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ここに登場する7人は、住宅用太陽光発電システム(以下、PVシステム)の製品開発や販売、施工を長年手掛け、発火や飛散などの事故に詳しい実務者だ。自らが経験したり見聞きしたりした事故事例などを座談会形式で語ってもらった。
Q.パネルやパワーコンディショナー(以下、パワコン)などから発火した経験は?
A氏 PVシステムの販社で設計・施工を手掛けている。九州地方の取引先の屋根工事会社が手掛けた屋根一体型の工事で、屋根が燃え落ちた。瓦の代わりにパネルを設置する仕様だ。近隣住民が、屋根からの異音に気づいて消防を呼んだ。パネルが発電している間は本格的な消火活動ができず、日が暮れるのを待っていたら、屋根が燃え落ちた。
原因は施工不良だとみている。ケーブル配線後に、パネルの周りに敷いた瓦をネジで留める際に、ネジがケーブルを損傷させたからだ。
B氏 PVシステムを販売・施工している会社で施工管理をしている。神奈川県内の工場の屋根に載せたパネルのケーブルが発火して、野地板まで燃えた。パネルをつなぐコネクターの端子の締め方が不十分で、接触不良を起こしていた。
端子を圧着する際にケーブルの被覆を上手く剥げない職人が、銅線を2、3本切ってしまうことがよくある。そうすると発熱しやすくなる。
パワコンから煙が出る程度で済んだ事例では、職人が端子の接続箇所を間違った。日が暮れてから作業したからだという。
C氏 PVシステムの設計・販売などを15年以上手掛ける。パワコンが火災寸前に至った事例は多い。
例えば10年ほど前の冬。夜中に暴風雨が続いた翌朝、パワコンから煙が出ていると複数の顧客から電話がかかってきた。私はそのうちの4カ所を調査した。屋外用のパワコンにもかかわらず、内部に雨水が浸入していた。問題の発覚後、メーカーはリコールを実施した。
発火事故の多くは、難しい電気工事ではなく、単純な施工でのミスで生じている。電気工事士ならできて当然のことができずに、重大な事故を招く傾向がある。