4日に発生した神戸電鉄三木駅(兵庫県三木市末広1)の下り駅舎など3棟が全焼した火災。5日には同電鉄粟生線志染-粟生間は運転を再開したものの、本数を減らした運行状態が続く。店舗や住宅地が並ぶ中心市街地で、公共交通機関も巻き込み、市民生活に大きな影響を及ぼした2日間を追った。
■3月4日
18・00 三木市末広1の民家で火災が発生したと119番。火花を散らしながら激しく炎を上げ、周辺を煙で包んだ。近くの三木北高校3年男子生徒(18)は「目の前で炎が上がり、パニックになった」。消防車のけたたましいサイレンが鳴り響く。消防車から放水したが火の勢いは止まらず、一気に燃え広がった。三木署員は付近住民へ避難を呼び掛けた。
18・30 隣接する神戸電鉄三木駅の下り駅舎に本格的に延焼。警戒線が張り巡らされた。橋や歩道から幾重もの人が集まり、携帯電話のカメラで撮影したり、悲鳴を上げたりした。警察官が強い口調で注意喚起し、辺りは騒然とした。
23・10 出火から5時間を経過。一面が暗闇に包まれる中、ようやく鎮火した。
■3月5日
4・00 神戸電鉄が電源設備などの点検で安全を確認し、上下線ともに運行復旧が決定。
5・00 夜明け前、始発列車に合わせ、神鉄職員数人が改札前で待機し、利用客を案内した。近くの男性会社員(40)は普段より早い便に乗車。「無事早めに着きそうで一安心」と胸をなで下ろし、列車に乗り込んだ。
5・15 神鉄職員が、改札前に掲示するダイヤ表の間引きする便にテープを貼り付けた。
7・00 通勤、通学の乗客から、無事な復旧を願う声が相次いだ。上り列車に乗った会社員永尾恵子さん(52)は「今朝は動くと思っていなかったので、驚いた。駅舎は建て替えて存続してほしい」と話した。
7・40 ベンチに座り、勉強しながら電車を待った小野高校2年男子生徒(17)は「ただでさえ厳しい状況の粟生線が廃線にならないか不安。再建には行政、民間問わず地元の協力が必要」と力を込めた。
10・00 雨が降りしきる中、県警と市消防本部の約20人が現場に入り、行方不明の男性(68)の捜索、実況見分を開始。ブルーシートで囲われる中、多くの報道関係者が現場の様子を取材、撮影した。
14・00 火元の民家から身元不明の男性の遺体が発見された。
18・30 実況見分を終了した。
(井川朋宏、大橋凜太郎)