うつ病治療費を軽くする自立支援医療制度(精神通院医療)を利用しよう
うつ病治療のためにかかるお金ってバカになりませんよね。
週に1回の診察、毎日飲む薬。これをずっと……いつまで続けなきゃいけないのかわからない……。
そんなとき利用できる自立支援医療という制度があります。これは、心の病気で高い治療代を払っている人をサポートするためのものです。
経済的な不安を抱えている方、「お金がない!」と焦りまくっている方にオススメです。
もくじ [折りたたむ]
自立支援医療制度(精神通院医療)とは
医療費の自己負担額を軽くする制度です。病院と薬局で支払うお金が1割ですみます。
うつ病や双極性障害(躁うつ病)など、長期にわたる通院治療をされている方が利用できます。
※障害者手帳、障害年金とは別モノです。1級、2級などの認定はありません。手続きも簡単です。
<対象となる精神疾患>
- 統合失調症
- 気分障害(うつ病、双極性障害など)
- 不安障害(パニック障害、強迫性障害、PTSDなど)
- 薬物、アルコール依存症
- パーソナリティ障害
- てんかん
など。その他に症状・経過によって適用されるものもあります。
診察代・お薬代がお安くなります
自立支援医療制度を利用すると、医療費の負担額が3割→1割に。
1か月に支払うお金の上限も決められています。負担額は所得の状況によって違います。
世帯所得 | 上限金額(重度かつ継続) |
---|---|
生活保護 | 0円 |
市民税非課税(本人収入が80万円以下) | 2,500円 |
市民税非課税(本人収入が80万円より上) | 5,000円 |
市民税 33,000円未満 | 5,000円 |
市民税 33,000円~235,000円未満 | 10,000円 |
市民税 235,000円以上 | 20,000円 |
「重度かつ継続」…高額な治療を長期間続けなければいけない人。うつ病や双極性障害も含まれています。
※ここでいう「世帯」は、同じ医療保険に入っている家族を指します(住民基本台帳の「世帯」ではありません)。
次の場合はもらえません。
× 入院
× 指定の病院・薬局以外を利用したとき
× 精神疾患と関係のない病気
× 保険がきかない治療
手続きの流れ
1.主治医に相談
まずは、主治医に相談してみましょう。申請書を用意している病院もあるようです。
大きい病院では、相談員やソーシャルワーカーを配置しているところもあります。何か不安なことがあれば、一度聞いてみましょう。
2.必要な書類をそろえる
【追記】
平成28年から、個人番号(マイナンバー)の記載が必要になりました。個人番号を記載する際には、本人確認のため、個人番号カードなどの提示が必要です。
(1) 自立支援医療(精神通院)支給認定申請書
市町村の窓口か病院でもらえます。
(2) 医師の診断書
主治医に書いてもらいます。
料金は病院によって違います。2,000円~5,000円が相場と言われますが、もっとお高くなる場合もあるようです(1万円かかったという噂も……)。病院のサイトで料金表を掲載しているところもあるので、一度チェックしてみてください。
(3) 健康保険証の写し
忘れずに持っていきましょう。
(4) 所得や収入が確認できる書類
対象 | 用意する書類 | もらえるところ |
---|---|---|
生活保護の人 | 生活保護受給証明書 | 市町村、 福祉事務所 |
住民税を払っていない世帯 | ・住民税の非課税証明書 ・本人の収入が確認できる書類 (障害年金の振込通知書コピーなど) |
市町村 |
住民税を払っている世帯 | 住民税の課税証明書 | 市町村 |
(5) 印鑑
支給認定申請書に押します。
(6) 病院・薬局の名前と住所がわかるもの
支給認定申請書に記入します。
(7) その他
・障害者手帳
・自立支援医療受給者証(更新時のみ)
これらをお持ちの方は、一緒に持参しましょう。
※自治体によって必要書類が違うことがあるので、詳しくは各自治体の公式サイトでご確認ください。(このページの最後にリンクがあります)
3.市町村の担当窓口で申請する
必要書類をお住まいの保健所などの窓口へ提出します。
市町村によって担当する課の名前は違います。福祉課、障害福祉課、保健福祉課などなど。
4.受給者証が届く
申請が通ると、受給者証が郵送で届きます。
申請が通るまでの日数、受給者証が届くまでの日数は自治体によって違います。大体1か月~1か月半と見積もっておけばよろしいかと思います。
使い方
病院・薬局で毎回、受給者証を見せます。これまで通り、診察券・保険証も一緒に出します。
申請のときに指定した病院、薬局でのみ使えます。
(※写真は、神奈川県川崎市の受給者証と自己負担上限額管理表 Wikipediaより)
受給者証の有効期間
有効期限は1年です。1年ごとに更新が必要です。
更新するときは、有効期間が切れる3か月前から申請できます。治療方針に変更がなければ、2回に1回は医師の診断書なしでOKです。
自立支援医療制度のメリット・デメリット
メリット
- 医療費が安くなる(3割→1割負担)
- 安心して治療を受けられる
お金の心配ばかりしていると心が休まりません。診察代・薬代の負担が減るだけでも、気持ちは軽くなります。この“安心”が一番のメリットではないでしょうか。
デメリット
「特になし」と私は思います。強いて言うなら、
- 手続きがちょっと面倒
- 病院や薬局を変えると変更手続きが必要(=面倒)
- 診断書の作成にお金がかかる
診断書の料金については、3割負担でお金を払い続けることを考えたら、大きな出費ではないと思います。
例えば1か月に医療費を12,000円払っている人だと……
1か月:12,000円 → 4,000円(1か月の差額 8,000円)
年間:144,000円 → 48,000円(年間の差額 96,000円)
あとは、病気や制度について詳しく知らない人(家族など)に誤解されてしまうカモ……という“不安”もデメリットかもしれません。どうしても心配な方は、次へどうぞ。
「だけどやっぱり不安だよ……」のコーナー
不安1「病気って認めることになるんでしょ?」
障害年金や障害者手帳のような認定はありません。心の病気で通院している人が安心して治療を続けられるようにするための制度、つまり、回復を応援する制度です。そんなに深刻に考えなくて大丈夫。
不安2「会社にバレたら困る!」
自分で言わなければわかりません。役所には守秘義務がありますので、個人情報が漏れることはありません。
不安3「就職で不利になりそうだから……」
2と同様、自分で言わなきゃわかりません。面接で「自立支援医療を利用しています」とわざわざ申告する必要もありません。
不安4「治そうって気持ちが薄れるんじゃない?」
助けてもらっているからこそ、感謝の気持ちと共に「早く治そう」と思えるのではないでしょうか。病気を治したくない人なんていませんよね。
不安5「今後の人生に支障があるんじゃ……」
自立支援医療制度自体が人生を左右することはありません。税金を納めているのですから、こういった社会制度は積極的に利用させてもらいましょう。
家族や親しい人に誤解されてしまうこともあるようですが、そういうときは自立支援医療制度について一緒に勉強しながら、これからどうしたらいいか作戦会議をしてみてはいかがでしょうか。
不安6「そうは言っても、抵抗がある……」
確かに、病気によって支援を受ける申請をするわけですから気軽にはできませんよね。でも、今一番なのは病気を治すこと。回復のために不安を減らすことはプラスに働きます。
誰でも病気になる可能性はあります。そして、困っている人を支え合うために、このような制度があります。
つらいときは助けを借りながら治療に専念して、元気になったら感謝の気持ちをお返しする。それでいいんじゃないかなと思います。
【リンク】各自治体の案内ページ
参考までに、各都道府県の自立支援医療制度についてのページをまとめました。(カッコ内)は政令指定都市です。
都道府県のサイトに詳しい説明がない場合は、お住まいの市区町村サイトをご確認ください。
▼厚生労働省の案内ページとあわせてどうぞ。
経済的な支援 ~医療費への助成、控除、生活支援など~
北海道地方 | 北海道(札幌市) |
東北地方 | 青森県 岩手県 宮城県(仙台市) 秋田県 山形県 福島県 |
関東地方 | 茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県(さいたま市) 千葉県(千葉市) 東京都 神奈川県(横浜市、川崎市、相模原市) |
中部地方 | 新潟県(新潟市) 富山県 石川県 福井県 山梨県 長野県 岐阜県 静岡県(静岡市、浜松市) 愛知県(名古屋市) |
近畿地方 | 三重県 滋賀県 京都府(京都市) 大阪府(大阪市、堺市) 兵庫県(神戸市) 奈良県 和歌山県 |
中国地方 | 鳥取県 島根県 岡山県(岡山市) 広島県(広島市) 山口県 |
四国地方 | 徳島県 香川県 愛媛県 高知県 |
九州地方 | 福岡県(北九州市、福岡市) 佐賀県 長崎県 熊本県(熊本市) 大分県 宮崎県 鹿児島県 |
沖縄地方 | 沖縄県 |
自立支援医療の手続きを詳しく説明しているページにリンクしていますが、自治体によっては複数ページにまたがっている場合もあります。自治体サイトの検索フォームに「自立支援医療」「精神通院」と入力して確認してみてください。
【こちらもあわせてどうぞ】
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【自立支援医療制度】
わたしと同じように苦しんでいる方には,
【自立支援医療制度】をぜひ利用してほしいです!
診断書の料金は,わたしの場合,障害者年金更新のためにくわしい診断書を書いていただくときには1万円(さらに税を加算)でしたが,【自立支援医療制度】のためには4千円程度でした。たとえ1万円強でも,【自立支援医療制度】を利用した方が心強いです。
精神医療のお薬は,少量でもほかのものに比べ,ものすごく高いのです。
わたしの地域では残りの1割負担の分も,公費で補ってもらえ,すごく助かっています。薬は7種類まではお医者さんの保険点数が減らないので,ついでに整腸剤・高脂血症予防剤・漢方薬も処方してもらっています。
わたしが【自立支援医療制度】を利用していなかった理由は,
1 だれも【自立支援医療制度】をおしえてくれなかった。
お医者さんでさえ,長らく,だれも教えてくれなかったのです。現在の病院にはそのポスターさえない。おしえてくださったのは,はっきりした記憶がないのですが,たぶん…
ナミさまだったのではないかとおもうのです!
ナミさまが今なさっていることは,非常に世の中のためになってることだとおもいます。ものすごく立派で貴重な行為で,ナミさまはこのことに充実感=よろこびをだれにも負けずにあじわっていいと感じるのです。ありがとうございます!
2 病気のせいで【自立支援医療制度】に注目できない。
わたしは最近になるまでこんな気分でした。
まるでかすみの中で,自分が興味を持つものがときどき,ビカッ!ビカッ!と光ると,また違うものがビカッ!ビカッ!と光って,ひとつのことに集中できませんでした。
ほかには,どよ~んと暗闇の中にいる気分の方もいらっしゃるような…(ゆうきゆう先生『ゲームで分かる~ http://yakb.net/man/79.html 』)
ですから【自立支援医療制度】の利用をしっかり声を大にして叫びたいです。
どうでもいい蛇足。わたしの次の一手とは塾講師の短時間アルバイトが採用内定したことです。わかっています。採用されることよりも持続して雇用してもらえるかどうかが問題だということを。職の選び方・探し方・準備のしかた・採用のされ方・続け方など,これからもしもお知らせできれば幸甚です。紙一重の名前・匿名・芸名・仮名に恥じる投稿をお許しください。
紙一重さん、熱いコメントありがとうございます。このようなメッセージをいただけることが私にとって何よりの喜びでございます。
そしてそして、採用内定おめでとうございます! 紙一重さんの行動力が勝ち得た結果。心から拍手を送ります。パチパチパチパチ~!
自立支援医療の診断書は4,000円程度でしたか、やはり病院によっていろいろなんですね。確かに、1万円かかったとしても1割負担ですむことを思うと心強いですよね。ほんと、精神医療の薬はお高いですものねぇ……。
自立支援医療について、私は主治医から教えてもらいましたが、そのときは頭がボーーーっとしていて、よく理解していませんでした。まさに「不安ナル・ファンタジー」のうつモード。
すべての先生がこういった社会制度について教えてくれるわけではないですし、地域によって自立支援医療制度の案内の仕方には差があります。紙一重さんがおっしゃるように、療養中は余裕がなく、自分で情報を取りに行くのも困難です。周囲の人たちがしっかり伝えていけたらいいですよね。
残念なことに、私はこういった難しいお話が苦手なもので、なかなか上手にまとめられないのですが、自分なりに勉強しながら少しずつブログにアップしていけたらいいな~と思っています。