--本格的に職人の道に入ったあとは、どのような修業を?
最初は和太鼓の皮張りからはじめました。なかなかハードな仕事なので、身体に筋肉がつくんですよ。それを2年ほどやってから、 和太鼓の皮を縫う担当に。それが同じく2年。神輿だけではなく、工房が取り扱っている全ての製品を手掛けられるように、一つの工程にまつわる技術を身につけたら次へと、ローテーションしながら習得していきました。
--ひとつの工程だけを極めるのではなく、オールマイティに何でもできないといけないわけですね
そうですね。神輿にしても和太鼓にしても分業して制作しますので、全体のことが分からないといけません。すべての工程にまつわる技術を得てこそ、一人前になれる世界です。
--特に習得が難しかった技術は、どのようなものでしょうか?
太鼓の胴を削る手法ですかね。最後にカンナで仕上げる技法は、昔から変わっていません。木ごとに年輪も違うので、カンナで木の目を整えながら美しく仕上げるには経験がものを言います。私が20歳くらいの頃にいた大先輩たちがすごく上手で、そこを目指してきましたね。