甲状腺「学校検査」見直し検討へ
原発事故のあと、福島県が行っている子どもの甲状腺検査に関する検討委員会で、学校で一斉に行われている検査について、「デメリットがある可能性が子どもたちに十分説明されておらず、医療倫理上、問題がある」とする意見が出され、進め方を見直す必要があるか、検討することになりました。
原発事故を受けて福島県は、子どもの健康を見守るため、当時18歳以下だったおよそ38万人を対象に甲状腺検査を行っていて、ことし5月から4回目の検査が始まります。
これまでがんやがんの疑いと診断された人は197人にのぼっていますが、専門家から、網羅的に検査を行うことで症状も出ず手術の必要がないごく小さながんまで見つけてしまう「過剰診断」の可能性が指摘されています。
5日開かれた県の検討委員会では、一部の委員から、特に、小中学校や高校などで一斉に行われている検査について「子どもたちが検査のデメリットである過剰診断の可能性について、十分な説明を受けて同意しているとは言えず、医療倫理上、問題がある」などとして、見直すべきという意見が出されました。
一方、別の委員からは、「現在の説明で十分に理解されている」という意見も出され、検査の進め方を見直す必要があるか、今後、委員会で検討することになりました。
検討委員会の星北斗座長は「これまで行ってきた検査が不適切だったとは考えていないが、どう進めるのが子どもたちにとっていいのか議論を深めたい」と話していました。