【ジュネーブ=深尾幸生】トヨタ自動車は5日、欧州でディーゼル乗用車販売を終了すると明らかにした。2018年以降に発売する新型車からディーゼルエンジンの設定をなくす。ドイツや英国など西欧では市街地乗り入れ規制の議論などで消費者のディーゼル離れが進む。ハイブリッド車を拡充し、販売の中心にすえる戦略を鮮明にする。
6日に開幕するジュネーブ国際自動車ショーを前に日本経済新聞などの取材に明らかにした。ヨハン・ファンゼイル専務役員(欧州トヨタ最高経営責任者)は「我々の乗用車からディーゼルは消えていく。顧客はディーゼルを求めていない」と述べた。
西欧だけでなく、ロシアやトルコなども含む全欧州での施策となる。商用車のほか「ランドクルーザー」や「ハイラックス」といった業務用にも使う大型四輪駆動車は例外とする。
6日発表の新型「オーリス」ではディーゼルの設定をなくす一方、ハイブリッドは従来型と高出力型の2種類をそろえる。
欧州では有害物質の排出規制を満たすためにディーゼル車の価格は上昇傾向にある。都市が検討するディーゼル車の乗り入れ禁止も消費者の懸念材料でガソリン車や電動車に流れている。17年のトヨタの欧州販売に占めるディーゼル車のシェアは10%台半ばで下落が続く。2年で約2倍の41%に達したハイブリッド車とは対照的だ。
現行の欧州の規制では21年に企業平均の二酸化炭素(CO2)排出量を走行1キロメートルあたり95グラム以下に抑える必要がある。トヨタはハイブリッド車の販売比率を50%以上にすることで達成可能とみている。
さらに厳しくなる25年や30年の規制に向けては20年代の初めに電気自動車(EV)を発売するほか、燃料電池車「ミライ」の第2世代も投入して対応する。