは、町内産の軟白ネギやジャガイモ「男爵薯」、シイタケなどを使って「ピリカ(美利河)ダムカレー」を提供。季節の景観に合わせ、冬はホワイトカレーにする工夫も。小西義行支配人は「観光客に人気で、1日に20食以上出る」と話す。
1月にデビューしたのが山形県朝日町の「上郷ダムカレー」。地元企業オーエが、地場産野菜と最上川本流で唯一のダムをPRし活気をもたらそうと、運営する「たんぽぽ食堂」で提供する。水曜日に15食を限定販売する。
他にも、熊本県菊池市で地場産の米やキクイモ、ゴボウを使って市交流促進センターが提供する「竜門ダムカレー」、滋賀県甲賀市の旅館「大河原温泉かもしか荘」が提供する、鹿やイノシシの肉を使った「野洲川ダムカレー」なども人気だ。
宮島さんによると2009年ごろから、人口減少の進む村でダムカレーが広がってきた。ただ、「ご飯が堤の役割を果たしていない安易で平面的なものも出てきた。ダム愛好家のためにも地域のダムをPRするためにも、リアルさを追求して」と求める。
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TPP11 署名を閣議決定
政府は6日、米国を除く環太平洋連携協定(TPP)参加国の新協定「TPP11」に署名することを閣議決定した。参加国は署名式を南米チリのサンティアゴで8日午後(日本時間9日未明)に開き、日本からは茂木敏充TPP担当相が出席する見通し。
安倍晋三首相は同日、オーストラリアのターンブル、カナダのトルドー両首相と電話会談し、早期発効に向けた連携を確認した。
茂木担当相は同日の閣議後会見で、「早期発効に向け、参加国の進捗状況もにらみながら、引き続き主導的な役割を果たしていきたい」と語った。
署名式に先駆け閣僚会合も開き、新規加盟国の扱いなどを議論する。個別の2国間会談も行う。協定に署名後、共同会見を開く。
署名後、11カ国は発効に向けて国内手続きを急ぐ。日本政府は3月中に協定承認案と関連法案を国会に提出する。
2018年03月07日
農業関連9法案承認 審議順巡り与野党攻防 自民
自民党農林・食料戦略調査会と農林部会は1日の合同会議で、土地改良法改正案と農薬取締法改正案を承認し、政府が今国会に提出する農林水産関連9法案の議論を終えた。与党内手続きを経て政府は3月中に国会に提出。国会審議は予算成立後の4月以降に本格化する見通しだ。ただ、どの法案を優先的に審議するかを巡り、与野党の駆け引きは既に始まっており、法案の閣議決定と国会提出は遅れている。
2018年03月02日
鹿カレー 京都府南丹市
京都府南丹市の第三セクター「美山ふるさと」が販売するレトルトカレー。野生鳥獣の肉(ジビエ)料理に定評のある美山ふるさとが運営するレストラン河鹿荘の味を再現した。
鹿肉は同市美山産で、血抜きなどで熟練した猟師から臭みのない肉を購入する。大阪市の食品メーカーに製造を委託し、スパイシーな味わいに仕上げた。15年ほど前に商品化し、年間約4000個を販売する。
希望小売価格は1袋(200グラム)540円。道の駅「美山ふれあい広場」や京都市のイオンモール京都桂川などで販売する。問い合わせは美山ふるさとが運営する「ふらっと美山」、(電)0771(75)0190。
2018年03月05日
[食農応援隊 大学生リポート](31) 多様で自由な農業を発信 遊休地借り野菜栽培 収穫しイベントや企画に活用 学生農業団体つくらんど
筑波大学生8人が、大学が立地する茨城県つくば市で活動しています。大学近くの遊休地を借りて野菜を育て、その野菜をイベントや企画に活用しています。
2017年5月に発足して以来、地域の保育園との食育活動、大学内での焼き芋イベント、食事に関するワークショップ、都市開発に関する映画上映会、大学宿舎に住む学生へ野菜のデリバリー、日本酒と野菜のペアリングイベントを開きました。この他、地域のパン屋さんやカフェと一緒に、私たちの野菜で商品開発なども企画しています。
活動目標は「農を広める」こと。自分たちで作った野菜を使い、イベントや企画を通じて「農をより身近に感じてもらうこと」「農を知ってもらうこと」「多くの人と農の楽しさを共有すること」を大切にしています。
私たちは「農を広める」を基に、多彩なイベントや企画を生み出しています。メンバーそれぞれが思う農への関心や興味、疑問を思うままに行動に移し、自由な発想で企画を立案しています。 それは、農が多様で、自由で、多くの人を巻き込める力を持っているからです。このような新しい農を実践し、発信することで、農の輪を広めていきたいと思っています。(代表・原田壱成=筑波大学)
キャンペーン「若者力」への感想、ご意見をお寄せ下さい。ファクス03(3257)7221。メールアドレスはwakamonoryoku@agrinews.co.jp。フェイスブック「日本農業新聞若者力」も開設中。
2018年03月04日
列島 冬春同居 北は吹雪、近畿「春一番」
急速に発達した低気圧の影響で、日本列島は1日、春の嵐になった。4月並みの暖かさとなった地域も多い中、北海道と東北は、冬型の気圧配置が強まり暴風雪に。2月上旬の記録的大雪で農業被害が出た北海道日高地方などでは、また大雪が襲った。北海道では2日昼すぎにかけて、今季一番の猛吹雪となる可能性もあり、警戒が必要だ。(猪塚麻紀子、川崎勇)
先月に続きまた・・・ 北海道・日高地方
北海道は1日、急速に発達した低気圧の影響で太平洋側などで暴風雪に見舞われた。各JAでは農業改良普及センターなどの関係機関と連携して前日中に暴風雪対策を出し、注意を呼び掛けた。2月上旬の記録的な豪雪でビニールハウス500棟以上が被害を受けた日高地方も湿った雪が降り続き、生産者やJAは対応に追われた。
同地方新ひだか町の高橋徹さん(45)は、被害を食い止めようとリース予定の新設ハウス8棟(26アール)の補強対策を急いだ。上旬の大雪直後に急きょ購入した垂木をハウス1棟当たり30本設置。午前10時ごろから、ボイラーを稼働し、ダクトを通じてハウス内を加温。融雪を促し、ハウスの屋根に雪がたまらないようにした。
上旬の大雪の時は、午後10時から午前2時までの4時間、夜を徹して雪下ろしなどをしてハウスを守った。4月の就農を目指す高橋さんは「雪が少ないのが特徴の地域と思っていた。これ以上降らないでほしい」と切実な思いを語る。
同町で花きを施設栽培する佐々木一夫さん(67)は、7棟(46アール)のハウス間の除雪や圧雪を徹底した。2月の大雪で被害を受けた農家を手伝う合間を縫って作業を進め、ハウス屋根の雪が落ちるスペースを設けた。
佐々木さんは2月の大雪時に、ハウス3棟16アールが被害を受けた。現在はハウスの解体を終え、雪解け後に補修する予定だった。「早く復旧させ、被害前の状態に戻したい」と思いを語る。
同地方では、2月の雪害からの復旧が進んでいる。JAしずない管内では、早期復旧が必要なハウス128棟の解体を進めているが、今後は特産のミニトマトで促成栽培の作型の減少や、花き栽培の中止など影響が出そうだ。
JAみついしやJAにいかっぷ管内でも被害を受けたハウスの解体が進むものの、特産のアスパラガスやピーマンで出荷遅れなどの影響がある見込みだ。
1日の大雪は現段階では大きな影響はないとみるが、今後の天候次第で影響も懸念される。
低気圧発達、各地で暴風 きょうも警戒を 気象庁
急速に発達する低気圧の影響で、1日は広い範囲で非常に強い風が吹いた。山形県酒田市で39・7メートル、和歌山市加太苫ケ沖島で36・2メートルの最大瞬間風速を記録するなど、各地で3月の観測史上最大を記録した。気象庁は同日、近畿で「春一番」が吹いたと発表した。同庁はまた、東海と四国で28日に吹いた風を春一番と発表。昨年に比べ東海で8日、近畿で9日、四国で11日遅かった。
1日は関東から九州にかけて気温も上昇。最高気温が東京都心で平年より8・8度高い20・3度、横浜市で9・5度高い20・8度と、4月並みの暖かさだった。大阪市では17・6度を記録した。
北日本では猛吹雪となる所があった。同庁は、北海道で2日昼すぎにかけて今季一番の猛吹雪になる恐れがあるとして、厳重な警戒を促した。
同庁によると、2日朝には日本海と三陸沖からの二つの低気圧がオホーツク海でまとまり、北日本は強い冬型の気圧配置となる見込み。北海道では昼すぎにかけ、見通しの全く利かない猛吹雪の恐れがある。「2013年3月に9人が死亡した暴風雪に匹敵する恐れがある」とし、不要な外出を避けるよう呼び掛けた。
2日昼ごろにかけて予測される最大風速(最大瞬間風速)は、北海道28メートル(40メートル)。東北、北陸、近畿などでも25メートル(35メートル)の強風となりそうだ。2日午後6時までに予測される24時間降雪量は多い所で、北海道、東北60センチ。東日本から北日本では気温が上昇して雨が降る所があり、積雪が多い地域を中心に融雪による土砂災害や浸水、雪崩に注意が必要だ。
2018年03月02日
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ダムカレー 続々 景観と食材 ピリッとPR
全国各地のダムが観光名所として人気を集める中、ご飯で“堤防”をつくってダムを模したご当地「ダムカレー」が人気だ。その数、全国でざっと140種類。JAが観光客を誘致しようと特産牛を使ったカレーを考案、自営のレストランで提供を始める取り組みも出てきた。ダムカレーが地産地消を後押しする。
名産「千屋牛」 ルーも真っ黒 岡山・JA阿新
ダムカレーは、ご飯を堤防、ルーを貯水池に見立ててダムの景観を表現。ダムの近隣にあるレストランなどで提供され、地場産農産物をPRする役割も果たす。
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「千屋牛ダムカレーBLACK」は、見た目、味わいともに「千屋牛」にこだわった。地元産米粉をベースにイカ墨を加え、黒毛和種の色にしたカレールーでダム湖を表現。「にいみ源流米コシヒカリ」をアーチ形に盛ってダムに見立て、牛の顔を模した黒ニンニクを添えた。トッピングも地元産中心で「千屋牛」の焼き肉ロース、千屋牛コロッケ、温野菜から選べる。
考案した「焼肉千屋牛」の職員、池田克さんは「ルーを作るのに苦労したが、まろやかな味わいに仕上がり子どもにもお薦め。新見の魅力を満喫してほしい」とPRする。価格は1250~750円。ランチ限定で1日20食を提供する。
全国に何と140種類 工夫凝らし観光客誘致
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北海道今金町の複合レジャー施設クアプラザピリカ内のレストランは、町内産の軟白ネギやジャガイモ「男爵薯」、シイタケなどを使って「ピリカ(美利河)ダムカレー」を提供。季節の景観に合わせ、冬はホワイトカレーにする工夫も。小西義行支配人は「観光客に人気で、1日に20食以上出る」と話す。
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他にも、熊本県菊池市で地場産の米やキクイモ、ゴボウを使って市交流促進センターが提供する「竜門ダムカレー」、滋賀県甲賀市の旅館「大河原温泉かもしか荘」が提供する、鹿やイノシシの肉を使った「野洲川ダムカレー」なども人気だ。
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2018年03月07日
野菜高騰 食卓に異変? 頻度減る鍋物で明暗
異常気象による野菜価格の高騰で、スーパーに並ぶ鍋物商材の売れ行きに明暗が分かれている。きのこ類やトウミョウは価格変動が少ない点を売りに、売り上げを伸ばす一方、豚肉と豆腐は苦戦が続いている。消費者が鍋物を食べる頻度が減るなど、食卓の様相が変わっている。
きのこ好調 豚肉苦戦
昨年10月に相次いだ台風に加え、11、12月は低温と少雨、今年1、2月には豪雪に見舞われた。野菜価格は高騰し、その影響は今も続いている。
スーパーでは高騰した野菜の売り場を狭め、きのこやトウミョウの売り場を広げる動きが相次いだ。きのこの生産・販売を手掛けるホクト(長野市)は「マイタケを中心にスーパーからの引き合いが強く、卸値は2割近く上がった」と説明する。同社の1月の売上高は49億円と前年実績を12%上回った。
また、トウミョウを生産する村上農園(広島市)は、1月の出荷量が前年同月比7割増の1500トンと大きく伸び、単月で過去最多を記録した。同社は「値頃感に加え、鍋やスープに合うことから、食卓で利用される機会が増えたのではないか」と分析する。
一方で、豚肉と豆腐は苦戦している。東京都内のスーパーは、豚肉部門のバラ肉など鍋物商材の2月売上高が前年同月を15%下回った。「年明けから極端に売れなくなった」と精肉バイヤー。
豚枝肉相場にも影響が出ている。東京食肉市場の上物価格は2月後半から急落、同月末に1キロ400円を約4年ぶりに割り込んだ。前年同期を3割下回った。都内の仲卸業者は「大手スーパーから注文が減った」と明かす。
鍋物に欠かせない豆腐も野菜高騰のあおりを受けている。冬場は、鍋物料理や煮物が消費を引っ張るが、「鍋用の焼き豆腐の販売が特に鈍い」(首都圏の豆腐メーカー)という。
都内のスーパーは「鍋物商材の売り上げ点数が、2、3割減っている。鍋物が食卓に上がる頻度が少なくっている」とみる。新聞ちらしに掲載する商材をハクサイやダイコンを減らす一方、ジャガイモやタマネギなどを中心にしているという。
野菜価格は11月から4カ月以上にわたり、高値が続く。2月下旬のキャベツの日農平均価格(大手7卸のデータを集計)は平年の2・5倍、ダイコンは2倍だ。農水省は、ダイコンは3月後半に高値が和らぐが、キャベツやハクサイは高値が続くとしている。(音道洋範、鈴木薫子、玉井理美)
2018年03月06日
5月青果卸2社が合併 札幌みらい中央青果
札幌市中央卸売市場青果部に入場する丸果札幌青果、札幌ホクレン青果の二つの卸売会社が、5月1日に合併する。合併後の社名は「札幌みらい中央青果株式会社」。集荷力を高める他、業務を効率化してコストを低減し、経営体質を強化する。両社の売上高の合計は約700億円と、新会社は全国でも上位規模になる見通しだ。
2018年03月06日
カーリング女子 「韓国イチゴおいしい」 実は流出品種 「章姫」「とちおとめ」・・・
輸出5年で220億円喪失も
平昌冬季五輪で銅メダルを獲得したカーリング女子日本代表。試合中の休憩時間に果物やお菓子を頬張り栄養補給する「もぐもぐタイム」が注目されたが、選手が試合後の記者会見で「韓国のイチゴがおいしかった」と絶賛したことに、日本の農業関係者は複雑な思いを抱いているようだ。
というのも、韓国のイチゴ栽培面積の9割以上が、日本から流出した「レッドパール」や「章姫」「とちおとめ」といった品種を元に開発された品種だからだ。
斎藤健農相は2日の閣議後の記者会見で、銅メダル獲得に祝意を示しながらも「日本の農林水産大臣としては、女子カーリング選手には、日本のイチゴをぜひ食べてほしいと思う」と話し、浮かない表情だった。
農水省によると、日本の品種が韓国で育成者権を取得できていれば、年間16億円のロイヤルティー収入が得られていた可能性がある。さらに、韓国は日本由来の品種のイチゴを積極的にアジア各国に輸出しているため、日本産イチゴは5年間で220億円に上る輸出機会を喪失しているとの推計もある。
農林水産物・食品の輸出拡大は安倍政権の看板政策だけに「(日本の品種保護に)しっかり対策を講じていく必要性を改めて認識した」と気を引き締めた斎藤農相。4年後に北京冬季五輪が開かれる中国でも日本の品種が無断栽培される事例が相次いでいる。日本の農業関係者は「次回は、心置きなく選手の活躍を喜べるようにしてほしい」と願う。
2018年03月03日
ICTで実証 害獣捕獲 遠隔操作も スマホで映像確認 20メートル先の動きもキャッチ JAグループ広島
JAグループ広島は、県内の中山間部と都市部で、情報通信技術(ICT)を使ったイノシシ・鹿の捕獲実証実験を始めた。箱わなにセンサー付きカメラを連動させ、スマートフォンなどの専用アプリケーションで映像を確認しながら、わなを遠隔操作することもできるシステム。撮影画像の分析で問題点の改善にもつなげる。
生産現場での実証実験は初めて。中山間部はJA広島北部管内の北広島町の農事組合法人せんごくの里、都市部はJA佐伯中央管内の廿日市市の農家で行う。昨年11月にJAグループ広島が開いた「担い手アグリサミット」でモニターを募った。
システムは、電気柵を販売するアポロ販売と、IT企業のカウスメディアが共同で開発。赤外線モーションセンサーを搭載し、昼夜を問わず約20メートル先までの動きを捉え、動物が近づいたことをメールで知らせる。約3カ月間設置し、撮影画像は専門家に分析を依頼して、改善策などを農家にフィードバックしていく。
2月27日には、北広島町の農地に実証用の鉄製の箱わなと、ICT機器を設置。アポロ販売東京本部の浅岡輝喜本部長は「カメラで失敗した状況も押さえることが大事だ」と強調する。モニターを受けた同法人の田村誠組合長は「箱わなを設置するなど対策をしてきたが、毎年被害に悩まされる。画像が送られてくるのが魅力だ。結果が良ければ導入したい」といい、見回りの労力軽減を見込む。
JA全農ひろしま園芸・資材部の川口泰伸さんは「県内の農家は鳥獣害対策に対する意識が高く、わな免許を取得し、おりを自費で購入する方も多い反面、捕獲に結び付いていない。少しでも農家の悩みが解消できるよう、捕獲システムに期待したい」と話す。
2018年03月02日
サイズ混載で新規格 調製作業を省力化 野菜流通カット協
カット野菜業者やJA全農などでつくる野菜流通カット協議会は、加工・業務用野菜の新たな出荷形態をまとめた。一つの段ボール箱やコンテナに、異なるサイズの野菜を詰める「混み規格」出荷が柱。外観を気にし過ぎずに取引できる強みを踏まえ、産地での仕分けなどの作業を省力化し、労力を生産拡大に振り向けてもらう。3月中に正式発表し、産地への普及に乗り出す。
2018年03月02日
大阪・南河内産イチゴ「ちはや姫」 初売り1パック3780円
大阪府やJA大阪南などがブランド化を進める南河内地域の河南町、千早赤阪村産イチゴ「ちはや姫」の初売りが28日、大阪市の阪神百貨店梅田本店であった。高級路線を狙い、40グラム以上の大粒だけを選んでパックに詰めた。価格は1パック(8粒入り、約320グラム)3780円。試食も行い、大粒や完熟収穫による食味の良さをアピールした。
ブランド名は、同村にゆかりのある武将・楠木正成の息女といわれる千早姫にちなむ。公募を基に1月に決めた。品種は「紅ほっぺ」で、2町村で農家3戸が生産。初販売の今シーズンは数十パックを予定している。
イチゴは熟期前の収穫が一般的。「ちはや姫」は消費地に近い強みを生かし、へたの際まで赤くなった完熟果を朝取りして店頭に並べる。
当日は3パックを完売した。試食した大阪市内の70代女性は「見た目も良く、とても甘くておいしい」と語った。
今シーズンは3月2日に大阪市の大丸心斎橋店で販売する他、3月中・下旬まで南河内地域の直売所で限定販売する。
2018年03月01日
17年産米食味ランキング 「特A」43産地銘柄 魚沼コシ29年連続ならず
日本穀物検定協会(穀検)は28日、2017年産米の食味ランキングを発表した。食味が最も良いとされる「特A」を取った産地銘柄数は43で、過去3番目の多さとなった。良食味化が進むものの、トップブランドの新潟・魚沼「コシヒカリ」が初めて特Aを逃すなど波乱があった。出品数は151で過去10年で最多。産地間競争が激化する中、販売を優位に進めようと産地の意欲が高まっている。
評価対象は44道府県の151産地銘柄で、前年より10増。販売戦略上で、産地や流通業者の注目度が高い。出品数の増加について、穀検は「代表銘柄を作りたい産地の意欲の表れ」とみる。
今回初めて特Aを取ったのは、埼玉・県東「彩のきずな」、高知・県北「にこまる」、佐賀「夢しずく」の3産地銘柄。このうち、「彩のきずな」と「にこまる」は初出品となった。JA全農が育成した良食味米「はるみ」は2年連続で特Aを獲得した。
前年と比べて、12の産地銘柄が特Aに格上げされ、16がAに格下げされた。過去28年連続で特Aを取得してきた新潟・魚沼「コシヒカリ」が今回初めて、評価を下げた他、岩手・県南「ひとめぼれ」も14年ぶりに特Aを逃す結果となった。
2018年03月01日
18年産米作付け動向 36都道府県前年並み 増加傾向は6県 農水省
農水省は27日、2018年産の主食用米の作付け動向(1月末現在)の調査結果を公表した。前年産実績と比べ、4分の3の36都道府県が前年並み、増加傾向は6県、減少傾向は5県だった。過剰作付けを回避した前年産に続き、米政策改革元年となる18年産も、「目立った増産の動きは起きていない」(同省)。だが、実際の作付けまで時間があり、今後動向が変わる可能性もあり、同省は引き続き、各産地に対して需要に見合った米生産を呼び掛けていく方針だ。
同省は18年産から生産数量目標の配分を廃止し、国から産地主導の生産調整へ移行する。これに伴い、産地が米の作付け規模を決める際の参考にしてもらおうと、田植え前の作付け動向を調べて公表した。
1月末現在で、都道府県農業再生協議会や地域農業再生協議会を対象に、18年産の主食用米と転作作物の作付動向について、前年産実績からの増減の見通しを聞いた。
前年並みの産地が多い理由について、同省は「改革初年度で、様子見のところが多い」(穀物課)とみる。
18年産は米の直接支払交付金(10アール7500円)が廃止されることもあり、産地が主食用米の増産に動く懸念もある。だが、転作作物も飼料用米、稲発酵粗飼料(ホールクロップサイレージ=WCS)、麦、大豆など、前年並みを維持する産地が多い。
主食用米が増加傾向とした6県は、青森や岩手、秋田など米どころの東北地方が中心。増産の要望が強い業務用米を中心に増やすケースが多いとみられる。だが、前年産では、どの県も生産数量目標を大きく下回っており、18年産は大幅な増産とならない限り、過剰作付けは発生しない。
17年産の主食用米の作付面積は137万ヘクタールで、生産数量目標(138万7000ヘクタール)を下回り、3年連続で過剰作付けを回避した。この生産数量目標に代わり、需給が安定する目安として同省が示した18年産適正生産量は、17年産生産数量目標と同水準。18年産の主食用米の作付面積が前年並みになれば、適正生産量を下回り、需給は安定した状態を維持できる。
2018年02月28日
17年豆乳 製造量が最高更新 前年比8%増 無調整伸び
日本豆乳協会によると、2017年の豆乳製造量は前年比8・1%増の33万9281キロリットルで、過去最高を更新したことが分かった。前年超えは9年連続となる。大豆と水のみを原料とする無調整豆乳の伸びが特に大きい。同協会は「健康を気遣い、豆乳を常飲する人が増えた。家庭、外食ともに料理の材料として使われる機会が多くなっている」と分析する。
分類別に見ると、最も伸び幅が大きいのは無調整豆乳で、前年比19%増の9万304キロリットルだった。「製造技術が高まり、豆乳に残る大豆の臭みが軽減されて飲みやすい商品が多くなった」(同)という。
製造量が最も多い調製豆乳も堅調で、7%増の18万1890キロリットルだった。
消費の拡大に合わせ、豆乳メーカーは大容量パックや原料にこだわった無調整豆乳を充実させる。業界最大手のキッコーマン飲料(東京都港区)は、国産大豆を100%使用した無調整豆乳を3月26日に発売する。飲みきりサイズの200ミリリットルに加え、調理向けや毎日飲む消費者を意識した1リットル入りの商品も用意する。
豆乳メーカーのマルサンアイ(愛知県岡崎市)は「健康志向から、ブームではなく普段の食習慣で飲まれるようになった。豆乳鍋といった家庭調理の素材にまで用途が広がったことで伸びている」と説明する。
一方、果汁入り豆乳飲料が2%減の1万5198キロリットルとなるなど、風味付けした豆乳飲料類は微減だった。
同協会は20年までに製造量50万キロリットル超えを目指す。目標の達成に向け、「需要の伸びしろが期待できる若い人たちへのPRを強めていく」と意気込む。
2018年02月27日