2018年3月6日(火)

ダムカード、人気じわり 経済効果に期待も

県内10カ所で配布

ダムカードを収集している守川隼君=水戸市内
ダムカードを収集している守川隼君=水戸市内

ダムの写真や基本情報などが記載された「ダムカード」が、県内でも静かなブームを呼んでいる。カードの体裁は国の統一規格、入手は施設を訪れた見学者に限定するなど、収集家やファンの心をくすぐる。ダムを活用した地域振興にも役割を果たしており、地元からは経済効果への期待も高まっている。

「姿や形だけじゃない。貯水量や放流の様子も迫力があって、いつまで見ていても飽きない」。ひたちなか市の守川隼君(8)は半年ほど前からその圧倒的な存在感に魅せられ、両親とともに県内外のダム巡りを続けている。

十王(日立市)や飯田(笠間市)、深山(栃木県那須塩原市)…。これまで訪れたダムは、県内外で23カ所。祖父母の協力も得て、集めたカードは約60種類にも上る。

「北海道から沖縄まで、いつかは全てのダムを制覇したい」。カードやガイド本をながめながら、全国各地に存在するまだ見ぬ施設に思いを巡らし、目を輝かせる。

■開始から6倍
ダムカードは、施設のPRや地域振興に結び付けようと、国土交通省が2007年から作成と配布を始めた。全国で稼働する約2800施設のうち、これまでに649施設(17年10月現在)がカード化され、各管理事務所や周辺施設などで配布している。

カードは縦66ミリ、横88ミリで、全景写真や水系、貯水量、構造のデータを記載。これらの記載要件を満たせば、自治体が独自に作成したカードも「公式」として登録できる。国交省の担当者は「配布開始当初から人気が次第に集まり、今では種類は6倍に増えている」と説明する。

県内では、3月から水戸市が楮川ダムカードを4千部作成し、配布を始めるなど、これまでに計10施設がカード化された。楮川ダムでは基本情報に加え、QRコードも掲載し、公式ホームページに誘導する工夫も凝らした。市浄水管理事務所によると、配布開始日となった1日、県内外から約90人が来場し「驚くほど反響がある」という。

■活性化へ活用
カード収集に訪れたファンをもてなす取り組みも進む。城里町では藤井川ダム(同町下古内)を活用したまちの活性化へ向け、15年度から官学連携で「ダムカレー」の商品化プロジェクトを展開している。

同町と水戸桜ノ牧高常北校、常磐大の生徒が協力し、藤井川ダムの本体をご飯、貯水をカレールウに見立てた商品を生み出した。開発資金を昨年、クラウドファンディングで募り、目標額を超える138万円を集めた。10日から、ダムに隣接する健康増進施設「ホロルの湯」内飲食店で販売を始める予定だ。

町まちづくり戦略課は「地域の資源を有効に活用した取り組み。カードを受け取るだけでなく、商品の提供により経済効果も生み出したい」と新商品に期待を込める。 (前島智仁)

1日から配布が始まった楮川ダムカード
1日から配布が始まった楮川ダムカード

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