人はパンのみに生きるにあらず                                 "Man shall not live by bread alone."    k’z(ケイズ)ブログ

Colt M1903 Pocket Hammerless .32ACP by ZEKE

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購入してからだいぶ時間が経ってしまったZEKE製.32Autoなのだが僕の最も好きなテッポーである。
この32オートがZEKEのブラスコレクションの発端だったのだ。

因みにColt M1903 Pocket Hammerless .32ACPは敬愛するJohn Moses Browning (Jan 23, 1855~ Nov 26, 1926)大先生の傑作の一つである。

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購入から5年が経過して だいぶお疲れが目立っていた32オートだが、ZEKEより「フル可動モデル完成品」及び「グレードアップ用ハンマー&シアーパーツ」が発売になるとのことでレストアを兼ねたメンテナンスを始めた。
ここまでの完全分解は購入(キットで購入)以来のことだ。

実はこの32オートはバラすのは(ピンを全部抜けばOK)なんの問題ないが、組むのがかなり厄介なテッポーなのだ。
今回は単にフィールドストリッピングのみを紹介するが、ZEKEのグレードアップパーツセットを組み込む手順や注意点は次回お届けするので、気になる方はお待ちいただきたい。
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これが32オートのメカ部分だ。
グレードアップパーツを組み込んであるのでグリップセフティが押し込まれた状態で固定されている。
ご存知の方も多いと思うが、この32オートはグリップセフティがコッキングインジケーターを兼ねている。
ハーフコックかフルコック状態でない限りグリップセフティはフレームから出てこないのだ。
今回のZEKEのグレードアップパーツはそれを楽しむことが出来るようにしてくれる訳である。
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先ず通常分解(フィールドストリッピング)はマガジンを抜き薬室の安全を確認することから始める。
これを身に付けておくと米軍基地や外国の射場で実銃に接した時に役に立つ・・・というか「通」に見られるのだ。

スライドを引きスライドに刻印されている矢印をフレーム先端に合わせてバレルを回す。
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そうするとバレルとフレームに切られたラグのリンケージが外れてスライドが前方に抜けてくる。
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いとも簡単に上下が分割される。
銃身の下にある6本のデコボコが嵌合用のラグだ。
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フレーム側にも6本のラグがあり、そこに嵌ってスライドが固定される。
ハドソンの32オートもこの方式を模しているが、さすがに亜鉛ではラグを4本に省略している。
因みに実物のブローニングM1910/1922は4本ラグだが、CMCでは3本になっている。
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32オートのエジェクターは珍しい形態である。
これで非常にスムースにカートをエジェクトするのであった。
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グリップを外すと何ともシンプルな感じだ。
この辺のアレンジがブローニング先生の偉大なところではないだろうか?
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マガジンはいたってシンプルだが、問題は32ACPのアモにあると思う。
この32ACPはセミ-リムドなのである。
何故オート用(ACP:Automatic Colt Pistol)なのにリムレスにならなかったのか・・・
マガジン内でガタツキそうでどうも解せない。
時代なのか・・・
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サムセフティは直接シアーの前進をブロックしてハンマーをリリース出来ないようにしている。
あったりまえだがハンマースプリングはハドソンと異なり(?)リーフスプリングである。
ハンマーには極小のローラーが付いていてSAAを思わせる方式だ。
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これが今回ZEKEより発売された「グレードアップ用ハンマー&シアーパーツ」である。
鉄製ではなくアルミ製だ。
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全て切削加工で非常に精度が高い!
ハンマー上部が薄くなっているのは安全対策でブリーチのセンターを叩かないようにしている為である。
この2つのパーツが無味乾燥だった32オートに新たな息吹を与えてくれる。
一般人からすると全く理解できない事だと思うが、スライドを引いてから、引金を引くと「バチン」・・・!

この感触を待っていたんだよねーーー!
これなんだよね! ウキィーーー!

それではその効力を見ていこう。
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ハンマー レストポジションではグリップセフティが入ったままだ。
この状態ではサムセフティも作動できない。
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レストポジションではシアーのフック部分がグリップセフティを抑えている。
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この32オートではハンマーレスタイプにも関わらずハーフコックがある。
これは装填時にテッポーを硬い床などに落とした際にシアーがフルコックノッチから外れしまった場合の一種の安全装置である。
これにより暴発を回避できる。
グリップセフティが出たことがわかる。
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シアーがハンマーのハーフコックノッチに入るとグリップセフティを抑えていたフック部分がシアーピンを軸とした回転運動でやや下に下がる。
そうするとグリップセフティはスプリングの力で右側に(この写真では)移動する。
つまりフレームから飛び出す訳だ。
サムセフティも作動可能だ。
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この状態がフルコックポジションである。
グリップセフティもフレームより出ているのでコッキングされたことが確認できるのだ。
勿論、この状態でサムセフティを掛けることはできる。
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ハーフコックよりもシアーの掛りが浅い分、フック部分の移動は少ない。
このままトリガーを引いてもグリップセフティがシアーの回転をブロックしているのでハンマーリリースは出来ない。
これが32オートのグリップセフティ・メカニズムである。

今回のパーツセットのおかげでシアーとハンマー、セフティの関係が把握できて非常にスッキリした。
特にシアーのフック部分の動きが一目瞭然で、目からウロコが涙のようにあふれ出した。

次回はフレーム内の組立をレポートする予定。
結構コツが必要でガバのようにはいかない。
ここら辺が軍用と民間のテッポーの異なる部分なのかもしれない。
こうご期待!


ーお知らせー
この「32オート・フル可動モデル」はProducts ZEKEより既に発売中です。
価格は¥268,000(税別)。
勿論、以前に同社の32オートを購入された方には「グレードアップ用ハンマー&シアーパーツ」が用意されていますのでそちらをどうぞ。
今回レポに使ったのがそのパーツセットです。
価格は¥19,800(税別)で発売しています。

只今、我k'z(ケイズ)でもこの「32オート・フル可動モデル」「グレードアップ用ハンマー&シアーパーツ」共に注文を受け付けています。
送料はサービス。
とにかくお持ちの32オートが生まれ変わります!
是非ご注文ください!
現在は販売しておりません。

メールアドレスは kz_gunshop@yahoo.co.jp です。

また、すでにZEKE製32オートをお持ちの方でパーツの組込みに不安な方は実費(¥10,000)にて組込みをいたします。
ご相談ください。

宜しくお願いいたします。



by 1944-6-6 | 2015-09-06 23:54 | Z E K E | Comments(18)
Commented by カスタム屋でござい at 2015-09-07 00:18 x
さすが都会だ!出て来ましたね~。
推測で作成したが・・・・推測は推測でした(笑)。
矢張りチョッピリ違いました、写真有難う御座います。
シアーは前回分の少しRキツイ部分は変わり無い感じですネ。
ミソはハンマーの溝の切り方ですナ。
大変役に立ちました~
此れからもバンバンとバラシテ秘密を証して下さいネ。
Commented by 1944-6-6 at 2015-09-07 18:38
>カスタム屋でござい 様
僕も以前に32オートのハンマーをABSかアルミで作ろうと企んでいましたが・・・

僕の愚ブログは あまり情報の無い新旧のモデルガンをバラしたり細部を見せることでその気になれることを目指しているんです。
特にふるいMGCモノやロッケンなんかはできるだけ情報を盛り込みたいと思っています。
ZEKEなんかもなかなか手に取る機会が無い方に持っている気にさせる・・・それが楽しみですね。
これからもご期待ください!(笑)

Commented by Schutze600 at 2015-09-07 19:05 x
ブローニング設計のピストルの安全装置は、人間は間違いを犯すものという前提で設計されているように感じ、その発想には感心しますが、彼が、同時代のルガーの安全装置を設計していたらどのようにしたのか興味をそそられます。

ドイツ陸軍は、ルガーP08を採用するに当たり、それまで装備されていたグリップセフティを削除しましたが、その理由が今もって理解できません。
ルガーP08のセフティは、シアーをブロックするマニュアルセフティしかなく、非常に心もとないものでした。
バンド・オブ・ブラザーズでも、米兵が敵兵から奪ったルガーを暴発させ死亡するシーンがありましたね。
Maimaiさんから、ルガーに関する百科事典のような3冊セットの資料本をお借りして読みましたが、疑問は晴れませんでした。まあ、読解力不足も多分にあると思いますが・・・・

1930年代前半、ルガーの製造を引き継いだモーゼル社は、世にも奇妙なシアーセフティなるものとマガジンセフティを採用し、警察向けのルガーに限って改修の上納入しました。
シアーセフティは、通常は機能しないもので、通常分解時、サイドプレートを外すと板バネの先についたピンがシアーの穴に入り込みシアーをブロックするというものです。
何のための安全装置?
薬室に弾を装填したまま分解し暴発させた事故が多発したための対応策でした。
分解時の装填の有無の確認は基本中の基本だろうと思いますが、通常、薬室に弾を装填した状態で銃を所持する軍や警察ではうっかりミスも多かったと言うことでしょう。

この安全装置が軍向けのP08に採用されなかった理由は謎ですが、軍内で取り扱い規定を徹底したか、1940年以降は、P38の採用でその必要も無くなったということでしょうか・・・
ワルサーP38に当時過剰とも言える安全装置が盛り込まれたのは、ドイツ軍内にルガーの安全性に関するトラウマがあったからではないかと想像するところです。
Commented by Products ZEKE at 2015-09-07 21:13 x
レポートをありがとうございます。

販売用商品につきましては、今週末位までに出荷可能だと思います。

「持っている気にさせる」のではなく、買いたくなる気にさせる記事をバンバンよろしくです。(^^;

どうぞよろしくお願いいたします。
Commented by naka2013blue at 2015-09-07 21:45
ナカです。
32オート、イイっすね~~~!
K’Zアニキの影響受けまくりの今日この頃、色々意欲が湧いてきます (^^)/~~~
Commented by 1944-6-6 at 2015-09-07 21:54
>Schutze600 様
ルガーに関してはオートですが現代銃ではなく19世紀の感覚の延長なのではないかと思うのですが。
原型が1893年ですから。
セフティの取り扱い・運用などがSAAやM1860アーミー等のリボルバーと変わらない発送なのでは・・・
ZEKEのP.08とP.38を分解してみて、その工業的な違いは非常に大きいと思いました。
そんな意味でルガーは過渡期の時代物なんじゃないでしょうか。
でも、本物のテッポーを持てるなら綺麗なルガーが一番欲しい僕です。
出来ればクリークホフ社製のヤツをね!

もしブローニングがルガーに関わっていたら・・・もっと簡略して造りやすくしていたと思います。
魅力のない単にトグルアクションのテッポーだったんではないでしょうか(笑)
>人間は間違いを犯すもの・・・敬虔なクリスチャンのブローニングにとってはすでに犯している原罪があるので、人間的な間違いなんかは日常茶飯と割り切っていたんでしょうか。

Commented by 1944-6-6 at 2015-09-07 22:01
>Products ZEKE 様
大丈夫です!
見た人は既にその気になっていますよ。
たぶん・・・

一度、横浜の氷川丸でZEKEオーナーズ・パーティーなんかいかがでしょうか?
ご自慢のZEKEを持ち寄って自慢しあうんですが・・・なんか真鍮臭そうですね(笑)
Commented by 1944-6-6 at 2015-09-07 22:05
>naka2013blue 様
32オートはイイっすよ!
何処か洗練されてなくて、何処か野暮ったいモノを感じます。
レールの付いたGlockのとは正反対のアナログ感。
でも何処か味があります。

そんなジジイになりたいですねぇ・・・
Commented by OAS at 2015-09-07 22:49 x
ZEKEオーナーズパーティ。どんな方が所持してるか興味ありますね。
氷川丸ってのがMGCのモデルガンフェアぽい。
ただZEKEオーナーってネット上ではほとんど見ません。
そう考えたら、ここのブログは凄いです。
ここ見て買った人が何人いるかも興味あります。




Commented by 1944-6-6 at 2015-09-07 23:37
>OAS 様
OP(オーナーズ・パーティ)に来られる方はシャイなオヤジーばかりだと思うんですよね。
それなんで仮面をつけてやるわけですわ。
アタシは中世のペスト医師の鳥仮面で参上なのら!
それで約束の地、氷川丸へGoー!
Commented by ファイアーブルー at 2015-09-08 00:18 x
こんばんは。

真鍮ものシリーズのレポートネタはいつも楽しみにしております。まぁ、半分は指くわえて溜息つきながらですが・・・・・
初めて真鍮モノを見させてもらった時には、ダイキャスト製品との違いに、ガックリきたというか、なんか酒飲み過ぎた翌日の脱力感のような感覚に陥ったこと思い出します。(笑)

貴重なモデルガンなどをバラすなど、一般的なコレクターが嫌がることをいとも簡単にやってしまう少し変態的(失礼!)なところがスゴイです。これからも楽しみにしております。
Commented by Kawa-H2 at 2015-09-08 10:10 x
ZEKE製品の詳細な情報、専門誌ではまったく取り上げてくれないのでとてもありがたいです。
買いたい気持ちは突き抜けています。
で、残高を見てため息...
Commented by PRODUCTS ZEKE at 2015-09-08 12:08 x
今回、フル可動の32オートを複数丁組みながら一つ気がついたことがあります。

サムセフティは1910の様にポジティブなロックをされることがなく、ハンマーがコックされるとシアーのブロックが外れサムセフティはフリーな状態になります。

以下の説明はスライドを組み付ける前の動作確認をしている状態のことです。
サムセフティの軸はハンマー軸を兼ねていますので、具合によってはハンマーの回転にならってサムセフティが持ち上がる現象がでる場合があります。
その場合、途中でシアーをブロックすることになるのでハンマーが途中で止まってしまいニッチもサッチも動かなくなってしまうのです。

ただし32オートはハンマーレスなのでスライドを操作することでハンマーのコックを行うことから、スライドが後退したときにはサムセフティが持ち上がるスペースは無くなっていて前述のような問題は解消されてしまいます。

以前からサムセフティの形状が「ウルトラマンのつま先みたいで手間のかかる不思議な形をしているなぁ?」と思っていたのですが、スライドが後退したときサムセフティが多少持ち上がり気味でも蹴飛ばして押し下げるために不思議な形をしているのだなと気がついた次第です。
Commented by 1944-6-6 at 2015-09-08 16:45
>ファイアーブルー 様
オッス! 真正変態のオヤジーです!
自分でも子供の頃から変だなと思ってました・・・って、なに言わすんですか!
でも人の嫌がることをやるのは大好きです。
なので人のやらない事に萌えますね。
パクリはダメです・・・
Commented by 1944-6-6 at 2015-09-08 16:57
>Kawa-H2 様
専門誌でやられたら僕のやることが無くなっちゃうので向こうが自粛しているのでしょうね(自己中)
しかし我愚ブログを見てZEKEのアイテムを購入したというのは数人から聞いています。
僕の琴線にふれるものを僕なりに伝えたくてUPしているんですが・・・同好の士が増えていくのは嬉しいですね。
いろんなメーカーのモノをやれたらと思います。
今回も是非その気になられることをお勧めします。
PC画像ではお伝えできないのですが、この32オートはスライドを操作した時の音がイイんです!
何処かCMCの68型SAAを思い出しました。
Commented by 1944-6-6 at 2015-09-08 17:08
>PRODUCTS ZEKE 様
なるほどって感じのお話です。
僕も以前より32オートのサムセフティに関しては、何故ロックやクリックなりの機能が無いのか疑問です。
実物の場合、かなり強いハンマースプリングのテンションで絶えずハンマー軸(サムセフティ軸)に摩擦抵抗が掛かるのでしょうね。
そう考えるとユルユルではないと思いますが・・・ガバなんかのパチッって感じの作動音と感触が欲しいところです。
それとも音もなくセフティを外すのを考えている・・・アサシンなテッポーなのかも(笑)
Commented by albert at 2015-09-09 00:08 x
ZEKEオーナーズ・パーティ、いいですね。そういう企画が実現することを願っています。仮に実現したら、わたしも仮面を被って参加します。「偉大なる荒野の支配者ヒューマンガス」の仮面をつけるつもりです(「ヒューマンガス」が何者かはググッてください)。
Commented by 1944-6-6 at 2015-09-09 21:38
>albert 様
たまにケイズがプチ・ZEKEオーナーズ飲み会になってますよね。
また、やりましょう!