なぜフランスの出生率が低下? 充実した子育て支援も3年連続減
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フランスの出生率が、2017年で3年連続の低下となった。政府の手厚い支援が子供を増やすインセンティブになっていると見られていただけに、フランス国内では衝撃的に受け止められているようだ。出生率低下の理由は何であろうか。
◆子育てに優しい施策。それでも子供は増えず
フランスの国立統計経済研究所(Insee)によれば、2017年に生まれた新生児は76万7000人で、2016年から1万7000人減少した。出生率は、2014年の2.0、2016年の1.92から1.88まで低下している。それでも欧州では最も高い数字だが、ル・フィガロ紙は、「世代の更新は約束されなくなった」とし、今後の人口増は移民に頼ることになりそうだ、という専門家の意見を悲観的に報じたという(フィナンシャル・タイムズ紙、以下FT)
FTによれば、フランス政府はこの10年間変わらず、GDPの約2.5%を子供や母親への社会保障給付に支出しており、その他の施策や税控除も含めれば、GDPの4%ほどになると推定される。長期の出産休暇、充実した保育施設、家族手当、寛大な税控除などが、出産を促してきたと見られている。
◆平等を壊した所得制限。心理面で影響?
FTは、オランド政権下の2015年に、家族手当に所得制限が設けられたことが出生率を下げたと見ている。経済学者のアンリ・スタディニアク氏によれば、所得に関係なく全員に支給という制度は、母親の経歴や素性で差別せず、社会階層をまたいだ連帯感を保証したシステムだった。家族政策の支出全体から見れば微々たる削減額ではあったが、増々「搾取される」ミドルクラスにとってはさらなる福祉の削減であり、払うばかりで受け取る額が少ないという不満につながるということだ。
一方エコノミスト誌は、所得制限で影響を受けたのは最も裕福な上位20%のみだと述べ、出生率低下の理由ではないとしている。経済状況が厳しくなったという見方もあるが、フランスの出生率は2008年から始まった金融危機の最悪の時期もかなり安定していたと述べ、これも理由ではないと述べている。
◆出産適齢期が上がった?出産年齢にある女性も減少
エコノミスト誌が最も説明がつく理由として上げるのは、フランス人女性が出産を遅らせていることだ。母親の出産年齢の平均は10年前と比べほぼ1歳上がって30歳を超えた。勉強や安定した職を探すのに時間をかける女性も多く、25~29歳の女性の出産も減っている。35歳以上の出産の増加は見られないが、40~49歳ではわずかに増加しており、同誌は今後年齢の高い女性が、出生率の回復に貢献する可能性もあるとしている。
これに対し欧州のニュースサイト『The Local』の英語版は、1946年から1964年のベビーブームに生まれた女性が出産を終えた1990年代から、20~40歳の女性が減ってきていると指摘する。出産年齢にある女性の数自体が減少していることが、出生率低下の原因の一つだとしている。
◆緊縮財政のせい?理由の特定は困難
The Localは、最近政府の予算自体が厳しくなっていることも原因だとしている。例えば2012年以来、託児スペースは約束された27万5000件に対し、5万件以下しか建設されていない。このころから始まった予算削減の影響が2016年から感じられ始め、2017年にはさらに増大したと、ソルボンヌ大学のジェラール-フランソワ・デュモン教授は述べる。補助金が減り託児所建設に自治体が消極的になったことで、仕事と家庭の調整に困る世帯が増えたと指摘している。
フランス国立人口研究所の人口統計専門家、ロラン・トゥルモン氏は、フランスは包括的な家族政策を取り、国が全ての家族を援助するという考えだったが、この構造の崩壊が、フランス人の自信に影響を及ぼしているかもしれないと述べている(The Local)。
一方ソルボンヌ大学の人口専門家、ロラン・シャラール氏は、出生率の変化は「個人的決定に基づくものであり、メンタリティの変化と関連している」と述べ、説明的モデルはなく、理由の特定は難しいとしている。