Henrik Knibergさんのブログで「One day in Kanban land」という記事を見つけました。そこでは、かんばんの使い方のポイントがうまく描かれたマンガが紹介されています。各国語に訳されているので、ヘンリック氏に許可をいただき、日本語訳してみました。
赤い人がプロダクトオーナー(PO)の役割で、青い人たちが開発チーム(DEV。ここでは2名ずつ2チーム)、緑の人がテスターだと思います。テスターチームはデプロイまで担当しているみたいですね。
また、「TODO」「開発」「デプロイ」という各ステージにはWIP(Work in Progress:仕掛り作業)が制限されています。WIP制限とは、各ステージにWIPの数以上のカードを貼ることができないというルールです。
POがまずバックログからカードを選択しました。TODOのWIPは2なので2枚選んでいます。
DEVチームは2枚のカードにとりかかります。POから作業をアサインされるわけではなく、各自がカードをプル(引っ張る)しています。TODOにはカードがなくなったので、POはカードを2枚さらに選んでいます。
Aの作業が完了したようです。ここでもテスターがカードをプルしてデプロイを開始しようとしています。
DEVチームは新しくカードをプルしています。テスターは完了したカードをデプロイしています。
テスターがデプロイに苦戦しているようです。どうやらビルドに失敗している模様。テスターの作業は止まっていますが、DEVチームはBの開発が完了しました。
DEVチームは手が空いたので別のカードをプルしようと思いましたが、開発ステージ(開発中と完了の両方)に設定されているWIP2の影響で新しく開発を始めることができません。
DEVチームはテスターのフォローへとまわります。ビルドに問題があるようなので解析を手伝うことになりそうです。おっと、POは緊急にすすめなければならないカードをTODOに追加しましたね。
DEVチームの開発がまた終わりましたが、WIP制限があるため緊急であっても新しい作業にとりかかることができません。仮に作業にとりかかったとしても、デプロイでのトラブルが解決しない限り、テスターの作業がボトルネックとなってしまいます。
DEVチーム全員がテスターのサポートをすることになりました。ただ、手は足りているようなので、同じような問題が再発しないようにテストの自動化など、将来に向けての作業を進めることになったようです。
POもボトルネックのフォローへと動きました。POは横槍作業などが発生しないように、チームを守ってほしいというリクエストを受けてますね。
しばらくして、かんばんは順調に機能しているようです。カードがかんばんをスムーズに流れるように、開発のWIPも3に増えてますね。こういった微調整を続けていくのが、かんばんの本質でもあります。
よく「かんばん」「タスクボード」の使い方について相談を受けます。よくある「TODO」「Doing」「Done」の「かんばん」だと、タスクの状態管理や、タスクの見える化でとても役に立ちますが、このマンガのようなリーンな「かんばん」を活用することで、以下のような効果を期待できます。
- ボトルネックが見える化され、価値の流れ(バリューストリーム)を管理できる
- WIPを可能な限り最小に制限することで、個人の過負荷を防ぎ、プル型の助け合うチームへと導く
- サイクルタイム(リードタイム:アイデアからデリバリまでの時間)を改善することで、価値をすばやくデリバリできる
リーンな「かんばん」によって、自分たちのプロセスがさらに進化するでしょう。
また、一つひとつの作業を最小限のコストで集中して完了することで、インクリメンタルな開発が可能になり、イテレーションの概念が薄まっていきます。つまり、完了した機能から、どんどんデリバリするため、「絶え間ない価値の流れ」を実現できるようになります。
とても示唆に富んだマンガですね。
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