(前回から読む)
今年1月4日に米国で出版されたトランプ政権の内幕を描いた『炎と怒り』──。発売から2カ月近く経つが、今も米アマゾン・ドット・コムの政治分野では書籍売り上げランキングで上位3位を下らない。
トランプ政権が発足した2017年1月からホワイトハウス一階ロビーのカウチに陣取り、200件以上の取材を経て『炎と怒り』を書いたという米ジャーナリストのマイケル・ウォルフ氏へのインタビュ──。第2回は、ウォルフ氏が本で伝えようとしたこと、そして次々に人材が去るトランプ政権が今後どこへ向かうとみているのかをお届けする。
ジャーナリスト
1953年米ニュージャージー州生まれ。父親は広告営業マンで母は地元紙の記者だった。米コロンビア大学を経て、米バッサー大学を卒業。コロンビア大学時代に米ニューヨークタイムズ(NYT)紙のコピーボーイをする。74年雑誌「New York Times magazine」(NYT紙の週末版に入っている雑誌)に最初の記事が載る。90年代にネット企業を立ち上げるが失敗、その顛末を98年、書籍『Burn Rate』として出版。同年からNew York Timesマガジンの定期コラムニストに。2003年から同雑誌でイラク戦争を担当。2004年に『Autumn of the Moguls』を出版し、ネット台頭で主流メディアが苦境に直面していくことを予言。2005年に雑誌「Vanity Fair」のメディア担当コラムストに。同年、メディア王と言われるルパート・マードックの人生を書いた『The Man Who Owns the News』を出版するなど著書も多い。(写真:永川智子、以下同)
「炎と怒り」は世界で35カ国語に翻訳中で、その多くが3月上旬に発売されると聞きました。世界で今、最も読まれている本かもしれません。トランプ政権誕生後の数々の衝撃的な出来事や彼の対応をみて、米大統領にふさわしくないのではないかとの疑念を抱いていた人がこの本を読んだら、その疑念が確信に変わるのではないでしょうか。それは、本を書いた狙いが達成されたという感じでしょうか。
マイケル・ウォルフ氏(以下、ウォルフ):この本の意義の一つは、ホワイトハウスにいる高官の誰もが、100%が、トランプは「大統領にふさわしくない」「大統領職を全うする能力を持っていない」と感じていることを明らかにしたことです。トランプは「裸の王様だ」ということです。
ただ、はっきり申し上げておきますが、私はこの本を書くに当たって、最初からそれを書こうとしたとか、何か政治的な意図、思惑があったわけではありません。私は政治的な視点を持っているわけではない。今のホワイトハウスの状況を取材するというチャンスに恵まれたから、自分がそこで見て聞いたことを本に書いた、それだけです。
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