こんにちは。ライターのルリ子(@ruricocoa)です。
いつも思っているんですが、お菓子のハッピーターンっておいしいですよね。
サクサクのせんべいの食感と、表面の甘じょっぱいハッピーパウダーがたまらなくおいしい。
ひと口食べればついつい手が止まらない、中毒性の高いクセになる味です。
きっとハッピーターン好きなら、1度はこう思ったことがあるはず。
あぁ、パウダーだけでもいいから食いてぇ……
いや、待てよ。パウダーだけなら自分で作れるんじゃねーの?
パッケージの裏側を見てみると、たんぱく加水分解物、アミノ酸……と馴染みのない原料が並んでいる。だけど、「砂糖」と「塩」が入っているなら、案外それっぽいものを組み合わせれば本物の味に近づけるのでは!?
そうとわかれば、家にある調味料で配合を重ねて、世界一本物に近いハッピーパウダーの味を生み出そうじゃないか!
そう思い立ち、さっそく作ってみた。
念のため本物のハッピーターンからパウダーを削ぎ落として、味を食べ比べながら試作を繰り返していった。
こうして出来上がったのがこちらのお手製ハッピーパウダー!
色は真っ白だけど味はかなり近づいたぞ!
材料は、塩小さじ1、砂糖小さじ2、クリープ3g、コンソメふたつまみ、鶏ガラひとつまみ。とてもシンプル。
こんなに簡単に作れちゃうなんて、私、天才じゃない?
そうだ! これを本家に認めてもらえたら、世界初のハッピーパウダー公認レシピが誕生するかもしれない!
亀田製菓に行こう!
ということで、ハッピーターンを製造している新潟県の「亀田製菓」さんにやってきました。
今回快く会ってくださったのは、元ハッピーターンのブランドマネージャーで、現広報マネージャーの片桐さん。
――はじめまして。私、ハッピーターンが好きすぎて自分でハッピーパウダーを作ってきたんですけど、ぜひ食べてみてもらえませんか?
片桐さん すごいですね。わざわざ持って来て下さってありがとうございます。ただその前にせっかくですから、ハッピーターンの工場見学をしていきませんか? ちょうど新商品も見られると思いますよ。
ーーえ、いいんですか!? ぜひ見学させてください!
てなわけで、さっそく用意いただいた作業着にチェンジ。
これ、完全防備すぎやろ?
説明すると、この作業着はフードまでが一体型のツナギになっているんです。マスクは普通と違って紐が上下にあるので、頭から被る仕様だ。
今まで色んな取材をしてきたけど、こんなに肌の露出を許さない現場は初めてだ……。
ここからは笑顔の素敵な工場視察担当の本間さんが案内してくれます。
工場に入るには、まず小型の掃除機を使って作業着のホコリを除去したり、エアーシャワー室を通って全身に風を当てられたりと入室までのステップが多い!
さすが大手食品会社なだけあって、衛生面への配慮が徹底しています。
ハッピーターンの工場見学へ!
そんな諸々の工程を経て、いざハッピーターンの工場見学へ!
写真提供:亀田製菓
ハッピーターンの生地の原料は、私たちが普段食べているようなお米に少量のもち米が使われています。それを団子状にまるめてローラーで薄いシート状に伸ばし、
写真提供:亀田製菓
ハッピーターンの形をした金型でくり抜かれ、しっかりと乾燥されます。
これがハッピーターンのもとの生地。この時点ではものすごく固いので、
200度以上の熱で焼きあげられ、オーブンから大量のハッピーターンが流れていきます。
そして筒状の機械のなかで回転しながら、上から注がれるハッピーパウダーで味付けがされていきます。
わぁ〜! できたてホヤホヤのハッピーターンがおいしそう……!
まだまだ作業は続きます。できあがったハッピーターンは、機械でキャンディタイプに個包装されていきます。
その数は1分間に1,500個以上! すさまじい生産量です!
こうして袋詰めをされて、スーパーなどの店頭に並んでいくわけですね。
夢のハッピーパウダー付け放題!
なんと亀田製菓さんの図らいで、焼きたてのハッピーターンにパウダーを付けさせていただくことに!
右側の商品は、3月5日から発売される新商品の「コク旨和風チーズ味」です。
やばっ! ハッピーパウダーが付け放題なんてたまらん!
わぁああああ〜!! 遠慮なくたぁ〜っぷり付けて、いっただきまーす!!
ぱくっ
ぶっほぉおおおfだflsdfだsf…!!
こりゃあかん!!パウダーの味が一気に口の中に溶けて濃すぎる…!
適度にパウダーをつけて食べ直したら、チーズの濃厚さと程よい醤油のコクがあってとてもおいしゅうございました。いくら旨いからって、付け過ぎは良くない。
ハッピーターンの秘密に迫る!
楽しい工場見学を終えて、さっそくハッピーターンについてお話を伺うことに。
ハッピーターン商品開発部の佐久間さん(中央の女性)をお招きいただきました。
ーー亀田製菓さんは米菓の売上No.1の会社ですよね。そのなかでハッピーターンは年間売上どのくらいあるんですか?
片桐さん 言いたくないんですけどね。この場所だけで言わせてもらうと、ハッピーターンは約100億になります。
ーー100億!?って、めちゃくちゃスゴイ数字だと思うんですけど、あまり良くなさそうな表情ですね?
片桐さん 亀田製菓でNo.1のブランドは亀田の柿の種で、200億以上売り上げているんですよ。それに比べたらまだまだなので、どうにか今後追いつきたいと思っているんですけど。
ーー200億なんて、もう別格じゃないですか。ただ消費量で言ったら、亀田の柿の種もハッピーターンも新潟県がダントツなわけですよね?
片桐さん それが亀田の柿の種は信越地方が売上1位なんですが、ハッピーターンは新潟よりも西日本の方が親しまれているんですよ。
ーーこれは意外ですね!? なにか理由はあるんですか?
片桐さん 西日本では、かりんとうだとか甘じょっぱい煎餅を好まれる文化があるんですよ。それでハッピーターンの甘じょっぱさが人気なんだと思います。逆に関東地方は醤油の固いせんべいを食べる風習があるので、全国的に見ると売上が低い傾向にありますね。
ーーなるほど〜。その土地の食文化の違いがお菓子の売上にも影響しているんですね。
今現在、ハッピーターンの味の種類はいくつあるんですか?
佐久間さん ハッピーターンの味はこれまでに33種類の味を開発しています。大体1シーズンに8種類ほど出ている感じですね。
ーーこれこれ! 私の大好きな大人シリーズ!
佐久間さん それはコンビニ限定で発売されている高知県の柚子を使った「柚子こしょう味」ですね。コンビニの統計では深夜帯に来店する女性客に多く購入されているんですよ。
ーーたしかにお酒に合いそうだし夜に食べたくなるかも。普通のハッピーターンと違ってそのままザクザク入っているから、袋を開けた瞬間から柚子の香りがぐわっと鼻を刺激するんですよね。
※柚子こしょうは2018年3月までの期間限定販売なので、今のうちにぜひ食べてほしい!
そしてコンビニ限定にはパウダー増量の「パウダー250%ハッピーターン」も発売されている。こちらは定番商品なので、わりと手に入りやすいんです。
しかも運がよければハートマークのハッピーターンに出会えます。
さらにこの日初めて阪急百貨店とネットでしか購入できない「ハッピーターンズ」にお目にかかることができた。
味はカマンベールチーズ、焦がしバター、カフェオレや和三盆(わさんぼん)きなこなど、魅力的な6種類の味が出ています!
通常のハッピーターンよりも1パック税込540円とお高めですが、パッケージも高級感があるのでおみやげにぴったり。
阪急百貨店のお店ではオープン当初、4時間待ちの行列だったそうです!
大阪の人は行列が嫌いと言われているのに、そこまでしてでも買いたい人がいるとは驚き。
ほっ…! これはおいしい!
ふわっと空気を含んだように軽く、すぐに口の中で溶けてしまう。
ホワイトチョコレートを染み込ませているから、せんべいというよりサクサクとしたクッキー寄りのハッピーターンで新感覚!
ハッピーパウダー対決! 本家にどこまで近づけるのか?
ーーそろそろ私のハッピーターンを試食してもらってもいいですかね?
片桐さん わかりました。では最初に、商品開発部の佐久間さんに食べてもらいましょう。
持参した自家製パウダーを本物のパウダーの隣に並べてみると、色がまるで違う。
だが、大事なのは味だ。ここで引き下がるわけにはいかない!
ーーなにが入っているかはお楽しみです。まずは食べてみてください。
佐久間さん ……。
恐る恐る、味の付いていないハッピーターンを自家製パウダーに付ける佐久間さん。
佐久間さん う、んーーーーーー!?
佐久間さん これはなんの味だろう!?
ーーハッピーパウダーですよ、ね!?
ぼくも食べていいですか?と興味津々の片桐さんに、本間さん。
片桐さん ん〜? これはなんだろう?
ちょ、本間さん! どういう顔なのそれw。
ーーえ…でも家庭の調味料で作ったわりには本物に近いと思いませんか…!? 佐久間さん、ずばり何点ぐらいですか?
佐久間さん 正直に言っていいんですよね?
ーーそこは正直にお願いします。
佐久間さん 18点(キリッ)。
ーーじゅうはってん!?? 100点満点中の18点ですか!? 逆に18点にした理由が知りたい……。
佐久間さん 理由はハッピーターンなので8を付けておこうかなと思ったのと、努力してくださったお気持ちを汲んで18点とさせていただきました(笑)。
ーーそ、そうですかw あまりにも低い点数でびっくりしてますw
使ったのは塩と砂糖とクリープ、コンソメ、鶏ガラなんです。粒子をすりこぎで出来るだけ細かくしたのがポイントなんですけど……。
片桐さん なるほどね。ただ本物に比べて塩味がガツンときてしまって、混ざり合ってないのが問題かもしれません。
ネットで塩や砂糖と味の素で作るレシピも見たことがありますが、そのままの状態で混ぜても先味と後味が表現できないんですよ。
佐久間さん それにハッピーターンには粒度の違う塩を数種類使っているんですよね。粗い塩は最初のインパクトがあって、どちらかというと粒度の細かいものは後までしっかり塩の旨味が残るんですよ。
ーー塩は塩でも、数種類も使い分けているってことか。じゃぁ、アミノ酸とタンパク加水分解物は?
佐久間さん アミノ酸はうま味調味料で、タンパク加水分解物は大豆由来のものなんです。
おそらくタンパク加水分解物の味を鶏ガラやコンソメで出そうとしているのかな? と思ったのですが、単体では売っていないので一般の方には手に入らないと思いますね。
片桐さん 先味と後味。このバランスが大事なんです。本物のハッピーパウダーは全体の先味と後味も計算して作っていますから、再現するのは難しいでしょうねぇ。
まぁビールのおつまみとして食べるなら、ルリ子さんのパウダーもポテンシャルを発揮するかもしれませんね。
ーーは、はぁw なんとか私のパウダーの良さを絞り出してくださって恐縮ですw
というわけで、結果はさんざんでしたが、ハッピーパウダーの味の再現はかなり難しいことがよぉくわかったのでした。。
ハッピーパウダーファンのみなさん、パウダーを作るのは諦めて本物のおいしいハッピーターンを食べましょう!
おわり
取材協力
亀田製菓株式会社
HAPPY Turn's (ハッピーターンズ)公式通販サイト
※掲載された情報は、取材時点のものであり、変更されている可能性があります。
プロフィール
新潟在住のフリーライター。グルメ記事を中心に各WEBメディアで執筆しています。
Twitter:https://twitter.com/ruricocoa