日本ロック界の重鎮といえば、もちろん矢沢永吉さんである。異論はないと思う。そろそろ国民栄誉賞をもらってもいいレベルで、日本の音楽界に多大なる影響を与えた人物だ。
その矢沢さんが、2018年3月5日にトンでもない発表を行った。それは2016年夏にリリースしたライブアルバムのミックスをやり直しを行ったため、購入者に新ミックス版CDを無償で交換するというのだ。新しく販売すればいいのに、無償って本気か!?
・矢沢のわがまま
矢沢さんは、コメント動画でその経緯について説明している。それによると、オフの時に作品を聞き直しているうちに、どうしてもミックスをやり直したい気持ちが湧いてきてしまったそうだ。「作り手のわがまま」と自らの心情を語っている。
そのこだわりがあればこそ、第一線を走り続けてこられたのだろう。ただ、作品は2000年から2015年までの膨大な量のライブ音源から32曲を厳選しており、作り上げるまで想像を超える手間と時間がかかっているはず。
・関係者はきっとこんな気持ちに……
もちろん制作には矢沢さんだけでなく、多くの人が関わってきたに違いない。それが2018年の年明け早々、矢沢さんは関係者に対してこう言ったそうだ。
「ミックスをやり直したい」
現場の心の声を想像すると、きっとこんな感じだったはず。
「マジかよ……」
100人くらい頭を抱えたであろうことが、容易にイメージできてしまう。
・音楽に貪欲
しかし、そのコメント動画で矢沢さんは、購入者に対してこう言っている。「無償で交換させてくれませんか」と。矢沢さんにこう言われたら、断る術などこの世にないだろう。
音楽を追求する飽くなき気持ちが、ミックスのやり直しを決断させたに違いない。まさにわがままだ。だが、良いものを作りたい。良いものを残したいという貪欲な気持ちが、人を動かし、人に感動を与えるのではないだろうか。さすが矢沢永吉。また日本の音楽史に新たな伝説を刻んだ。
参照元:矢沢永吉公式サイト「LIVE HISTORY 2000〜2015 」、YouTube
執筆:佐藤英典
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