DMOニュースレターがついにスタート
公益社団法人日本観光振興協会と TripAdvisor, Incは、世界中のより多くの旅行者と多様な日本の地域を直接結びつけるとともに、日本における観光産業の基幹産業化に資するため、国内各地域の観光 産業への有益な知見の提供、地域への支援活動等を共同で行うことといたしました。そしてこの度、取組みの一つであるDMOニュースレターの第一号をお届けします。豊富な世界中の旅行者のデータを基に、今回は観光地への口コミ状況や今世界で注目を集めている都市、そして海外のDMOの成功事例やその展望など、盛沢山の情報となっています。ぜひご覧ください。
①外国語の口コミは地方で増加中!
2017年1月から12月までの1年間にトリップアドバイザーのサイトに投稿された日本の観光地に関する口コミの傾向をみると、日本語・外国語とも前年同様の地域(東京都、北海道、京都府、大阪府、沖縄県、神奈川県)に集中していながらも、口コミ数の対前年での増加率でみると、日本語の口コミでは新潟県や福井県が約10%、また外国語の口コミでは宮崎県が約50%、鹿児島県が約35%対前年比でみて投稿数が増えており、旅行者の訪れる地域が広がりをみせていることが伺えます。
また、口コミ数の多い6都道府県の人気スポットをランキングにしたところ、新たなスポットも増えていることが分かりました。
本件に関するプレスリリースについては、こちらからご覧ください。
以下プレスリリースでは発表していない、47都道府県のシェア率を含めた一覧となります。
※その他とは、富士山など複数県にまたがるスポットの数値となります。
②日本のあそこが世界で注目のデスティネーションに!
トリップアドバイザーが発表する「トラベラーズチョイス 世界の人気上昇中の都市ランキング2018」にて石垣市が世界No1に!
「人気上昇中の観光都市」は、トリップアドバイザーに投稿された 1 年間の世界中の旅行者の口コミをもとに、前年と比較して口コミでの評価や注目度が特に上昇した観光都市をランキング化したものですが、今年は沖縄県の『石垣市』が世界ランキングで一位を獲得しました。世界中の観光客の多くが石垣市での滞在に満足し、また訪れてみたいと強い関心を持っていることが明らかになりました。詳しくは、こちらをご覧ください。
昨年10月は日本、中でも名古屋、横浜、神戸への検索UP!(前年同月比)
また、comScore社*の最新発表によると、トリップアドバイザー上の各国の検索を2016年と2017年の10月を比較した際、日本が検索増加率1位の国であったことが分かりました。さらに都市レベルでみても、検索増加したトップ10都市に日本の5都市がランクイン。日本への興味関心が増えていることが伺えます。
Source: comScore 2017年10月、デスクトップのみ
*comScore: あらゆるオーディエンスやブランド、消費者動向を測定するクロス・プラットフォーム測定のリーディングカンパニー comscore.com/jpn
③世界のDMO リーダーインタビュー
第一回:
クイーンズランド州政府観光局 (Tourism and Events Queensland)
エクスペリエンス&エンゲージメント&デジタルチャネル部門
ディレクター クリス・チャンバーズ(Chris Chambers)氏
Q:デスティネーションマーケティングのやりがいを教えてください
毎日会社に行くのが楽しいですし、私の住むこの街を訪ねその素晴らしさを知ってもらうためにこのチームの一員として働けることが大好きです。これまで私たちは新しい切り口でマーケティング活動を続けてきて、2009年の「The Best Job in the World*」やグレートバリアリーフの水面下からYouTubeで12時間ライブ放送する「Reef Live」のようなキャンペーン活動から多くのことを学びました。現在クイーンズランド州政府観光局は、それらの成果や学びを今年4月にゴールドコーストで開催される「2018 Commonwealth Games」に繋げていこうとしています。
*The Best Job in the World:2009年にクイーンズランド州政府観光局(Tourism and Events Queensland)が行った求人広告。半年間、オーストラリアグレート・バリア・リーフにある島々のPR大使として、島々を探索し、その報告をブログや写真・ビデオ日記を通じて行い、メディアのインタビューなどにも応じる業務。給料が15万豪ドル(約910万円、2009年同発表時点のレート)ということも話題になった
YouTube:https://www.youtube.com/watch?v=5Smi3TuY5Lg
Q:なぜデジタルマーケティングは重要なのでしょうか?
効果的なマーケティングのためには、旅行者を知り、その行動を分析することが重要だからです。 一言でデジタルといってもさまざまな施策が考えられます。例えば、予約サイトやOTAなどと連携し販売を促進することもそうですし、旅行者からのレビューを活用して彼らの満足度に関するフィードバックを業界内で共有したり、SNSを通じて投稿されたコンテンツを更にシェアすること等があります。それらを通じて私たちも地域の新たな魅力に気づくこともあり、私たちはデジタルを多様な面白い方法で生かしています。 デジタルは、目標達成のために求められる、効率的なマーケティングミックスの重要な部分を担っています。
Q:デスティネーションマーケティングにおける最近のイノベーションは?
興味深いことに、その一つは地味で目立たないものですが「様々なパートナーとのデータ連携とその活用」だと私は考えています。これらは、DMOやデスティネーションマーケティングに関わるあらゆる組織に恩恵をもたらす、大きな価値があることだからです。
Q:デスティネーションマーケティングの将来をどのように予測しますか?
DMOは、新しいことを取り入れながら、旅行者を呼び込む働きかけをし続けなければいけません。 DMOは信頼できる情報源とみなされていますが、今後は更に多様な企業や団体とパートナーシップを築づきながら活動することがカギだと思います。 特にマーケティングという点では、旅行者の行動データと、彼らが発した情報やコンテンツを融合させ施策を展開することの重要性が高まるでしょう。
④「観光」と検索した人が最も見に行くサイトは?
先日、公益社団法人日本観光振興協会がネット行動分析サービスを提供する株式会社ヴァリューズと協同で発表した、2017年の観光関連WEBサイトの年間閲覧者数を調査において、トリップアドバイザーが観光に関する検索から流入者が多かったサイトをランキングで1位となりました。口コミ情報を基にした人気スポットランキングページを地域別に揃えており、観光客のニーズに合ったコンテンツを用意していることが閲覧者数の増加に繋がったと分析されています。
本件の詳しい情報は、こちらから
⑤トリップアドバイザーの活用について
トリップアドバイザーには世界各国750万以上の宿泊施設、航空会社、観光名所、レストランが掲載されており、6億件以上の口コミ情報が寄せられています。そして、世界 49の国と地域におけるユニークユーザー数は、月間平均4億5500万人*¹ に達しています。それでは、トリップアドバイザーを地域の観光振興に活用するにはどのようにすればよいでしょうか。
トリップアドバイザーの影響力
Oxford Economics(オックスフォード・エコノミクス)が2016年に発表した報告書 “The Global Economic Contribution of TripAdvisor(トリップアドバイザーの世界経済への貢献)”によると、62%の世界中のオンライン旅行予約者がトリップアドバイザーを訪問してから旅行を決定していると発表しています。
口コミは旅行の選択に影響
また、独立系調査会社 「Phocuswright」の調べ*²によると、96%のトリップアドバイザーユーザーが旅行を計画したりホテルを予約したりする際に口コミを参考にしていると答えています。さらに、レストランや観光施設でも80%以上の数値となっています。
これらの結果から、口コミがどれほど観光振興に関わるホスピタリティ業界の施設の収益に影響を与えるかが分かります。口コミを集めることが、大きなチャンスにつながります。
口コミ数が時間と共に多くなれば評価が上がる
コーネル大学が実施した調査によると、通常、口コミの評価は時間の経過とともに高くなることが分かっています。なぜでしょうか?事前情報なしで訪れた初期の利用客は、期待に沿わなかった事柄に対してよりマイナスの印象を受けやすく、それが口コミに反映されがちです。しかし、施設に寄せられる口コミ数が多くなるにつれ、平均評価は高くなっていく傾向があります。これについて、口コミが多くなると、どのような施設であるか旅行者が前もって知ることができるようになるからであると研究者は考えています。結果的に、評価は徐々により正確な値へと集約されていきます。
口コミを収集し続けることで、施設の評価が正確な値に近づいていきます。これは施設にとっても、お客様にとっても重要です。口コミ数が多くなると、極端な内容の口コミの影響度が小さくなります。また、否定的な口コミを改善のチャンスにすることで、その後の評価を高めていくことができます。
口コミは施設のビジネス拡大をサポートする
英国バースの Harington’s Hotel のオーナーである Peter O’Sullivan 氏は次のように述べています。
「自分たちは最高のサービスを提供しているつもりでも、お客様に喜ばれなければ意味がありません。提供している商品やサービスの改善点を把握できるため、当施設は口コミを非常に重要視しています。ここ 3 ~ 4 年は特に口コミに力を入れてきました。その結果、リピート予約の率も向上しました」
口コミは施設を無料で評価できるツールと言っていいでしょう。口コミを通して、施設の長所および改善すべき点を把握できます。また、口コミの傾向を読み取ることで、お客様が何を期待しているか、どうすればもっと期待に応えることができるかが分かります。
トリップアドバイザーを観光振興に活用するには?
トリップアドバイザーを上手に活用している施設に見られる特徴を調べたところ、次のような共通点があることが分かりました。
1. 自施設のオーナー登録を行う
2. 施設管理者からの写真を10枚以上投稿する
3. 口コミを積極的に集める
4. 最低でも25%の口コミに対して返信する
5. 口コミのパフォーマンスを確認する
オンライン旅行予約者の2人に1人は、トリップアドバイザーを参考に旅行先を決めています。地域の観光振興を進める一歩として、トリップアドバイザーに情報を掲載することで、毎月何億人もいる世界中のユーザーに対して多数のマーケティング ツールを無料で活用しながら、施設をアピールできます。皆さんの地域のホテル、レストラン、観光施設へ登録を促し、より多くの旅行者の目に触れることを目指してください!
トリップアドバイザーの施設登録についての詳細は、こちらからご覧ください。
トリップアドバイザーの基本事項に関するガイドについては、こちらからご覧ください。
*¹:出典:TripAdvisor log files, average monthly unique visitors, Q3 2017
*²:Source: 2015 ‘Custom Survey Research Engagement’ conducted by Phocuswright on behalf of TripAdvisor.