性暴力を軽視する空気の耐えられない「軽さ」

被害者に対して、個人と企業ができること

どうしてこんなにセクハラや性暴力被害を受けた、と言う人が多いのでしょうか(写真:AngiePhotos / iStock)
日本社会には「女性だから」、また「男性だから」感じる「生きづらさ」があります。さまざまな社会問題を「女/男らしさを強制する文化や規範」という視点から読み解くことで、もやもや感の根っこを探ります。また、個人や職場単位で出来る解決策を考えていきます。

上司や取引先、仕事を紹介してくれそうな人からセクハラやパワハラ、レイプをされたという女性の告発が続いています。日本労働組合総連合会の調べ(2017年10月、有職の男女1000名が回答)によれば、職場でハラスメントを受けたり見聞きしたことがある人は56.2%に上っています。うち41.4%はセクハラでした。

実は私も、複数の友人から、同じ加害者によるセクハラ被害の相談を受けたことがあります。上司や組合に相談したところ、対応が取られたものの、加害者が直接会社から注意を受けることはありませんでした。被害者自身が穏便な解決を望んだためです。加害者の無神経な発言をその後も見るたび、腹立たしい気持ちでした。

日本でも被害を報告する人が増えている

治部れんげさんによる新連載、第1回目です

ハリウッドの著名プロデューサーによる性暴力の問題をきっかけに、最近、日本でもSNS上で”#Me Too”というハッシュタグをつけて性暴力、セクハラの被害を報告する人が増えています。そもそも、どうしてこんなにセクハラや性暴力被害を受けた、と言う人が多いのでしょうか。性暴力被害者支援に取り組むNPOしあわせなみだ代表・中野宏美さんにお話を聞きました。

中野さんは、性暴力をゼロにすることを目標に、お仕事の傍ら、講演や啓蒙活動をしています。また、昨年夏に刑法の性暴力規定が110年ぶりに改正された際は、10数名のメンバーで国会議員45名を訪問し、性暴力被害の実態と法改正の必要性を伝えました。

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  • NO NAME516643e33ed9
    実際、自分の妻や娘がこういう被害に合って、まともな生活できなくなったらどうしたらいいの?父親としては加害者を殺したいくらい憎いんだけど。(家族がいるからやらないけどさ)
    カウンセリング?サポート?どうして被害者がそこまでやらされないといけないの?何も悪くないのに?理不尽すぎない?
    どうして加害者は「大したことない」みたいに言っとけば社会的に許されて、被害者は精神が落ち着くまで何年も(もしかしたら永遠に)苦しまないといけないの?どうしてそれが社会で許されてるの?許す人がいるの?
    最後の3点には大いに共感できます。これが社会のスタンダードになって欲しいです。
    up27
    down5
    2018/3/6 07:16
  • 専業主夫 見習い478270a9a4db
    日本は「正社員」の「男性」に「権利」や「権力」が極端に偏って配分されているが、その根本部分には、「男たるもの一家の大黒柱でならねば一人前ではない」式の時代錯誤の風潮を男女問わず是認している側面が少なからずあるように思います。管理職の女性や正社員以外の男性も尊重される風潮(つまり男女平等)を啓発していく必要を感じます。
    up26
    down8
    2018/3/6 08:19
  • NO NAME73e96a90ade8
    セクハラへの取り組みを、「リスクマネジメント」ではなく、「ダイバーシティマネジメント」として企業に位置づけてほしい、という指摘には大いに頷かされる。
    up18
    down1
    2018/3/6 07:04
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