戦中戦後の混乱で義務教育を修了できなかった人に学習の機会を提供する沖縄県教育庁の支援事業が本年度で終了する。これに伴い、自主夜間中学を運営するNPO法人珊瑚舎(さんごしゃ)スコーレ(那覇市、星野人史代表)に出されてきた講師料や光熱費などの補助も打ち切られる。しかし、補助の条件を満たす生徒は来年度も在籍する予定で、星野代表は「沖縄戦で学校に行けなかった人の学習権は最後まで行政が責任を持って保障すべきだ」と訴えている。

珊瑚舎スコーレの夜間中学で学ぶ生徒=2月28日午後6時すぎ、那覇市樋川(喜屋武綾菜撮影)

公立設置検討も、早くて19年度

 珊瑚舎は補助事業が始まる前の2004年から夜間中学を運営しており、今後も寄付を募って継続する方針。

 教育庁は公立夜間中学の設置を検討しており、その枠組みの中で義務教育未修了者の学び直しに対応する予定だ。ただ新制度のスタートは早くても19年度になる見通しで、その間は支援が途切れる。

 教育庁の事業は11年度にスタート。期間の延長を経て、15年度入学者(現3年生)まで適用されてきたが、その下の学年は対象外となっている。教育庁は「今の3年生で最後というのは以前から伝えてきた」との立場だ。

 珊瑚舎の本年度の在籍者は17人。うち7人が県の求める「1932~41年の10年間に出生した人」という条件を満たしており、来年度も5人が残る見通しだ。本年度の補助額は1学年分の395万円。

 県側は支援が途切れることは認めつつ「繰り返し事業期間を延長し、一定の成果は出した。2年前の入学生から補助対象としておらず、新たな支援策は公立夜間中学の議論の中で検討したい」と話している。