Ubuntu Weekly Recipe
第511回 UEFIの設定が変更できなくなる,あのバグの話
突然訪れた不審な挙動
遡ること半年以上前。昨年9月のオープンソースカンファレンス 2017 Tokyo/
ところが,
そもそもどういうバグなのか
このバグはUbuntu Weekly Topicsでも2018年1月12日と1月19日に取り上げられました。世間では比較的話題になったバグなので,
ところで,
「BayTrailやBraswell世代のIntel社製CPUの多くにはSPIシリアルフラッシュホストコントローラーが含まれていて,
これはBIOSやその他プラットフォーム固有のデータを保持するために使われている」
SPIシリアルフラッシュの中身はマシンの正常動作に不可欠なことから,
- ※1
- Windows上でUEFIをアップグレードした経験を持っている人もいると思いますが,
それはこの機能を利用していると考えて良いでしょう。
intel-spi
ドライバーはこのようなSPIシリアルフラッシュを読み書きするためのものです。ドキュメントにはdd
コマンドを利用してフラッシュの読み書き,
- ※2
- IntelのサイトではGalileoボードのフラッシュアップグレード手順を見つけることができました。
2016年11月28日に,
差し戻しコミットのメッセージには次のように書かれています。
「少なくともLenovo Thinkpad Yogaでは,
BIOSがSPI-NOR書き込み保護ビットを監視していて, このビットが読み・ 書きに切り替わると, BIOSは設定が次回のリブート時に変わったものと想定する。このときに理由はよくわからないが, BIOS設定がデフォルトにリセットされてしまう (※3)。」
- ※3
- 引用している文章の強調は筆者によります
(以下同)。
ただし
Ubuntu 17.
- ※4
- Ubuntu Weekly Recipe 第278回には
「Ubuntuの最新版で使われるカーネルのバージョンは 『リリースの2ヶ月前くらいの最新版』 になります」 とあります。
カーネルのバージョンによってこのバグが発症する・
また現時点での対処として,
したがって,
$ lsmod | grep spi
ここでintel_
といった行が表示されれば,
筆者の場合
ところで,
一時期はUbuntu 14.
しかし,
先に挙げた1月12日のTopicsでは
バグに気づいてからは,
なお,
- ※5
- バグを再現させるのにこれほど努力が必要とは思いませんでした。
悲劇を繰り返さないために
最後に,
2016/ | 問題のコードがアップストリームカーネルにコミットされる |
---|---|
2017/ | Ubuntu 17. |
2017/ | 問題のコードがアップストリームカーネルで差し戻される |
2017/ | 筆者のPCで問題が発生 |
2017/ | Ubuntu 17. |
2017/ | Ubuntu 17. |
2017/ | Launchpadでバグが報告される |
これを見て思うことは,
折しも来月には18.
バックナンバー
Ubuntu Weekly Recipe
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